博多名物の大本命!実は多様な「もつ鍋」の魅力をご紹介

2016.01.21

博多のご当地グルメの代表格として知られる「もつ鍋」。実は店によって味つけも食べ方もさまざまなんです。そこで今回は、地元ライターの間でも人気が高いもつ鍋店を「醤油」「味噌」「水炊き風」のタイプ別で3軒ご紹介。ぜひその深~い魅力を食べ比べてみてください。

最初に食べるべきは王道の醤油味!

▲「かわ乃 博多店」はJR博多駅から徒歩10分ほどの場所にあります

最初にご紹介したいのが、博多におけるもつ鍋の老舗、「かわ乃」です。春吉、博多に2店舗あり、今回は博多店にお伺いしました。
創業は昭和28 (1953) 年で、戦後間もない頃からもつ鍋をお客様に振舞っていたそうです。現在は3代目の女将が暖簾を守り、その後を継ぐ井上正樹さんが博多店の店長を務めています。
井上さんは「今では具にキャベツも入っていますが、元々はモツとニラだけを代々伝わる秘伝の醤油スープで煮込んで食べていました。中には“キャベツ抜き”でオーダーされる付き合いの長いお客さまもいらっしゃいます」と教えてくれました。

さっそく「もつ鍋」(1人前1,100円・税抜)を注文。
▲はちきれんばかりのプリップリなモツ

特別にキャベツ、ニラを盛り付ける前に、モツとスープだけの状態(上の写真)を見せてもらいました。モツは大腸や小腸、センマイなどをミックスして使用。国産和牛に厳選したというモツは見るからに鮮度がよく、つやつやと輝いています。
醤油スープは透明感を残した琥珀色。炊き込む前からニンニクの香りが食欲を刺激します。
▲写真は3人前です

キャベツ、ニラを盛り付けたら、卓上コンロに火を入れ、グツグツと煮ていきます。基本的にはこのまま放っておいてOK。徐々にキャベツ、ニラに火が通っていき、野菜の山がどんどん下がっていきます。上に乗っている赤い物体は柚子胡椒。卓上にも用意されていて、お好みで加えられます。この柚子胡椒の刺激、そして風味が醤油スープにとても合うんです。
▲これくらい山が沈んできたら食べごろです

キャベツとニラの山が上の写真くらいになったら、底のほうからモツ、キャベツをとって食べ始めましょう。モツはプリッとした食感と、噛みしめるたびに溢れ出るジューシーな肉汁がたまりません。野菜はすべて国産有機栽培。醤油スープには化学調味料の類いを一切入れないなど、昔ながらの製法を今も守っています。
▲汁を麺にしっかり吸わせるのがポイントです

実はもつ鍋の〆としておなじみのちゃんぽん麺(上の写真)。これは「かわ乃」が発祥という説があります。「常連さんが余ったスープがもったいないから、これを入れて、と持ち込んだ麺を入れたのが始まりなんです。自慢のスープをしっかり堪能したいという気持ちが何より嬉しいですよね」と井上さんは笑顔を見せます。
▲1Fはテーブル席がメイン。2Fには座敷席もあります

この博多店では半個室もあり、ゆっくりと落ち着いて食事ができるのも魅力です。モツ鍋を含むコースも1人前2,500円(税抜)から用意してありました。

人気店の味を支える味噌スープの底力

▲黒い建物がシックです

続いておすすめしたいのが、博多における有名もつ鍋店の一つ、「博多もつ鍋 おおやま」です。訪れたのは本店。もつ鍋は醤油、味噌、水炊き風の3種からスープを選ぶことができます。こちらでの一番人気が味噌。最近では味噌スープでもつ鍋を提供しているお店が増えていますが、「おおやま」では創業当時からメニューに取り入れている看板商品なのです。
▲店内には博多祇園山笠のタペストリーが飾ってありました

広報の方に味噌スープの特徴を聞くと、「味噌は全国各地から吟味した10種類を独自の配合でブレンドしているんですよ。味噌ならではのコクがしっかり楽しめます。濃厚なので、こってりした味が好きな方にぜひ食べてみてほしいですね」とにっこり。
▲写真は3人前

