初詣のその前に。知っておきたい伊勢神宮参拝のいろは

2015.12.28

三重県伊勢市にある伊勢神宮。伊勢神宮は、すべての神社の最高位であり、まさに別格な存在。一年中、全国各地から多くの参拝者が訪れますが、特にすごいのが初詣シーズン。正月三が日の日中は、ほとんど身動きがとれないほどです。それでも日本人なら、一度は参拝に行ってみたいもの。初詣に行く前に、まずは知っておきたい伊勢神宮のアレコレをご紹介します。

伊勢神宮「宇治橋」

お伊勢まいりは外宮から

「伊勢神宮」とは、ひとつの神社のことではありません。
皇室の祖神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀る皇大神宮(こうたいじんぐう)、通称「内宮」(ないくう)。
衣食住の守り神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀る豊受大神宮(とようけだいじんぐう)、通称「外宮」(げくう)。
これらを中心とした125のお宮とお社を総称して「伊勢神宮」(正式名称は「神宮」)と呼びます。

神宮林などもすべてあわせると、広さはなんと約5,500ヘクタール。東京ドーム約1,200個分という広大な敷地です。
今回は、お伊勢さん観光ガイドの会の西田伸さんに外宮・内宮の参拝コースを案内してもらうことに。
お伊勢さん観光ガイドの会は、伊勢神宮を案内してくれるボランティアガイドさんたちの団体。残念ながら、初詣の時期、年末年始はお休みですが、なんと無料で案内してもらえるんです(要予約、両宮ともガイドする場合、案内中の移動にかかるガイドさんの交通費1,000円と、案内がお昼の時間にかかる場合は食事代1,000円が必要です)。

神宮参拝の順序は、多くの場合、外宮をまわってから内宮というのが習わしということで、まずは、外宮へと向かいました。
「お伊勢さん観光ガイド」西田伸さん
▲お伊勢さん観光ガイドの会 西田伸さん
外宮の入り口、表参道火除橋(おもてさんどうひよけばし)前の立て看板から、ガイドスタートです。

「はい、ここに書いてある御饌(みけ)とは何のことでしょうか?御饌とはお食事のことです。つまり、今から1,500年ほど前、内宮にいらっしゃる天照大御神のお食事をつかさどる神として、豊受大御神がここにいらっしゃった。こう書いてあるわけですね」
日本書紀を引用した自家製のコピー資料などを見せながら、熱く語ってくれる西田さん。詳しく、わかりやすく、伊勢神宮の成り立ちや皇室の歴史を解説してくれます。

まずは、火除橋を渡って手水舎(てみずしゃ)へ。
外宮の手水舎
▲外宮の手水舎
ここは、参拝前に心身を清めるところ。西田さんから、手水の作法を教わります。
まずは、右手で柄杓をもって、いっぱいのお水をすくいます。左手を清めたら、持ち替えて次は右手。そしてまた持ち替えて、左手に水をため、その水で口をすすぎます。左手を洗い流したら、最後に柄杓を縦にして、柄の部分を洗って戻します。
最近の参拝者には、この手順を知らない方も多い様子。ぜひ身につけておきたい作法です。
外宮の正宮(しょうぐう)
▲外宮の正宮(しょうぐう)
そして、ここが、豊受大神宮(外宮)の正宮。この奥にある御饌殿(みけでん)は、天照大御神をはじめとする神々に、食事をたてまつるところ。そのためここでは、神饌(しんせん)と呼ばれる神様のお食事をお供えする儀式が毎日朝夕2回行われています。この儀式、1,500年前から続いているというから驚きです。台風が来ようが、戦時中であろうが、1,500年間連々と続いているんです。
いかにここが特別で、すごいところなのか改めてわかります。

