スピリチュアル高野山!金剛峯寺の瞑想体験

2015.12.21

和歌山県高野町にある日本仏教の聖地、高野山。2004年、世界遺産に登録されたのをきっかけに、世界中から多くの観光客が訪れます。そんな高野山の魅力を全3回にわたってご紹介。今回は、究極のリラックス法ともいわれる、真言密教に伝わる呼吸・瞑想法「阿字観(あじかん)」を「金剛峯寺(こんごうぶじ)」で体験してきました!

高野山
高野山は、平安時代のはじめに弘法大師 空海が開いた真言密教の修験道場です。その歴史は古く、今年2015年で、なんと開創1200年!
杉木立の濃い緑に囲まれた標高約1,000mの山上一帯に、100を超えるお寺や塔、お堂が広がっていて、古くから修行僧だけでなく、多くの人びとが巡礼や参拝に訪れてきました。

かつて人びとが、麓からはるばる登った「高野山町石(ちょういし)道」などの参詣道。高野山開創の際、弘法大師が建てたとされる木製の道しるべは、鎌倉時代に町石に姿を変え、1町(109m)ごとに建てられました。それらは、ほぼ完全な形で今日まで残されており、世界遺産に登録された今でも、歴史に思いを馳せ、ハイキングを楽しみながら登ることができます。

もちろん電車とケーブルカーを乗り継いだり、車でも登ることができるので、日帰り旅行スポットとしてもオススメ。気軽にふらっと立ち寄ることもできます。

山中で別世界に迷い込んだような神秘的なまち

山の麓から、西高野街道と呼ばれる何の変哲もない峠道を車で登ること数十分。車窓からの景色は徐々に、高野山ならではの表情を見せはじめます。まず、山の木々の間からチラチラと目に映る、大きく真っ赤な建物。
大門
▲大門(だいもん)
その正体はこの「大門」。幅約21m、高さ約25m。高野山の西の入り口に建つ丹(に)塗りの大きな門です。

鮮やかな朱色と山々の緑とのコントラストがきれい。そしてなによりこの存在感。その威風堂々とした門構えに圧倒されます。
大門の金剛力士像
▲大門の左右に安置された金剛力士像(仁王像)。奈良県東大寺の仁王像についで、国内で2番目に大きなもので、こちらも大迫力
「大門」から東に進んで、ほどなくすると見えてくるのは、「壇上伽藍(だんじょうがらん)」。弘法大師が真言密教の根本道場を開くにあたり、最初に整備に着手した場所です。
根本大塔
▲高さ50mの多宝塔「根本大塔(こんぽんだいとう)」
ここでまず目を奪われるのは、「根本大塔」。
先ほどの「大門」よりもさらに明るく輝く朱色。この直線と曲線を織り交ぜたフォルム。何時間見ていても飽きない、不思議な魅力に取りつかれます。
壇上伽藍の「金堂」
▲弘法大師が伽藍の造営にあたり最初に建立した「金堂(こんどう)」
お寺の方が教えてくれました。
「高野山は高野山全体がお寺なのです。高野山の至る所がお寺の境内地であり、その本堂となるのがこの『金堂』。高野山の重要行事のほとんどは、この金堂にて執り行われます」
蓮池
▲景勝地としても名高い蓮池(はすいけ)
そのお話どおり、高野山は、山全体から神秘的な雰囲気があふれています。目に映る風景のどこを切り取っても、豊かな自然と仏教建築。美しく、趣のある風景が広がっています。

たくさんの観光客で賑わってはいるのですが、空気が落ち着いていて、とても静か。どこか別世界に迷い込んだような感覚に陥ります。
高野山に訪れるお遍路さん
▲弘法大師の眠るこの高野山にお礼まいりに訪れるお遍路さんの姿も

金剛峯寺で阿字観に挑戦!

金剛峯寺
▲「金剛峯寺」
そしていよいよやってきたのは、日本全国に3,000余の寺があるという高野山真言宗の総本山「金剛峯寺」。

いよいよこちらで「阿字観」を体験させていただきます!

