世界文化遺産「富士山」と国宝「久能山東照宮」を巡る新春の旅!

2016.01.01 更新

新春に一年の誓いを立てるなら特別な場所で。そんな人にお勧めしたいのは富士山と駿河湾を一望できる「日本平」と「久能山東照宮」です。世界文化遺産に登録されている富士山と国宝の「久能山東照宮」を一緒に拝めば、一年のスタートは最高のものになるはず。思わず背筋が伸びて、身体の中にやる気と希望が湧いてきます。

「日本平」から眺める海越しの富士山

「日本平」は昭和55(1980)年に日本観光地100選の1位に選ばれたこともある景勝地。世界文化遺産に登録されている「三保松原」から車で30分程度のところにあります。標高約300メートルの高さから眺める富士山は左右に緩やかな稜線を描きながら、優美なシルエットを見せてくれます。
▲日本平山頂の展望台から。富士山、三保松原、駿河湾などを一望できます

「日本平」を訪ねたら展望台まで足を延ばしましょう。展望台は無料駐車場から徒歩5分。富士山、駿河湾、三保を一望できる大パノラマは生涯の記憶になり得る爽快な光景です。富士山と反対方向の西側に目を転じると、徳川家康が街の基礎を造り上げた静岡市の繁華街も見えます。

日本で最初の東照宮はここ!

▲国宝に指定されている「久能山東照宮」の社殿(左)と「日枝神社」

「日本平」の展望台から富士山の雄姿を眺めたら、次は荘厳な「久能山東照宮」へ向かいましょう。国宝に指定されている「久能山東照宮」は、標高216mの久能山山頂にあります。表参道にあたる石の階段を1,159段上がって行くこともできますが、日本平からロープウェイで向かうスタイルが一般的です。言い換えれば「日本平」と「久能山東照宮」はセットで回る観光スポットなのです。
▲「久能山東照宮」へ向かうロープウェイ乗り場。お土産屋さんも充実!

「久能山東照宮」へのロープウェイ乗り場は、「日本平」の展望台から徒歩5分の日本平パークセンター内にあります。ロープウェイは拝観時間に合わせ、日中は10分おき、朝夕でも15分おきに運行しているので、時間を決めずに出かけても不便はありません。
▲ロープウェイの搭乗口。「久能山東照宮」までの所要時間は約5分です
▲ロープウェイは中間地点で往路と復路の車両がすれ違います

ロープウェイは往復料金に東照宮拝観料と博物館入館料がセットになった3点セット券(税込1,750円)がお得です。わずか5分の空中散歩ですが、車内では観光ガイドがあり、切り立った屏風谷や駿河湾の海原を楽しむこともできます。
▲久能山駅に到着するロープウェイ。ここから東照宮まで徒歩約1分です

久能山東照宮は徳川家康の「遺骸は久能山に埋葬すること」という遺言に従って、二代将軍の徳川秀忠が造営した神社です。当時の建築技術を結集した「権現造」という様式は、日光東照宮をはじめ、全国にある東照宮建築のひな形になっています。つまり日本の東照宮の歴史は久能山から始まったのです。大工の棟梁は国宝の二条城などを手がけた中井正清。久能山東照宮はその晩年の傑作として評価され、2010年に国宝に指定されました。
▲全景図で全体のイメージをつかんでおきましょう
▲ロープウェイを降りてすぐ現れる社務所。お札やお守りはここで!

国宝に指定されて以来、多くの外国人観光客が久能山東照宮を訪れています。神社の広報担当によれば、イタリアやスペインなど、ヨーロッパからやって来る人が多いとのこと。欧州人は歴史的建造物に対する感心が高いようです。
▲最初に現れる楼門。ここをくぐって東照宮詣でが始まります

参拝初穂料(大人500円)を納めて、最初に現れるのは楼門です。二階部分に後水尾(ごみずのお)天皇の書となる「東照大権現」の扁額(へんがく)が掲げられています。荘厳な造りに目を見張りますが、ここはまだ入口に過ぎません。国宝の社殿はここから石段を上って徒歩約3分のところにあります。その途中にある鼓楼、神庫、神楽殿なども必見です。
▲国宝の社殿。絢爛豪華な造りに思わず息を飲みます
▲社殿に施された精巧な意匠。葵の御紋がそこかしこに見えます

久能山東照宮は50年に1度、建造物の塗り替えが行われています。直近の塗り替えは2006年に終わったので、今なら創建当時の色彩感を目の当たりにできます。全体の荘厳な印象はもちろん、細部に施された造作や彫刻にも圧倒されます。しかも、これをわずか1年7カ月という短い期間で完成させたというのですから、江戸時代の職人が持っていた力量と情熱には舌を巻きます。
▲社殿の一部。細部まで見たい人は双眼鏡を持参しましょう
▲あまりの精巧さに目がクラクラしてくるほどです

