山あいの分校跡地をリノベーションした複合施設「nap village」の週末限定カフェが人気

2016.03.02

岡山県吉備中央町の山あいにある、廃校をリノベーションした複合施設「nap village(ナップビレッジ)」。敷地内には世界的にも評価されているアパレルメーカー、nap社の工房があるほか、週末限定のカフェ&ショップが人気を集めています。

▲笑顔がステキなカフェスタッフがお出迎え

森の中に突然現れる「村」!

岡山県の中央部に位置する吉備中央町は、標高約200m~500mの高原地帯。

岡山市の中心部から車で約40分、カーナビが目的地に近づいたことを示すものの、目指す「nap village」の看板や目印が、見当たらない!

カーナビの地図を頼りに、枝道に入ると、奥に山小屋のようなものが見えてきました。
▲うっそうとした森の中に、明るい空気感をまとった小さな「村」が出現!
▲小川のせせらぎが遠くに聞こえ、澄んだ空気が気持ち良い

ここは、国内外にファンを持つアパレルブランド「THE SUPERIOR LABOR(シュペリオールレイバー)」を展開するnap社の複合施設。1991年に廃校となった敷地1,000坪の分校跡地に、カフェや民家、工房などが集落のように点在しています。
▲nap社CEO兼デザイナーの河合誠さん(写真右)

以前は岡山市と倉敷市に工房が分かれていたnap社。1カ所で作業が完結する広い敷地を探し、この20世帯に満たない過疎集落にたどり着いたそうです。

「工房の騒音を気にせず、思い切ってものづくりをしたかった。それに海外ブランドって自然豊かな田舎のアトリエでやっているイメージでしょ?海外と取引する中で、いいロケーションで作っていることを発信したかったのです」(河合さん)

廃校を購入した決め手は、校舎内の黒板に「開拓魂」という文字が残されていたこと。世界を視野にものづくりをしている河合さんの精神と、見事にシンクロしたわけですね。
▲廃校を再利用した事務所兼工房

なぜ看板などの案内がないのかも聞いてみると、河合さんの答えはじつに明快。
「看板とか目印とか、カッコ悪いでしょ」

ナビが普及し、簡単に目的地にたどり着ける今だからこそ、不案内さえも非日常に導く仕掛けとなっています。

カフェの絶品料理を味わう

「nap village」は、入口の右側にカフェ&ショップ「&things ハチガハナ」、その裏手が河合さんのご自宅、敷地奥が工房兼オフィスになっています。
「&things ハチガハナ」は引っ越してきた2012年の春にオープン。年2回開く展示会のために作られた建物でしたが、近隣に飲食店がないため、展示会後にここで料理を振る舞ったのをきっかけに、週末限定でカフェを始めることになったそうです。
▲「&things ハチガハナ」の正面入口

吹き抜けの店内は、無垢材が天井を覆い、20坪の広さなのに開放感たっぷり。梁にドライフラワーを装飾したり、鹿の角を照明器具にしたりと、洗練されたカントリー風の内装はまるで、パリ郊外のカフェのよう。
▲大きな窓に周囲の自然が映える“特等席”

カフェで扱う食材は、できるだけ地元産を採用。有機無農薬栽培に取り組む「ポタジェ サタケ」の野菜、「吉田牧場」のナチュラルチーズなど、全国レベルの食材がそろいます。

吉田牧場のチーズは、甘くてコクがあるブラウンスイス種の乳牛を使用。全国の一流シェフたちを魅了するチーズは、生産数が少量のため「幻のチーズ」とも言われています。

ここで最初にオーダーしたのが、「吉田牧場カチョカバロと生ソーセージのクロスティーニ」(税抜900円)。
スライスしたカンパーニュに、チーズの一種カチョカバロと刻んだ生ソーセージをトッピングしてオーブンで焼き上げます。生ソーセージの塩気に、カチョカバロのコクとほのかな酸味が絡んだとびきりのアンティパスト。リピーターが多いというのも納得です。

メインに頼んだのは、「鳥取産鹿肉のスパイスカレー」(税抜1,200円)。
ヨーロッパでは高級食材のジビエ。「&things ハチガハナ」では、処理技術が高い隣県鳥取のジビエ団体から取り寄せています。

クミンやコリアンダーなど7種類のスパイスをミルでひき、フードプロセッサーで細かくした人参と玉ねぎ、鹿肉をコトコト煮込みます。ジビエ特有の臭みはまったくなく、スパイスも程よく効き、辛いのが苦手な人も食せる絶妙な加減。

脂の少ないジビエだけに、食後感がさっぱり!サイドのつけ野菜も手加減なく、シンプルな味付けで野菜本来の甘さを引き出しています。

「&things ハチガハナ」は、ケーキやドリンクのカフェメニューも充実。
この日はバニラケーキ、チョコブラウニーなど4種類のスイーツがショーケースに並んでいました。

選んだのは、チーズケーキ(税抜480円)。
▲本物の木の実や葉っぱが添えられている

吉田牧場のリコッタチーズをメインに、クリームチーズ、サワークリームチーズなどを混ぜたフィリング。口のなかでふんわりとほどけ、爽やかさの中にしっかりとミルク感が。香ばしく焼き上げたタルトとの相性がたまりません!

決してアクセスがいいわけでなく、周辺には何もないのに、この日も、ロケーションと絶品料理を求めて、県外ナンバーの車が続々と訪れていました。

店名に付く「ハチガハナ」は、この地域の旧字(あざ)名。
新天地で立ち上げたブランド名でもあります。
「この地域から受けるインスピレーションを大切にしている」と河合さん。

地域のおばあちゃんが編んだニット帽子や、鹿の角を柄にしたスプーンなど、地元の「もの」や「ひと」を生かした商品を生み出し、ショップ内で販売しています。
▲3坪ほどの専用スペースと、店内の壁棚を使って商品を並べている
▲鹿の角にアンティークカトラリーをつけたスプーンやナイフ(税抜3,600円~)
▲地元のおばあちゃんが手編みで作った帽子(税抜9,000円)
▲真冬のテラス席にカップルが!大丈夫。店内と同様、薪ストーブを焚いています
▲カフェの正面には、商品を並べた小屋も

工房にもお邪魔しました!

カフェを出て右手奥の小高い丘にあるのが、廃校を再利用したオフィス兼工房。
この日は特別に許可をいただき、工房へ案内してもらいました。
▲「円城小学校加茂山分校」の「円」マークが残っている

「THE SUPERIOR LABOR」の商品はバッグが中心。丁寧な作業と品質で名高い“栃木レザー”、“倉敷帆布”などの素材にこだわったハンドメイド。鮮やかな色使い、兼ね備えた無骨さと繊細さ、際立つ存在感が特徴で、海外のセレクトショップにも並ぶ人気ブランドです。
▲人気のオーダーバッグ(写真提供:nap社)

生地・レザーの裁断から仕上げまで、全工程がこの工房に集約されています。ものづくりの聖域に足を踏み入れるワクワク感を胸に、いざ工房内へ!
▲この先が工房。壁紙も扉もステキなデザイン
▲ボンドで革を接着し、財布を作る職人さん
▲ミシンで帆布のバッグを製作している
▲バッグのロゴはプリントではなく、型板を使って一点ずつ塗料を吹きかけている

ブランドコンセプトは「クラフトマンシップに重きを置き、もうひと手間をかける」。
まさにコンセプト通りの作業が繰り広げられていました。
▲(番外編1)工房を出ると何やら白い生き物が!
▲(番外編2)そこにはなんとアヒルが。さすがビレッジ!

徹底したものづくりと、空間づくりと、おもてなし。
だからこそ、山奥であっても人を引き寄せる「nap village」。
「村」を舞台に不定期で開くマルシェには、たくさんの人が訪れるそうです。

それはまるで、学校という地域のシンボルを失った過疎の集落が、再び光を取り戻す「再生の物語」。閉ざされた場所から、世界に開かれた場所へ――。

物語の中に身を置くぜいたくさで、胸いっぱいになりました。
ココホレジャパン

ココホレジャパン

ココホレジャパンは「地域の魅力を広告する」地域広告会社です。 広告といってもチラシやポスターをつくるだけではありません。地域のおいしい野菜があれば、それを使って商品も作ります。素敵だと思う商品を販売したりもします。地域の魅力を掘り起こして「これ、いいでしょ!」と伝えていく、それが私たちの仕事です。

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