モエレ沼公園(札幌市)~自然とアートが融合したランドスケープ

2015.06.17 更新

札幌市の北東部にある「モエレ沼公園」は、世界的に著名な彫刻家イサム・ノグチが基本設計を手がけた、自然とアートが融合した公園。広大な敷地の中に立つと、公園にいるというより芸術作品の中にいるかのような感覚になります。

▲モエレ沼公園内にあるモエレ山とテトラマウンド

モエレ沼公園ができるまで

モエレ沼公園は、名前のとおりモエレ沼にある公園。もともと札幌市内から出るゴミの処理場で、約270万トンの廃棄物を埋め立てた場所に都市公園として造成されました。
▲豊平川の河跡湖であるモエレ沼に囲まれるように、モエレ沼公園があります
着工は昭和57(1982)年、当初は水辺を活かした一般的な公園を造成することが考えられていましたが、日系アメリカ人の彫刻家イサム・ノグチが公園設計に全面協力することになり、他にはない、アートに囲まれた公園へと大きく転換することになりました。
イサム・ノグチは昭和63(1988)年末に造成途上でこの世を去りましたが、その遺志を継いだ面々が計画を進め、彼の没後、17年の歳月をかけて平成17(2005)年にグランドオープンしました。
▲屋外にある巨大な彫刻美術館のような雰囲気です
「全体をひとつの彫刻作品とする」というコンセプトのもとに造成された公園、園内には幾何学的な形をした山や遊具、噴水などの施設が並びます。どれも計算し尽くして配置され、どの場面から眺めても絵になります。
では、公園内を少し散策してみましょう。

モエレ沼公園の散策には自転車がオススメ

公園の広さは、沼の部分も含めて約1.89平方キロメートル、駐車場から公園の端まで歩くと片道20分はかかります。のんびり一周歩くとなるとかなりの時間が必要です。
そこで、モエレ沼公園での散策は自転車がオススメ。レンタサイクルがあるので、ぜひ有効活用しましょう。
▲ガラスのピラミッド "HIDAMARI"へは、自転車貸し出し場所から自転車で約3分です
自転車を借りたら最初に訪れたいスポットは、モエレ沼公園の代表的なモニュメントでもある「ガラスのピラミッド "HIDAMARI"」。
ガラス張りの建物の中には太陽の光がやさしく差し込む、明るい空間。冬は温室のようにポカポカ、夏は施設内に貯蓄した雪を活用した冷房システム「雪冷房」が稼働するそうです。元ゴミ処理場に建てられた、雪国札幌ならではのエコな建物です。
1階と2階のアトリウムでは、主に週末に、音楽やダンス、美術の展覧会などのイベントが開かれます。そのほか、1階にはレストランやショップ、3階にはイサム・ノグチギャラリーがあります。

「ガラスのピラミッド "HIDAMARI"」とともに、モエレ沼公園で目をひくモニュメントが、「プレイマウンテン」や「テトラマウンド」です。
▲空へ昇っているかのような気持ちのよい道。ただしこの道は自転車NG、山の上へは自転車を停めて歩いて行きましょう
「プレイマウンテン」は、イサム・ノグチがニューヨークのセントラル・パークに作ろうと構想していた「遊び山」が基となっています。米国ではこの構想が実現することはありませんでしたが、ここ札幌で完成させました。
片側は山頂へと白い一本道が続き、思わずスキップでもしたくなるような気持ちのよいフォルムをしています。ところが180度反対を眺めると、エジプトのピラミッドを見ているかのごとく、巨大な石が積みあげられ階段状になっています。
▲手前がテトラマウンド、奥が片面階段状になっているプレイマウンテン
ピラミッドのような階段を降りた麓には、芝生の円いマウンドの上に直径2メートルのステンレス製円柱を三角に組み上げた「テトラマウンド」や、音楽や舞踏のパフォーマンスに利用できる「ミュージックシェル」があります。「ミュージックシェル」は「プレイマウンテン」の巨大な石段の目の前にあり、石段に腰かければパフォーマンスの鑑賞席がわりになります。とてもよく計算された設計だと感心します。
▲真っ白で半円状の形が印象的なミュージックシェル
モエレ沼公園で忘れてはならないものが、「モエレ山」。麓からの高さは52メートルと決して高くない山ですが、平坦なこの地域でのランドマーク的な存在です。山頂までは約10分で登れます。
▲笠をかぶせたような形状をしているモエレ山。どこから眺めても目に入ります

札幌市民の憩いの場でもあり、近年は観光客からも注目のスポット

公園内には幾何学的なモニュメントが点在するほか、独創的な遊具や、高さ最大25メートルまで噴き上がる「海の噴水」もあります。
さらに、春は桜などのお花見、夏は海辺をイメージして作られた子供向けの「モエレビーチ」での水遊びや、冬は「モエレ山」でのスキーやそり遊びも楽しめます。
▲約2,600本のサクラが植樹されているサクラの森の中に、7つの遊具エリアが隠れています
休日にはたくさんの家族連れが訪れるほか、平日は近隣の幼稚園児たちの絶好の遊び場にもなっています。
▲芝生の上で幼稚園児たちがお昼ご飯を食べていました
自然とアートが融合したランドスケープが少しずつ話題となり、グランドオープン後は札幌市民のほか北海道外や海外からの観光客も数多く訪れるようになりました。緑の大地の彫刻を眺めに訪れてみませんか?
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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