なぜ1年7カ月という短期間で社殿を造り上げることができたのか?答えはプラモデルのように予め部品を作っておき、それを現場で組み立てたからです。その意味で久能山東照宮の社殿はプラモデルの原型と言われています。また、社殿建築にあたり、優秀な職人が全国から駿府(現在の静岡市)に集まり、その後も定住したことで、精巧な手仕事を施す職人文化が駿府に花開きました。
▲ 静岡ホビーショーの1コマ。静岡はプラモデルの世界的な聖地です

現在、静岡のプラモデル製造は世界一と評されており、毎年行われる静岡ホビーショーには全世界から来場者が詰めかけます。そんな静岡のプラモデル文化を語る時、久能山東照宮の社殿は絶対に欠かせない存在です。
▲久能山東照宮の境内には静岡産のプラモデルも展示されています
参拝は社殿にある拝殿で行いましょう。神前での参拝作法は二拝、二拍手、一拝(にはい・にはくしゅ・いっぱい)です。初めに腰を90度曲げる要領で深くおじぎを2回、次に5本の指がぴったり合うように拍手を2回、最後にもう一度おじぎを1回します。
賽銭箱の向こう側に「石の間」があります。ここは神の世界である「本殿」と人の世界である「拝殿」をつなぐ空間で、久能山東照宮一番の見どころと言っても良いでしょう。中に入ることは通常できませんが、外から内部を見ることはできます。極彩色が織り成す重厚にして繊細な空間はまさに必見。天井や壁に施された優美な装飾にも目を奪われます。

この石の間がある社殿様式を「権現造」と呼びます。「権現造」は久能山東照宮で確立され、その後、全国の東照宮のひな形になりました。ちなみに「権現造」という名称は存命中の家康が「権現さま」と呼ばれていたことに由来します。
▲社殿と神廟(しんびょう)の間にある廟門と廟所参道

社殿の正面から左側へ回り込むと廟門と廟所参道があります。その石段を登っていくと、東照宮詣でのクライマックス、神廟です。ここは徳川家康の遺骸を埋葬した場所で、当初は小さな祠が建っていたそうです。その後、三代将軍の徳川家光が高さ5.5m、周囲8mの石塔を設け、現在に至っています。
▲徳川家康の遺骸が埋葬された場所に立つ神廟

絢爛豪華な社殿を見た後だけに、やや意表をつかれるほどシンプルな造りですが、それゆえに静謐で神聖な空気を感じます。あたりを見回すと神廟に向かって無言で立ち尽くす人も多く、家康の気配に気圧されているようです。ちなみに神廟は家康の遺言に従って西向きに建てられています。これは京都の方角に対して“睨みをきかす”という意味が込められていると言われています。

将軍ゆかりの品が並ぶ「久能山東照宮博物館」

▲「久能山東照宮博物館」には歴代将軍の武具などが展示されています

最後は「久能山東照宮博物館」を見学しましょう。場所は来た道を戻り、社務所を過ぎた右側です。この博物館は久能山東照宮が公益財団法人の徳川記念財団とともに運営しているもので、1階と2階の常設展示場に歴代将軍の武器や武具などが展示されています。本物が醸し出す重厚感は凄まじく、眺めているだけで歴史の中へ引きずり込まれてしまいます。

時間に余裕があれば、博物館の先にある門衛所をくぐり、表参道にあたる石段を下り切ると海岸へ出られます。海岸に面した通り(国道150号線)にはイチゴ狩りの店がズラリと並び、毎年12月~5月くらいまでイチゴ狩りが楽しめます。

初詣情報

通常、久能山東照宮は朝から夕方までしか参拝できませんが、元旦に限り、午前0時(深夜)に開門するため、夜間の参拝もできます。1月2日から1月7日も通常よりやや早め(午前8時頃)に開門します。ただし、正確な時刻は決まっていないので、遠方から訪ねる場合は事前に社務所に問い合わせておきましょう。なお、日本平ロープウェイも東照宮の開門時間に合わせて運行されます。
佐野正佳

佐野正佳

1960年、静岡市生まれ。25年間、東京で暮らした経験を持つため、静岡の魅力を外からの視線と合わせて語れることが強みです。音楽家、音楽ライター、フリー編集者を経て、現在は出版社「マイルスタッフ」に勤務。旺盛な好奇心と「のぞきや精神」で全国各地を東奔西走しています。

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