幻の間人ガニが待っている。おぼれて、まみれて間人の宿へ

2015.12.15

「間人(たいざ)ガニはウマい」の理由はたくさんあるが、漁港から漁場までが近く、わずか5隻の小型船で日戻り漁を行うため、新鮮で美味しいと言われている。いかんせん漁獲量が少ないため“幻”感は高まるばかり。ここ数年のブランド合戦に先駆けて、関西カニ好きに支持され、その評価も価値もますます上昇中。今やその名が全国区となった極上の味を、いざ実食!

14.jpg

幻のカニを満喫するなら、漁港目前の料理宿へ

“幻"と言われる間人ガニを食べに訪れたのは「昭恋館(しょうれんかん) よ志のや 」。20年以上前から間人ガニのブランド性を伝え続けてきた宿で、国内で唯一「蟹料理・現代の名工」に認定(京都府)されている。料理には1.2kg以上のカニしか仕入れず、「本物の美味しさを味わってほしい」との凝りようだ。
30.jpg
▲レトロな雰囲気のゆったりロビーでカニへの期待を高めるもよし。コーヒーか紅茶(各400円)でほっこり

漁港を訪れたらカニ漁船に願いを。斜面に家がひしめきあう小さな「間人漁港」を見下ろす「よ志のや」は昭和3(1928)年創業の料理旅館。
空と海の色が鉛のように重みを増し、その境目がぼやけた冬の日本海らしい季節には、海水温がグググッと低くなり、海中にいるカニもカラダに栄養を蓄えて旨くなる。
34.jpg
期待に胸ときめかせ夕食の時間までに間人漁港を散策するのも一興だ。
36.jpg
▲間人ガニが生息する環境とほぼ同じ2℃の水温を保つ冷水機を搭載した船。午後2時のセリに向けて生ガニを届けてくれる

カニ料理に突入するまでに間人温泉の風呂にも入っておこう。
アメリカ人彫刻家によるデザインの浴場「昭恋の湯」。丹後(間人)温泉は無色透明、無味無臭。日本海を見下ろす絶景展望露天風呂がある「ビードロの湯」。男女入れ替え制なので日替わりで朝晩違うお風呂に入れるのもうれしい。
24.jpg
▲南国テイストの「昭恋の湯」は天井も高く、異国情緒と和が混在
25.jpg
▲大きな木桶の浴槽で、ゆったり脚を伸ばして。長湯必至です

さぁ、本命の間人ガニのコースへ!

間人ガニとは間人港から30~40km沖合の近距離、深さ200mほどの海底を住処とするズワイガニのこと。
その味は、日本海の潮流に深く関連する。北からの寒流と南からの暖流に乗って、カニが食べるプランクトンが大量に流れ着く。丁度両者がぶつかり、混ざりあうのがこの丹後半島の沖あたり。
栄養豊富な海で育つカニの身は甘みも香りもしっかり、食べ応え十二分の極上味に成長してくれるのだ。
01.jpg
▲間人ガニの脚は北海物に比べて長くてスマート。みっしり身が詰まって重いのが良いカニ

続々とあらわれるたまらんパーツ。
筆頭はカニ刺し。氷水で締めて旨みを閉じ込めた身が甘い。続いてゆでガニ。そのままか土佐酢をつけて食べる。茹でガニの迫力ここにあり!カニ味噌は何も足さずそのままの味。間人ガニフルコースは先付、カニ刺し、茹でガニ、焼きガニ、甲羅焼き、カニ味噌ご飯、甲羅蒸し、カニ味噌スープ、カニすき鍋、雑炊、デザート。
1.2kgの特大サイズの活け間人ガニをまるごと1杯。今期は2015/11/7~2016/3/21の期間限定だ。
10.jpg
▲プルリとした繊維一つひとつが甘い。特製醤油もカニの旨みを引き立ててくれる
07.jpg
▲むっちり詰まった身をカニ味噌にひたして絡めて食べても昇天モノの美味しさ
12.jpg
▲七輪で炙りながらの焼きガニは、こんがりと香ばしい香りで満たされる。味も凝縮されて濃厚に!
13.jpg
▲カニ味噌たっぷりの甲羅もクツクツ。焼きガニの身やゆでガニの身をこの中にダイブさせても最高!
16.jpg
▲トドメは特A指定を受けた丹後コシヒカリのご飯の上にカニ味噌をかけ、特製ダシ醤油を垂らしてかきこむ「カニ味噌ごはん」

期間限定のコッペも忘れずに!

コッペ(メスガニ。セコガニとも言う)も楽しみの一つだが、11月の解禁から12月末までのお楽しみ。内子、外子、カニ味噌、身と、いずれ劣らぬ旨みの塊。内子は濃厚、外子はあっさりでプチプチ食感。ミソは雄に負けないコク深さ。
間に合わなかった方は来年またどうぞ。1杯2,700円(税込。サイズ、仕入れ状況により変動あり)。
08.jpg
▲小さくとも旨みがみっちり詰まっている。それぞれを食べて良し、混ぜて食べてもなお良し
33.jpg
▲ お土産には自家製のさしみ醤油600円、万能すだち酢750円など、調味料が最適
32.jpg
▲ひさみ工房のへしこの浅漬け「至福」1,188円。軽く炙って酒のアテやお茶漬けに

間人ガニも味わい尽くし、温泉にもどっぷり浸った日本海の旅。丹後半島の先端まで足を運ぶ価値は十二分にある満足感。いやはや人生に一度は楽しみたい。そしてまたもう一度、カニの季節に「帰って来ます」と言い残して宿を後にした。

※ 料金は全て税込です
曽束政昭

曽束政昭

フリーライター。関東以西の主要都市~漁港を取材制覇。魚ライターの異名を持つが、魚介の中でも甲殻類の内子(卵巣)や魚卵には目がない。京阪神を中心に、全国各地の地元うまいもんを訪ね歩いて取材する日々。著書に関西からの旅記事をまとめたムック『1泊5食』(京阪神エルマガジン社)など。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP