あったかグルメとお湯で、ぽっかぽかな山中温泉をぐるり

2015.12.11 更新

“山中や 菊はたおらじ 湯のにほい”と松尾芭蕉が詠んだことから名付けられた山中温泉の総湯「菊の湯」。その前に立ちのぼる湯けむりの向こう、南に向かってのびる「ゆげ街道」にはステキな温泉グルメが集まっています。鶴仙渓(かくせんけい)沿いの隠れ家的なカフェにも立ち寄って、食べて、浸かって、ちょっぴり体験して…。金沢から約1時間で来られる場所とは思えない、静かな時間が過ごせます。

ゆかたべ地蔵とゆけむり
石川県南部屈指の温泉地、山中温泉。周辺の山代温泉・片山津温泉・粟津温泉と合わせて「加賀四湯」と呼ばれています。加賀四湯中、最も山間に位置する山中温泉の中心街は湯けむりに包まれ、時間がゆっくりと流れています。

松尾芭蕉も称賛し、多くの文人墨客が訪れた歴史ある名湯で、なんと開湯1,300年!
ゆげ街道全景
▲山中温泉の名前通り、山に抱かれた温泉街。空気が違う!

山中温泉の中心地とも言える山中温泉総湯「菊の湯」前からのびる「ゆげ街道」から、朝の散歩を兼ねた街歩きスタート!
ゆげ海道目印アップ
▲菊の湯側の街道沿いに、ちょこんと佇む「ゆげ街道」の文字

真っすぐ南に向かって伸びる「ゆげ街道」は、街の散策にぴったり。
約600mの街道沿いに、ツヤツヤの山中漆器や九谷焼、食べ歩きできちゃう地元グルメなどなど……目移り必至ですが、まずはこちら。

山中温泉冬の名物「カニ汁大鍋の振る舞い」です!
カニ汁鍋作成中
▲ふたりがかりで作られる大鍋
カニ汁鍋中身
▲贅沢&豪快に鍋が作られていきます

やや菊の湯寄りのゆげ街道途中にある「町人旅人亭(まちびとたびびとてい)」で、11月1日から翌年3月末までの期間限定で振る舞われるという冬の名物なのです。

「冬の山中温泉はこれが楽しみで」という人も多く、開始前から人が集まり、鍋ができあがる頃には人だかりに…通りがかった人も足を止め、カニ汁を求めていました。おいしそうな香りとゆげに吸い寄せられ、私も列に並ぶことしばし。
カニ汁鍋を貰うライター
▲あたたかい笑顔で振る舞いを受けて、心もあたたか
カニ汁鍋アップ
▲こんなにも具だくさんで1杯200円!(税込)

カニ、甘エビ、地元で採れた大根やネギなどの冬野菜がふんだんに入り、地元のすり味噌で仕立てられていて、麹の舌触りがやわらか。山中漆器のお椀でいただくカニ汁は、冷えた心身をあたたかくしてくれる、やさしい味わいです。

温泉たまごを作るor食べる?

開湯以来、一度も移動することなく1,300年の長きに渡って鎮座する総湯「菊の湯(おとこ湯)」。山中温泉は昭和の始めまで旅館内に内湯が無く、訪れるお客は皆「湯座屋(ゆざや)」と呼ばれたこの総湯に入りに来ていたそうです。なお、「菊の湯(おんな湯)」もすぐ隣にあります。(総湯とはこの地方で言う共同浴場のこと)
菊の湯外観
▲天平造りの外観が特徴的な総湯「菊の湯」は男女どちらも源泉!
湯けむりに包まれた湯川
▲「菊の湯(おとこ湯)」前には温泉が流れる湯川が

その「菊の湯」前にある湯けむりが立ちのぼる「ゆで処」前で「菊の湯たまご手作り体験」ができます。券売機で5個入りの券350円(税込)を購入して、番号付きの竹籠に入った生卵を受け取り、そのまま源泉が流れ込む「ゆで処」へ。
たまごを漬ける直前
▲自分だけの温泉たまごが作れちゃう!

「10分でできる温泉場もありますが、山中温泉はゆっく~りあたたまっていくので時間がかかります。40分でとろっとろ、60分でいい具合。それ以上漬けていても黄身が固まることはないんですよ」とのこと。

待ちきれない人は「菊の湯(おんな湯)」隣接の「山中座」で1個70円(税込)から買って楽しめますよ。
温泉の中に浸かるたまご
▲静かに「ゆで処」へしずめます。おいしくできますように!