いよいよ内宮へ

お次は、内宮。外宮から車でおよそ15分ほどの距離にあります。
神宮の表玄関ともいわれる内宮入口の宇治橋(うじばし)
▲内宮入口の宇治橋(うじばし)
五十鈴川(いすずがわ)に架けられた檜造りの和橋「宇治橋」は、神宮の表玄関ともいわれる象徴的な場所。両側には立派な鳥居が建っています。
宇治橋を渡った先に広がるのは、神の庭「神苑 (しんえん)」
▲宇治橋を渡った先に広がるのは、神の庭「神苑(しんえん)」
宇治橋を渡り、神の庭とされている「神苑」を越えてしばらくすると、手水舎が。外宮同様、ここで手や口を清めます。
さらにその奥、参道の右手のゆるやかな斜面を下りて行くと五十鈴川岸の御手洗場(みたらし)に出ます。
五十鈴川御手洗場(いすずがわみたらし)
▲五十鈴川御手洗場
「昔は、手水舎がまだなかったので、参拝者はここで、身を清めたんです。ここは天照大御神を祀る場所を探し、旅をしていた倭姫命(やまとひめのみこと)が御裳(みも:当時の服)のすそを濯がれたという伝説の残っている場所。この伝説から五十鈴川は別名「御裳濯川(みもすそがわ)」とも呼ばれているんですよ」
西田さんは続けます。
五十鈴川御手洗場で手を清める
「内宮のある上流から流れてくる、まさに清流です」

一般的な参拝作法としては、手水舎で手を清めれば、ここを省略しても構わないとされているとのこと。
しかしせっかくなら、倭姫命の伝説の場所である清流五十鈴川で手を清めるのが通のスタイルってものですよね。
たきまつりのかみ
▲瀧祭神(たきまつりのかみ)
もうひとつ通の参拝スタイルをご紹介しましょう。
五十鈴川御手洗場で手を清めた後、西田さんは、表参道へ戻らず、細い小道へと進んでいきます。
「ここは、瀧祭神。今は、瀧というと上から下へと水が落ちる所をいいますが、昔は、川も瀧と言ったんです。
つまり、五十鈴川の神様を祀っているのがここ。天照大神がここへ来られる前から、ここにいた川の神様がいる場所として、小さいですがとても重要なところなんですよ」
地元では「とっつきさん」「取り次ぎさん」と呼ばれ、「ここで、内宮に参拝する前に、名前や住所や参拝に来たことを事前にお祈りする」ことで瀧祭神が天照大神にお取り次ぎしてくださるとされているそうです。
あなたもぜひ、内宮に直行するまえに、「とっつきさん」で取り次ぎをお願いしてみてください。
神楽殿
▲神楽殿
表参道へと戻り、しばらくすると見えてくるのが神楽殿。ここは、お札やお守りを受け取ったり、ご祈祷を受けたりする場所です。内宮参拝記念の御朱印もここでいただけます。
▲内宮の正宮(しょうぐう)
そして、いよいよ辿り着いた内宮の正宮。
「神社というと、お賽銭箱がつきものですが、ここではお賽銭はいりません」
西田さんによると、ここは、個人的なお願いをするところではなく、感謝をするところ。
そもそも天皇以外の貢物は認めておらず、お賽銭箱を設けていない。
初詣時には、それでもお賽銭を投げ入れてしまう人が多々いるため、臨時のお賽銭箱が設置されるといいます。 

では、参拝作法をご紹介します。神宮への一般的な参拝作法とされているのが、二拝二拍手一拝。
まず、しっかりと2回お辞儀をします。そして2回手を打ちます。
手はぴったり合わせるのではなく、少し右手を下にずらすのがポイント。

「手を打つのは、神様に自分の心音(こころね)を聞いてもらうためです。ピッタリあわせると、あまり音が響かなかったりするからとか、神を表す左手に対し、人間を表す右手を少し下げて、失礼にあたらないようにするためなどと言われています」
と西田さん。

これで、参拝の作法はバッチリ。
日頃のご加護に対する感謝を神様に伝えてください。
とても、ここではご紹介しきれないほど、神宮のスケールは大きく、興味深いエピソードがいっぱい。
神宮のお話に興味がある方は、改めてガイドさんの案内のもと、巡ってみてはいかがでしょう?
次々と奥が深い神宮のお話をしてもらえるので、新しい発見があるはずです。
伊勢神宮で心洗われたあとは、「おかげ横丁」へ。
内宮前にあるおかげ横丁は、お伊勢参りで賑わった江戸から明治時代の建築物を再現・移築した、レトロな町並みの人気スポットです。「赤福」をはじめ、さまざまな伊勢名物が楽しめる食事処やお土産やさんが集まっています。

