「ツキサップじんぎすかんクラブ」で北海道ジンギスカンのルーツを探る~後付け式~

2015.06.18 更新

ジンギスカンは北海道内各地と本州の一部地域で食される羊肉料理。特に北海道ではソウルフードの一つとして広く浸透していますが、食べ方の流派が大きく2つあるって、知っていますか?一つは生の羊肉を焼いてタレをつけて食べる後付けパターン、もう一つはタレに漬け込んだ味付け羊肉を焼いて食べる先付けパターンです。ここでは後付けパターンを探ります。

▲後付けパターンは、生肉を鉄鍋で焼いてタレにつけて食べます

北海道のジンギスカンの歴史を探ってみます

ジンギスカンのルーツを探りに訪れたのは、札幌市豊平区の月寒(つきさむ)にある、「ツキサップじんぎすかんクラブ」。タレを後付で食べるスタイルの先駆けといわれるお店です。
▲お話をうかがった専務取締役の千田さん

「ツキサップじんぎすかんクラブ」は、農業の専門学校を運営する学校法人「八紘学園(はっこうがくえん)」の敷地内にあります。
タレを後付けで食するジンギスカンは、もともと旧満州(現中国東北部)や樺太(現サハリン)などで食べられていた、羊肉を鉄の鍋で焼く野戦料理がルーツ。北海道内で広まったきっかけは、八紘学園創設者の栗林元二郎氏が、戦後北海道の月寒地区へ戻る際にこの鍋を持ち帰ったからだと言われています。
▲広大な緑が広がる八紘学園の敷地内にある「ツキサップじんぎすかんクラブ」

月寒地区では明治時代から、軍隊の衣類に使う羊毛生産のために羊が飼育されていました。当時羊肉を食べる食文化はなかったのですが、栗林氏が羊肉を何とか食べられるようにしたいと綿羊を食用に転用し、持ち帰った鍋で周囲にふるまってみたそうです。すると大好評で、この食文化を広めようと昭和28(1953)年に会員制クラブ「成吉思汗倶楽部(じんぎすかんくらぶ)」を設立しました。
▲奥の大木の先にある芝生周辺が、当時成吉思汗倶楽部のメンバーが食べていた場所だと言われているそうです

当時は物好きな人たちが集い、芝生の上で食すものでしたが、少しずつ一般にも浸透していき、札幌をはじめ北海道中南部を中心に広く食べられるようになりました。その後、時代の流れとともに「成吉思汗倶楽部」も解散し、現在では「ツキサップじんぎすかんクラブ」として一般の人が誰でも立ち寄れるお店として営業しています。

後付けジンギスカンを食べてみましょう

「ツキサップじんぎすかんクラブ」の基本料理は、ジンギスカン1人前セット。お肉は創業以来、生マトン肉にこだわっています。
▲ジンギスカン1人前セット。羊肉のほか、野菜とおにぎりが2個つきます

ジンギスカンといえばラム肉を想像する人も多いでしょう。なかにはマトン肉=臭い、と思っている方も多いのでは?でも、ここのマトン肉は違います。質の高い生マトン肉を提供していると自負されているだけあり、臭みも感じずコクと奥深い旨みを楽しめます。
美味しさの秘訣は、焼き方も関係しているようです。
▲ジンギスカンの正しい焼き方はコレ!

ジンギスカンを食べ慣れている方は、ジンギスカン鍋の周囲をはじめ全体にもやしなどの野菜をどさっと並べ、野菜の上にお肉を置いて焼く、という方が多いかもしれません。
でも、「ツキサップじんぎすかんクラブ」では、それは間違った焼き方。もやしなどの野菜は鍋の周囲にだけ並べ、お肉は鍋の真ん中に直接置いて七輪の炭火で焼きます。鍋にはスリットがあり、余分な油は七輪へと落ちていくので、お肉も野菜も油ギットリにならずスッキリとした味わいになります。さらに、炭火のスモークがスリットからお肉に直接あたることで、肉の臭みもなくなり旨みも増します。
▲このタレは、八紘学園で農産加工を指導していた千田さんのお父さんが開発したそうです

食べ頃は赤みが消えたか消えないか位、醤油ベースのさらっとしたタレにつけて食べます。タレは創業以来の秘伝の味で、スパイシーで後味がやみつきになります。これだけでご飯が進んでしまいそうです。
ジンギスカン通の中には、食べ終わったタレにお茶を入れ、まるでそば湯を飲むように割って飲むという人もいます。これはお好みで。

「ツキサップじんぎすかんクラブ」はこんなお店

この店の料理のメインはもちろんジンギスカンですが、飲み物は種類豊富。特にワインは北海道内のものはもちろん、海外のものも多種多様な品種が揃います。それもそのはず、千田さんはシニアソムリエでもあるのです。お好みを相談してみては?
▲店内に大きなワインセラーもあり、ずらりと各地のワインが並びます


客席は屋内と屋外があり、合わせると180席近くにもなります。
▲店内は広く、団体でも入ることができる位の客席数があります


人気の席は、広々した敷地を眺められる屋外のウッドデッキにあるテラス席。春は桜、夏は菖蒲やラベンダー、秋は紅葉を眺めながら食べることができます。
▲生ビールを片手に食べたくなる、開放的で緑あふれるテラス席

ここへ訪れると、後付けジンギスカンのルーツを知るとともに、マトン肉の美味さと絶妙なタレの奥深さに目覚めますよ。
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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