白鳥舞う冬の瓢湖で、妖艶な姿にうっとり

2016.01.18

ラムサール条約登録の瓢湖(ひょうこ)は冬の季節を告げに白鳥が訪れることで有名です。愛らしいその姿を遠くから眺めるだけであたたかい気持ちになりますが、ここでは自ら餌づけ体験も可能。白鳥たちのオアシス、瓢湖は私たちの心も癒してくれます。

瓢湖は新潟県北東部の阿賀野市にある小さな湖。
もともとは、たびたびこの地を襲った干ばつの解決策として、江戸時代に13年の歳月をかけて造成された農業用水地でした。今では別の意味でもなくてはならない存在となっています。
というのもこの湖、冬の季節になると毎年たくさんの白鳥が、遠くシベリアの大地からエサを求め渡って来るのです。その数なんと5,000から6,000羽!2008年には水鳥の生息地として国際的に重要な湿地の保護管理を目的とする、ラムサール条約にも登録されました。
▲冬の瓢湖。天気のいい日は越後山脈までくっきり見える(写真提供:阿賀野市観光協会)

そんな瓢湖では、愛らしい白鳥たちを数メートルの近さで観察できるほか、自分の手で餌付け体験が可能。大自然のなかで悠々と羽を伸ばす白鳥の姿、一度見たら虜になること間違いありません。
▲真っ白な翼を広げる姿に思わず見とれてしまいます(写真提供:阿賀野市観光協会)

名物、白鳥おじさんの餌づけ

瓢湖にはとある名物があります。それがこの白鳥おじさんによる餌づけ。白鳥が飛来するシーズンは一日も欠かすことなく、一日3回(午前9時、11時、午後3時)行われます。エサを抱えた白鳥おじさんの周りに、何百羽もの白鳥とカモが群がる光景はまさに圧巻!
▲「コーイコイコイ」と低く通る声で叫びながらエサを与える白鳥おじさん

一度に与えるエサの量は、白鳥の数にもよりますがおよそ15リットルのバケツ10杯分。地域の企業や農家から無償提供されたパンの耳と未成熟米をブレンドしたものを与えているそうです。
白鳥おじさんこと斎藤氏は先代から「白鳥おじさん」の名を襲名して今年で4年目。それまでは管理事務所のスタッフとして瓢湖を支えていました。

白鳥おじさんから見た、白鳥の魅力を聞いてみると…
「やっぱり愛くるしさですよ。毎年のことだから同じ白鳥が少しずつ成長していることもわかる。それぞれ個性も違いますしね。まるで自分の子どものようです。親白鳥が子どもに先にエサを食べさせるとこなんかも、人間味がありますよね」
とのこと。
▲白鳥おじさんこと斎藤氏。普段はやさしい表情だが、餌づけの時間になると眼差しが鋭くなる

そもそも初めて白鳥が瓢湖に飛来したのは1950年のこと。初代白鳥おじさん、故吉川重三郎氏が保護した7羽からすべては始まりました。以来、5年間にわたって白鳥の好むエサなど研究を重ね、ついにはそれまで困難とされていた野生の白鳥の餌づけに成功したのです。

シベリアからの第一団が着くのは10月ごろ。11月の下旬にピークを迎え、そのころは湖一面が白鳥に覆われます。そして例年、3月の半ばまでは白鳥の姿をみることができるようです。
白鳥たちにとって瓢湖は寝ぐらです。日中はエサを求めて周辺の田んぼなどへ行ってしまうので、最もにぎやかな瓢湖を見たければ少々早起きをして早朝の時間に来られるのがいいでしょう。
▲早朝の瓢湖。数え切れないほどの白鳥で湖面が覆われる(写真提供:阿賀野市観光協会)

餌づけ体験で、白鳥とふれあう

さて、ますます白鳥への興味が高まってきたところでお次は餌付け体験です。
湖のすぐそばの売店へ向かい、阿賀野市観光協会公認「瓢湖 水鳥のエサ(税込100円)」を購入。私たちが瓢湖で与えられるエサはこの公認のエサのみですのでご注意を。
▲お米に圧力をかけながら加熱したもの。ポン菓子に近い
「どこがいいかなぁ~」と白鳥になるべく近づける場所を探して湖畔を歩くこと数分、手を伸ばせば届いてしまいそうなほどの好スポットを発見。

さっそくエサの袋に手を入れてごそごそとしていると、それだけで白鳥やカモたちがこちらへスーッと寄ってくるではないですか!なかなか頭がいいんですね。きっと「おっエサだ!」とわかるのでしょう。
私のエサを食べてくれるかな…と少し心配していましたが、全くの杞憂でした。やってみるとこれが楽しい楽しい。夢中でエサをついばむ白鳥の姿に、私も夢中になってしまい、あっという間に一袋が空っぽに。思わず童心に返ってしまいました。

瓢湖をあじわう、もっと知る

白鳥との触れ合いに心が充たされ、次は「白鳥観察舎」へ。
湖畔に建つ「白鳥観察舎」は湖に浮かぶ白鳥を目の前に、室内で温まりながら小休憩できるスポット。白鳥にちなんだ甘味が豊富にそろっています。マカロン、パウンドケーキ、お饅頭…どれもおいしそうで目移りしてしまいますが、黄身餡の入った焼菓子「姿白鳥」と優しい甘さの「白鳥最中」、そしてホットコーヒーを注文。
▲白鳥最中120円、姿白鳥120円、コーヒー230円(すべて税込)

どこか昔懐かしいやさしい甘さで、少し疲れた身体を癒してくれました。

瓢湖の白鳥を満喫し、白鳥のことをもっと知りたいと思ったならばさらにオススメの場所があります。湖のとなりに位置する白鳥資料館「白鳥の里」です。
▲白鳥資料館「白鳥の里」。入場料300円(税込)
白鳥の大きさが実感できる模型や、瓢湖の歴史を伝えるパネルなどが展示されており、瓢湖と白鳥のことを深く楽しく学べます。
瓢湖の魅力は冬の白鳥だけではありません。
春はソメイヨシノや八重桜、初夏には215種50万本ものあやめ、そして夏には蓮の花。瓢湖の周辺では四季折々にさまざまな季節の花が咲き乱れ、いつでも私たちを楽しませてくれます。
▲瓢湖を囲むように咲く桜。4月上旬から下旬に「阿賀野市桜まつり」が開かれる(写真提供:阿賀野市観光協会)
▲瓢湖に隣接する「あやめ園」。6月上旬から末頃に「瓢湖あやめまつり」が開かれる(写真提供:阿賀野市観光協会)
▲瓢湖湖面を埋め尽くす蓮の花。8月上旬から中旬に「瓢湖ハスまつり」が開かれる(写真提供:阿賀野市観光協会)

白鳥をはじめ、さまざまな水鳥や自然と触れ合える瓢湖。ぜひ一度、都会の喧騒から離れ足を運んでみてはいかがでしょうか。
池トヒロクニ

池トヒロクニ

新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」参加ライター。1992年、北海道生まれ。気が付けば6年間も過ごした大学では地球科学と経済思想をかじる。ライフワークのさんぽと写真を大切に日々の生活を送りつつ、「知る・編集する・伝える」をコンセプトに様々な活動を多拠点に展開。

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