参拝後に、コーヒーやぜんざいでホッと一息

正月には「おかげ横丁」内の多くのお店で営業時間を延長。大晦日から元旦にかけてはオールナイトで営業する店も多く、初詣に訪れる参拝客をもてなしています。そんな中、参拝の後にホッと一息立ち寄って体を暖めたいのがこちら、「五十鈴川カフェ」。
「五十鈴川カフェ」外観
▲五十鈴川カフェ
五十鈴川沿いに建つ古民家風のおしゃれな建物。こちらでは本格派コーヒーや各種ケーキが味わえ、冬期限定のぜんざいもあるそう。
五十鈴川カフェ内観
店内に入ると、コーヒーの芳ばしい香りがふわぁ~と広がります。カウンター、テーブル席の他に、囲炉裏のある畳の席や小上がり席。和洋折衷のなんともいい雰囲気です。
五十鈴川カフェのオープンテラス席
▲オープンテラス席(喫煙席)は目の前に五十鈴川が広がる
さて、それでは、この時期オススメ、冬期限定のぜんざいをコーヒーと一緒にいただくことに。
横丁ぜんざい
▲横丁ぜんざい コーヒーセット890円(税込)
きれいなあずき色をしたぜんざい。そこに浮かんでいるのは、ほんのり焼き目のついたお餅。器から立ち登る湯気が食欲をそそります。

「ほぉ~。あったまるぅ」
思わず、ため息がもれるやさしい味。甘さひかえめで、スーッと体に染み渡り、冷えた体を温めてくれます。
お餅もシンプルでいて、しっかりした存在感。お汁との相性もバツグンです。
ブレンドコーヒー
▲ブレンドコーヒー ストロングブレンド(深煎り)・マイルドブレンド(中煎り) 各420円(税込)
そしてコーヒー。五十鈴川カフェでは、自家焙煎のオリジナルブレンドコーヒー豆を使用しています。
飲みやすく、まろやかな味わいのマイルドブレンド(中煎り)と、酸味が少なく、コク・キレのある味わいが特長のストロングブレンド(深煎り)の2種類から選べます。筆者はマイルドブレンドを注文。

なるほど、「飲みやすい!」
コーヒーらしい苦味もありながら、文字通りマイルドで、とても口当たりがいいんです。
ネルドリップで抽出する本格派コーヒー
▲ネルドリップで抽出する本格派コーヒー
初詣で伊勢神宮に来たら、「五十鈴川カフェ」のぜんざいやコーヒーで、ひと休みしてみては?
心も体もほっこりしますよ。

ふぐを食べて、福を呼ぶ?三重ブランド「あのりふぐ」を食す

ここ伊勢志摩・鳥羽エリアは、豊かな海の幸でも有名な地域。
せっかく伊勢にきたのであれば、やっぱり新鮮な伊勢湾の海の幸も味わっておきたいところ。
「横丁まるせい」。店の軒先にはかわいらしいふぐが
▲「横丁まるせい」。店の軒先にはかわいらしいふぐが
そのお店の名は、「横丁まるせい」。三重ブランドにも認定されている伊勢志摩の特産「あのりふぐ」の卸問屋「丸勢水産」が運営するお店です。
「横丁まるせい」。店の軒先にはかわいらしいふぐが
のれんをくぐり、店内に入ると、料理人が、カウンターで見事な包丁さばきを披露しています。
「横丁まるせい」。店の軒先にはかわいらしいふぐが
▲「横丁まるせい」。2階のお座敷席へと続く立派な階段
あのりふぐ御前 3,000円(税込)
▲あのりふぐ御膳 3,000円(税込)
お店の看板メニューの「あのりふぐ御膳」。鉄皮(てっぴ)、鉄刺(てっさ)、唐揚げ、ふぐ飯、土瓶蒸しと、まさにふぐづくしです。いろんな調理法でふぐを楽しめます。
ふぐの唐揚げ
▲ふぐの唐揚げ
なかでも絶品だったのが、ふぐの唐揚げ。
サクサクの衣にプリプリの身。あっさりとしていながらも、新鮮なふぐならではのやさしい甘み。この独特の甘みがたまらない美味しさで、癖になってしまいそう。

これが、破格のお手頃価格で味わえるというのも、「あのりふぐ」取扱い日本一という卸問屋の「横丁まるせい」だからこそ。

こちらも、伊勢神宮参拝の際には、ぜひ立ち寄ってもらいたいオススメスポット。
ふぐを食べて、福を呼ぶ。新年のスタートにも、もってこいですよ。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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