たまごができるのを待つ間、「菊の湯(おんな湯)」で入浴。ちょっと深めの湯船でゆったりと寛いでいると、自分も温泉たまごになった気分に…。

ほどよい時間になったのを確認して温泉から上がり、番台に戻って受け取りに来たことを告げると、「源泉は熱いからね」と竹籠を引き上げる道具を貸してくれました。
たまご引き上げ
▲ゆっくりと引き上げると、ほかほかの「菊の湯たまご」が!

番台に竹籠を引き上げる道具を返却すると、「1個食べて行きますか?」と聞かれ、思わずうなずく私。すると、目の前で手際良くエッグカッターでカットしてくれ、スプーンとともに受け取り、感無量。

できたての温泉たまごは、ほかほかあたたかで温泉の風味もしっとりと味わえます。残りの「菊の湯たまご」は「3日以内にお召し上がりくださいね」と袋詰めしてくれました。
たまご試食
▲温泉に漬けるだけですが、自分で作ると愛着が湧きます

ひとあし伸ばして森の中に佇むカフェへ

菊の湯から鶴仙渓へ下り、芭蕉堂方面へ遊歩道をてくてく。川のそば、森の中にひっそりと佇むおしゃれなカフェ「東山ボヌール」で休憩をすることにしました。
東山ボヌール外観
▲自然との調和を感じられる静かな佇まいです
東山ボヌール看板
▲“幸せな時間”という意味が込められた店名
東山ボヌール内観
▲店内は木漏れ日を感じる居心地の良い空間

ランチタイムのお楽しみ、ビーフシチューライスセットをオーダー。お食事はスキレット(鋳鉄製のフライパン)でいただくビーフシチューライスセットのみで、これを食べるためにわざわざ遠くから来るという人も多いほどの人気メニュー。
東山ボヌールビーフシチューセット
▲ビーフシチューライスセット1,500円(税込)

ひとくち食べると、深みのある味わいのビーフシチューと、とろける大きなお肉に感動! 食後にはウィーンの紅茶DEMMERS(デンメア)のHot Teaもいただけます。
東山ボヌールビーフシチューセットのアップ
▲大きなお肉が入ったビーフシチューをライスにかけて

一度訪問するとまた来たくなるほど、味わいも空間も印象的。照明を落とした落ち着いた空間の中で心静かにいただくランチは、日々の忙しさを忘れさせてくれます。

店内には雑貨コーナーの「山中スーベニール」もあり、山中温泉のお店や宿の店主さんがおすすめする品々がそろっています。東山ボヌールさんは手ぬぐいなどかわいい雑貨を発売しています。
東山ボヌール店長と雑貨
▲料理の傍ら、やさしく教えてくださった店長の竹中さん

東山ボヌールの店長・竹中さんはとても物腰が柔らかで、ビーフシチューのことや雑貨のことなど丁寧に紹介してくださいました。

昼下がりの優雅なティータイムを

朝と違って、昼下がりのゆげ街道はまた違う雰囲気。行き交う人も多くなり賑やかです。その中でとびきりのティータイムを楽しめる「サロン・ド・テ 西洋菓子倶楽部 高乃倉」へ。
高乃倉外観
▲洗練された外観はゆげ街道の中でも目を引きます
高乃倉1階ケーキアップ
▲山中ロールなど地元にちなんだケーキもある季節を彩るスイーツたち

テイクアウトもできますが、せっかくなら2階でイートインを。大きなガラス張りで明るい2階では、ゆげ街道を眺めながらゆったりとティータイムを楽しめます。

上から見る街道はまた違った雰囲気。次はどこを歩こうか、話も弾みそうです。
高乃倉2階テーブル席
▲シンプルモダンな空間が広がる2階でお気に入りの席を見つけて

「山中に来たら、やはりコレ!」と私が選んだのは、加賀棒茶を使った小豆入りの山中ロール。加賀棒茶はこの地方独特の日本茶で、香ばしさと甘さが絶妙。
その加賀棒茶の豊かな香りと味わいから、加賀地方の心が伝わってくるようです。コーヒーは1杯ごとに豆を挽いて淹れるスタイルで、ケーキと好相性!
高乃倉2階ケーキとコーヒー
▲山中ロール380円(税込)、コーヒー420円(税込)
温泉街のそぞろ歩きを1度ならず2度、3度とリピートしたくなる魅力がいっぱいの山中温泉。
旅館で、総湯「菊の湯」で、たっぷりと湯めぐりを楽しみながらご当地グルメも味わうと、旅の思い出も一層色鮮やかなものに。私ももう1度巡ってこようと思います!
SARYO

SARYO

石川県の温泉地として名高い南加賀在住のライター・エディター、時々シナリオライター。北陸の地域情報誌に10年勤めていた経験と、国内も国外も興味津々な好奇心をフル活用し、さまざまな情報をお届けします。歴史、神社仏閣、旅、温泉に強く、利用者と同じ目線を重視するスタイル。

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