能登の恵みを堪能。「数馬酒造」

2015.06.23

石川県と言えば北陸新幹線の開通により、いま大注目の観光地です。とりわけ、日本酒ファンの中では「能登清酒」への注目が高まっていることをご存知ですか?石川県の能登は、かつては海の底だったと言われ、その大地にはミネラル等の栄養成分が豊富に含まれています。豊かな大地によって育ったおいしいお米を原料に造られたお酒、それが能登の日本酒なのです。 そんな酒処の能登で、世界から評価を受けている酒蔵があります。それが今回ご紹介する「数馬酒造」です。

▲港近くの数馬酒造

数馬酒造は世界最大規模のコンペティションである「インターナショナルワインチャレンジ」2015年SAKE部門普通酒の部にて、永年地元の方々に愛されている「竹葉 能登上撰」が銀賞を受賞をしたり、スペインの食の祭典である「マドリッドフュージョン2015」にて獺祭・真澄・大七といった銘酒とともに日本代表として選出されたりするなど、大きな注目を浴びている酒蔵です。

数馬酒造の数馬嘉一郎社長に、酒造りと能登への想いを聞いてきました。

数馬酒造が目指すのは、酒造りを通じて能登の未来を創ること。

▲29歳の若さで蔵を経営している数馬嘉一郎社長

「数馬酒造の理念として『心和らぐ清酒(さけ)造り・心華やぐ会社(いえ)作り・心豊かな能登(まち)創り』という言葉があります。
これは飲む方の心が和らぐような清酒を造り、会社で働く社員さんや酒蔵に訪れた方の心が華やぐような会社を作り、ひいては心豊かな方で溢れる能登づくりに貢献し続けよう。という意味です。
能登あっての数馬酒造ですから、自社の利益追求だけでなく、この土地を豊かにすることを念頭に活動している」と数馬社長は語ります。

その言葉通り、数馬酒造の日本酒の原料はほとんどが能登産。
仕込み水には数馬酒造の近くに位置する柳田村山中の湧水を使用しており、
酒米も地元の契約農家から仕入れを行っています。
数馬酒造の発展がそのまま能登の発展に繋がるような取り組みをしているということですね。

魚介類との相性は抜群、素材の味を引き出す能登純米

▲国内外で人気の高い数馬酒造のラインナップ


数馬酒造の代表銘柄である「能登純米」は先に述べたように世界に認められたお酒です。
「世界一のレストラン」に5年連続で輝いた「エル・ブジ」のソムリエであるフレディ氏は先述のマドリッドフュージョン2014にて日本酒セミナーを開催。その際に能登純米を取り上げ、お米の豊かな旨みと純粋な味わいを評価しました。
▲これまで獲得してきた鑑評会などのトロフィーがずらり

筆者も能登純米は愛飲していますが、「これぞ米の旨み!」と言える、味のしっかりした美味しいお酒です。日本酒は、「その土地の料理が合う」と言われていますが、このお酒も同様に、宇出津港で獲れた魚介類との相性は抜群です。
特に脂の乗った寒ブリなどのお刺身とは最高の組み合わせで、お酒の主張しすぎない酸が魚の味を心地よく引き立たせてくれます。

能登に行った際には、ぜひ地元のお魚と併せて楽しんでみてください。
▲木造の蔵の中に大型の精米機が並んでいます
▲蔵の中には数馬社長直筆の「豊醸」の文字が
▲タンクには濾過した日、特定名称、タンクに入っているお酒の総量計算に使う計測後の数値などが記載されています
▲仕込みで実際に使用する櫂(かい)も間近に見ることができます
▲蔵に隣接した店舗で試飲や購入も可能です

酒造りにこだわるからこそ地元米農家との連携は必要不可欠

▲この一帯で数馬酒造用の酒米が作られています

酒造りのこだわりを持つ以上、その原料となるお米への妥協は許されません。
数馬酒造では米の品質、生育環境を見定めた上で日本酒造りを行うため、契約農家からの酒米仕入れを行っています。

その活動の代表的なものが、地元の若手農家である裏貴大(うらたかひろ)社長との連携。裏社長と数馬社長は高校の同級生で、それぞれが自分の事業を通じて「能登に貢献したい」という想いがあるようです。

「農業で起業をする年に数馬社長に挨拶に行きました。同級生ということもあり、まずは情報交換ということで会ってみたところ、『裏、お前は能登をどうしたい?』と聞かれました。
自分自身も農業をやって、自分1人が儲けることよりも自社の活動を通じて能登の発展に貢献したいと考えていたので、その想いの丈を話したところ意気投合したんです。向いている方向、志の大きさが同じだったんです」と裏社長は語ります。
▲水田環境特A地区に認定された田んぼで話す数馬社長と裏社長

裏社長の経営する「ゆめうらら」が育てた酒米「五百万石」は、今では県の基準米となり、石川県で唯一の「特等米」の認定を受けるまでになりました。その背景には、丁寧な田んぼ作りがあります。有機農法による米作りのために、田んぼの環境整備には人一倍気を使い、その結果、「米・食味鑑定士協会」による水田環境鑑定で最高評価の「特A」に認定されました。こういった環境作りへのこだわりが、米の評価にも繋がっているのです。

数馬酒造のお酒が世界で評価されている背景には、こうした農家との連携、米へのこだわりがあるんですね。

お酒だけじゃない能登の魅力。能登の人は「こんじょよし!」


「能登の人たちはみんなこんじょよし(お人好し)。能登に来たら、その土地の人との交流も持ってもらいたいですね」そう数馬社長が語るように、能登の人たちはとても人当たりがよく、面倒見がとてもいいように感じます。筆者が能登に行った時には漁師さんに漁に連れて行ってもらって、朝食をその方の家で食べさせてもらうなど、都会ではできない温かい体験をしました。


最近では「かあさんの学校食堂」という廃校を使用したレストランで、近所の主婦が地元の食材を使った料理を提供しています。そういった場所でも地元の方との交流はできるので積極的に交流して欲しいですね。
また、田園風景も見どころのひとつです。能登の里山里海は世界農業遺産にも認定されており、その景観も素晴らしいものがあります。白米千枚田などが有名ですね。
▲全国的に有名な千枚田

「企業として数値的な目標も大切だが、それよりも『心豊かな町づくり』への貢献を忘れずにいたい」と語るように、
数馬社長も裏社長も人を大切にしている印象が強く残っています。

数馬酒造は蔵見学を受け入れていますので、日程・時間・人数などはお問い合わせください。
酒蔵見学を通じて能登のこんじょよしの人たちと話をしたら、きっと能登のファンになるでしょうね。
▲数馬酒造から臨む港
生駒龍史

生駒龍史

日本酒起業家。日本酒の定期購入サービスSAKELIFE、日本酒ダイニングsakeba、クラウドファンディングを利用してのオリジナル日本酒FirstKissなど、複数の領域で日本酒事業を立ち上げる。現在は日本酒専門メディアSAKETIMESを展開中。

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