天下の台所を支える黒門市場へ買い出しに
大阪ミナミの中心部・難波からほど近い黒門市場。ここは食の都・大阪の名だたる料理店、レストランの調理人御用達のプロの市場。けれども近年は、最上級のマグロやフグ、ウニや貝類を求めて、リッチな中国人グルメ客が日本人観光客を上回る勢いで押し寄せている。そして年末は恒例、極上の「おせち料理」や「正月のごちそう」の食材が並ぶ。わざわざ行く価値十分の年末の買い出し、ついでに名物「てっちり」とともに。

食べ歩き、つまみ食い天国となった黒門市場
なかでもやはり鮮魚店が目立っていて、グルメ垂涎のフグ専門店が1割。ほかにマグロ、貝類、海老、カニ、そしてスッポンの専門店も。



それも大阪の味を支えるプロが買い付ける魚屋さんや精肉店の店頭にテーブルや椅子が据え付けられ、そこで本格的なランチ、というシーンも目にする。
もちろん中国語のメニューや写真紹介もあって抜かりない。


しかし高級なフグ、マグロのトロ、ウニや牡蠣、チャイニーズマネーはすごいな。



有名料理人、板前、シェフが毎日買い付ける「プロの魚屋」。こんなふうに買おう

この店はアーケードから一筋はずれたところにあるプロ専門の店。朝からグルメ誌で有名な料理人たちが買い出しに来ている。

専務の岩瀬毅佳(きよし)さんが、わたしたち一般客にこの店での買い方をアドバイス。
まず松葉ガニなら松葉ガニ、クエならクエ、というふうに食べたい魚種を決め、そして鍋にしたいのか刺身にしたいのか、などなどを相談。するとその料理がすぐできるように下準備してくれるのだ。ただし1匹まるごと買いが基本。

また聞けば、豆腐はどこの店で、野菜ならどこで、と教えてくれるから、そこで買い出して万事オッケー。
言うなれば、黒門市場の最高の魚介のアドバイザー兼私設調理人になってくれる強い味方なのだ。
もちろん予約を入れて、相談しておくのが一番。

強みは大間産マグロから、クエ、甘鯛、ブリ、カニ、タコとナンでもござれだ。
ただし「シロウトさんは昼過ぎに来てくださいね」とお願い。






(株)岩瀬
大阪市中央区日本橋1-15-8
[営業時間]7:00~16:00
[定休日]1月1日
06-6633-4466
野菜くだもの一筋で90余年

この店は黒門市場のど真ん中の角地にあってひときわ目立っている。
「とびきりのおいしい果物」「よそでは置いていない野菜」を求めて北新地から毎朝通う料理人など、プロたちが買い出しにやってくる。





なべじ
大阪市中央区日本橋1-21-34
[営業時間]8:00~18:30(日曜日~14:00)
[定休日]なし
06-6633-2228





買って帰るのも、食べるのもどちらもOKのフグ

その首都がもちろん黒門市場。
「活ふぐ専門」と謳う店、店頭に大きなフグを並べている店、スーパーの店先にもてっちり用のパックが並ぶほど。扱われるフグはもちろん王者のトラフグ。



ちなみに「てっちり」とは「てっぽう(鉄砲)の、ちりなべ」を略したもの。ちなみに「てっさ」は「てっぽうのさしみ」。
フグは可食部分以外はテトロドトキシンという猛毒を持っていて、食べると当たる。そしてまた、鉄砲に当たると死んでしまう。それをひっかけて「てつ」という隠語が長く使われてきた。
まあしかしながら、いやな魚臭さがなくおいしい身、グルメ垂涎の白子と、そして腹を膨らませたユニークな姿…と、フグの魅力はつきない。

黒門市場のフグ専門店の中でも有名な「浜藤(はまとう)」。
こちらは、店頭売りお持ち帰りもいいが、1階のテーブルとカウンター席、2階の座敷で「てっちりコース」が食べられる。


付き出し、湯引き、てっさ、唐揚げ、そしてメインのてっちり、雑炊と、順番に出てくるフルコース。


お酒はもちろん「ヒレ酒」(税込1,000円)。乾燥させて炙ったフグのヒレに熱燗を注いだ香ばしい酒だ。









浜藤
大阪市中央区日本橋1-21-8
[営業時間]11:00~20:00
[定休日]月曜日休(2016年3月末まで無休)
06-6644-4832
とびきり濃厚、老舗の大阪流珈琲

そして、市場は食べ物のプロが集まるし、市場内の素材は新鮮で良いからどの店もうまい、はここでもあてはまる。
うどん、そば、海鮮もの、鰻、ビフテキ、食堂、カレーの店…。


知る人ぞ知る自家焙煎の「とびきり濃い」コーヒーが自慢の店だ。
レトロな店内は、食材の仕入れついでに立ち寄る料理人や、買い物帰りの主婦、長靴を履いた市場の人たちも休憩にやってくる。


ドリンクが半額になるセット「玉子トースト」「ハムトースト」(税込540円)を2人でひとつずつ注文して分けて食べる。
540円とホットコーヒー480円÷2=240円だから、ひとり780円(税込)ということになる。

塩を少しふりかけると懐かしい味がして、コーヒーが余計にうまくなる。


もちろんこの「伊吹珈琲店」目当てで、はるばる他所から黒門市場にやってくるファンも多い。





伊吹珈琲店
大阪市中央区日本橋1-22-31
[営業時間]7:00~19:45
[定休日]1月1日
06-6632-0141
黒門市場
大阪市中央区日本橋2-4-1
06-6631-0007(黒門市場商店街振興組合)

江弘毅
編集者。京阪神エルマガジン社時代に雑誌『ミーツ・リージョナル』を立ち上げ、12年間編集長を務める。著書『街場の大阪論』(新潮文庫)、 『「うまいもん屋」からの大阪論』(NHK出版新書)、『飲み食い世界一の大阪』(ミシマ社)など、主に大阪の街や食についての著書多数。最新刊は7月15日発売の『濃い味、うす味、街のあじ。』(140B)。編集出版集団 140B取締役編集責任者。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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