さてさて、そもそも「阿字観」とは、弘法大師によって伝えられた、真言密教における呼吸法・瞑想法のひとつ。僧侶が気持ちを落ち着かせるために修行として行っていたものだそう。

現在、ここ「金剛峯寺」をはじめ、高野山のいくつかのお寺で、一般の方でも「阿字観」を体験することができます。
本日の先生、月原 真人さん
▲阿字観道場へ。本日の先生は、月原 真人さん
僧侶の月原さんの案内のもと、金剛峯寺内の阿字観道場へ。こちらの道場は一般非公開。関係者のほかは体験者しか入ることのできない貴重な道場です。
塗香
▲塗香(ずこう)
道場に入る際、体験者に、塗香と呼ばれる一摘みのお香が手渡されます。これを手のひら、手の甲へと擦り込み、これから瞑想に入るためのお清めをします。
阿字観道場
道場の中は少し薄暗く、「阿」の字を表す梵字が書かれた掛け軸がかけられた、畳敷きのシンプルなお部屋。全部で20名ほどのこの回の体験者が、順に座っていきます。

体験者の年齢層は幅広く、おじいちゃん、おばあちゃんから子どもまでさまざまです。予想以上に若い女性が多くてびっくり。

「正座ですら苦手なのに、瞑想なんてできるやろか…」
筆者の不安をよそに、説明が始まりました。
阿字観
「阿字観とは、『阿』という字を観ると書きます。この『阿』という字は、梵字で…」

仏教のことがわからない人にもしっかりわかるような簡単な説明で、ていねいに説明してくれる月原さん。

どうやら、阿字観というのは、心を落ち着かせる究極のリラックス法だということ。インド仏教のヨガが今日、現代の日常生活の場でフィットネス感覚で取り入れられているように、それと起源を同じくするこの阿字観も気軽に日常生活に取り入れて、リラックス、心を落ち着ける手段にしてもらえれば…。
今日はそんなきっかけになる体験だということ。

なるほど。リラックスしちゃえばいいんですね。

「それでは、私と一緒に南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)と3回唱えてまいります」
「なむぅだいしぃーへんじょうこんごぉーーー」
阿字観体験
体験者一同は、月原さんのていねいな説明にあわせて、一つひとつの手順をゆっくりと進めていきます。

まず、「半跏趺坐(はんかふざ)」という「あぐら」に似た座り方から教わります。円形の小さな座布団の上で、 右足を左ももの上にのせるようにして、足を組みます。
こうして座るとあら不思議、自然と背筋がまっすぐに伸び、なんとも身が引き締まる思いがしてきます。

姿勢を正し、おへその前で楕円をつくるように手を組みます。
きちんと、瞑想らしい格好になってきました。
阿字観の姿勢
▲「半跏趺坐」の姿勢
そして、鼻から深く息を吸いこみ、口から長く吐き出す。いわゆる深呼吸を繰り返していきます。
心が静まったら、今度は息を吐きながら、「アー」と声を出します。
徐々に声のボリュームを落としていき、最後には心の中で「阿」を唱えている状態になります。

誤解を恐れずに簡単に説明すると、このような内容。

瞑想や仏教の知識があまりない筆者のような者でも、説明どおりにマネをしていけば、次第に要領がつかめてきます。
そして…

時が止まったような静かな空間。
フーッ、フーッ……。
体験者の深い呼吸の音、そこにときどき、月原さんのやさしく解説する声だけが響きます。
深い呼吸によって、漂う神聖な香の匂いが体中に染みわたり、浄化されていくような気分です。
阿字観
時間にすると、1時間ほど。
「雑念もなく、しっかり瞑想できていたか」と聞かれると、自信をもって「はい」とは言えませんが、それでも、日常生活の中で忘れていた、静かな時の流れを感じ、心を落ち着かせることができました。
すべてが終わると、全身マッサージを受けた後みたいなスッキリとした気分になれます。

極めるのは、それはそれは大変で、相当な修行が必要かもしれませんが、体験としてはとても簡単に気軽に参加できる内容。
そして妙にすがすがしいすっきり感。
ぜひ一度体験してみてください。
さて、高野山にはまだまだ見どころいっぱい。
次回は、総持院さんにおじゃまして、宿坊、精進料理をご紹介します。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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