もつ鍋の「味噌味」(1人前1,190円・税抜)にはモツ、ニラ、キャベツ、豆腐が入っています。珍しいのが豆腐。他の具材同様、スープのエキスが染み込み、食べ進めるとすぐに無くてはならない具材だと思えます。
▲肉汁をしっかり蓄えています

「おおやま」では、モツに国産和牛の小腸だけを使うのが最大の特徴です。選りすぐりの小腸は、白く輝く脂身がしっかり付いていて、噛み締めると甘い肉汁がジュワッと溢れ出ます。
▲味噌の香りが食欲をかき立てます

そしてモツを始めとする食材からの旨みが溶け込んだ味噌スープが後を引きます。仕上げに入れるというゴマ油の風味もまたアクセントになっています。
こってり好きが思わずニンマリしてしまう濃密な味わいですが、後味は思いの外すっきり。リピーターが多いのにもうなずけました。

もつ鍋なのに“水炊き”!?

最後に紹介したいのが「もつ鍋専門 もつ幸(こう)」です。こちらのもつ鍋は“水炊き風”と呼ばれています。どういう食べ方かというと、もつ鍋の多くはそのまま鍋で煮込んだ具材をスープとともに味わいますが、水炊き風は、スープで炊いた具材を専用のタレにつけながら楽しみます。そのスタイルを確立したパイオニアが、この「もつ幸」なのです。
▲見た目は一風変わっています。写真は3人前

「もつ鍋」(1人前1,000円・税込)を注文。最初に目を引くのが、上にのった餃子の皮。後々、食べてみるとわかるのですが、これがとっても良い仕事をします。
▲火が通った状態の餃子の皮

スープを吸った餃子の皮はツルッとした食感が痛快。キャベツのシャッキリ感、モツのプリッと感とのハーモニーが舌を楽しませてくれます。

キャベツ、ニラの下には鶏ガラスープとともに国産牛のモツが隠れています。モツは小腸、センマイ、アカセンマイ、ハツの4種を入れるのが「もつ幸」流。店長であり、取締役の松尾一豪(かずひで)さんは「モツはそれぞれに違った旨みを備えています。一緒に入れることで、味わいに奥行きが出るんですよ」と笑顔をみせます。
▲途中でまぜつつ、全体に火を入れます

野菜やモツに火が通り、上の写真のような状態になったら完成です。
これが秘伝のポン酢です。添えられた柚子胡椒を溶かしつつ、これに具材を付けながら食べます。鶏ガラスープが染みた具材に、ポン酢の甘酸っぱさが合わさり、本当にいつまでも食べ続けられそうな勢い。ほかのもつ鍋に比べ、さっぱりとしているので、実際、量が多く食べられるという人も多いようです。
▲スタッフさんが手早く調理してくれる〆のちゃんぽん

そしてこちらでマストなのが、〆のちゃんぽん。鶏ガラスープを麺にしっかりと吸わせ、大量のゴマとともに水分をとっていきます。
▲あっという間に完成!

完成すると、パスタのような状態に。何よりもゴマの香りが鮮烈。あんなに食べたはずなのに、食欲が再び息を吹き返します。ちなみに、麺もポン酢に付けながら食べます。これが目当てで通っているという熱烈なファンも多数。必ず食べてほしい〆の一品です。
▲店内は昔ながらのアットホームな雰囲気。カウンターもあります
いかがだったでしょうか。三者三様のもつ鍋は、それぞれに個性があり、どれがベストだとは決められません。ぜひぜひその深い世界、その舌で満喫してくださいね。
山田祐一郎

山田祐一郎

日本で唯一(※本人調べ)のヌードルライター(麺の物書き)として活動。麺の専門書、地元の情報誌などで麺に関する執筆を続ける。7月には福岡のうどん文化を一冊にまとめた自費出版本「うどんのはなし」を上梓。福岡市内の一部書店、オフィシャルwebサイト、掲載されるうどん店などで販売する。

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