瀬戸内の海が育んだ最高品質の「オリーブハマチ」を贅沢に頬張る

2015.11.22

香川県の県魚である「ハマチ」と県木「オリーブ」のコラボレーションで生まれた「オリーブハマチ」は、身がしまっていてしっかり脂も乗っているのに、後口はさっぱりしているとあって大人気。そんな「オリーブハマチ」の実態を探りに、最大産地へと足を運んできました。

「オリーブハマチ」最大の産地へ

訪れたのは「オリーブハマチ」最大の産地、香川県高松市にある「庵治町(あじちょう)」。穏やかな海とどこか懐かしい街並みが続くこの町は、映画「世界の中心で愛を叫ぶ」のロケ地になったことでも知られます。

今回「オリーブハマチ」の美味しさを味わうために向かったのは、庵治の海を一望できる高台にある喫茶店「あるぷす」。「オリーブハマチ」の第一人者である漁師・嶋野文太さんと奥様が営むお店で、窓からは「オリーブハマチ」の漁場である海が見えます。
▲海を望む特等席にある「あるぷす」。気持ちが良くて癒される
▲窓からは海が一望できる。目の前の海から揚がる魚を楽しめるとは贅沢

「あるぷす」は、名前の通りアルプス山脈を想わせる欧風の建物で、店内は木の温かみに包まれています。中に入ると「オリーブハマチ」のミニのぼりが置かれていて、オリーブハマチ料理への期待が高まります。
▲店内には「オリーブハマチ」のミニのぼりが。オリーブハマチ押しなのが伝わる

メニューには、今回の目的である「オリーブハマチあぶり丼」が大きく書かれている他、「いくらとアオリイカの丼」や「生シラス丼」などと旬のお魚がズラリ。さすが漁師直営のお店です。
▲「あるぷす」のメニュー。選りすぐりの旬の魚の美味しさを堪能できる

お店で出すのは自信ある最高品質の魚のみ!

「自信を持って出せる最高品質の魚だけを使うから、魚のメニューは数量限定や。水温など自然の影響を受けるので、日によっては出せない時もあって申し訳ないけど品質は譲れん」と文太さん。

お目当ての「オリーブハマチあぶり丼」も、オリーブハマチは9月15日から出荷しているにもかかわらず、お店で出し始めたのは10月12日からとのこと。

▲「オリーブハマチあぶり丼」税込1,000円。平皿にのっていて品がある

「水温が下がって脂の乗りが良くなったので、やっと納得できる一品になった」

そう言って出してくれた「オリーブハマチあぶり丼」はボリューム満点。平たい丼の上に大きなオリーブハマチが8切れも。スーパーなどの店頭で売られている刺身は5切れで480円ほどなので、「あるぷす」の丼はとてもリーズナブルです。

表面は軽く炙られ、裏側は生のまま。艶ややかに乗った脂と焦げ目のコントラストが美しくて、もう食欲を抑えきれません。醤油を回しかけたら丼を持ち上げて遠慮なくパクリッ!
ふっくらとした「オリーブハマチ」が、粒のたった新米と口の中でほぐれあいます。鮮度の良さを表すように魚臭さは全くなく、炙って香ばしくなったハマチは醤油、お米と見事な相性をもたらします。また、乗った脂がハマチの甘みと旨みを引き立て、舌を唸らせます。
▲「オリーブハマチ」の香ばしさと、甘み・旨みのバランスが絶妙

しっかりと脂が乗っているのに後口はさっぱり。こんなに美味しい魚があるのかと驚きました。まさにこだわり抜いた品質、そしてその美味しさの楽しみ方を知る漁師あってこそ!

美味しさの秘訣は100日以上に渡る餌やりとオリーブの葉

そもそも「オリーブハマチ」とは、オリーブの葉の粉末を添加した餌を20日間以上与えた養殖ハマチのことをいいます。実はハマチの養殖が始まったのも、ここ香川県。「オリーブハマチ」は、文太さんの研究協力の下、県のハマチ養殖80周年の節目である2008年に誕生した、ブランドハマチです。
▲「オリーブハマチ」を養殖している生簀。奥には主な出荷先、高松漁港が見える

さて、そんな「オリーブハマチ」の美味しさの要を文太さんに伺いました。

「ハマチの味は餌で変わる。ベースは『真鰯』の稚魚とサンマ。脂の少ない片口鰯ではなく、脂の乗った真鰯の稚魚を与えるから脂が乗る。人間が食べて美味しいものを与えるとハマチも美味しくなる。その真鰯も獲れたてを冷凍し、鮮度は良いものを与える。ビタミンもしっかりあげておかなければビタミン欠乏症になってしまうから、僕は他の人の倍はあげとるよ」
▲養殖にかかる時間のほとんどが100日以上に渡る「餌やり」だそう
▲鮮度にも配合にもこだわり抜いた餌を与える

「オリーブの葉の粉末を与えた『オリーブハマチ』は普通のハマチより高く売れるけど、差額分は餌のオリーブ代ですぐに消えるし、通常より200gほど小ぶりで歩合が悪い。でもええのが出来る。刺身でも普通は醤油をつけたら大きな脂が浮くけど、『オリーブハマチ』はきめ細やかな小さな脂が浮く。身がしまっている証拠や」

文太さんは生き生きとした表情でそう話します。
▲オリーブハマチの産みの親・嶋野文太さん。島野養殖の3代目で、まだ40歳なのに20年以上ハマチを育て続けているベテラン

さらに、庵治漁協組合長で文太さんのお父さん、嶋野勝路さんは「息子は“どこよりも美味しいハマチ”を作るのが生きがい。通常のハマチはスーパーに並んだその日に売れなければ破棄されるが、息子はロスの少ない状況を作りたくて『オリーブハマチ』に行き着いたんだよ。『オリーブハマチ』なら劣化しにくく3日持つ。オリーブとビタミンをしっかり与えると、滑りのある傷がつきにくいハマチになるしね」と続けました。
「オリーブを与えるのは出荷20日前から。それまでの150日前後の間にハマチとして最高の状態にしておかなければ、『オリーブハマチ』としての“良さ”が出ん。品質100%にしてから、新鮮なオリーブの葉の粉末を与えることで最高のコーティングをしてくれる。これまでも茶カテキンやブドウポリフェノール、石の粉を与えたりしたけれど、効果はオリーブが断トツや」と文太さん。
▲真鰯とオリーブの葉の粉末を混ぜる手前。この餌を出荷20日前から毎日与える
▲オリーブの葉には、抗酸化作用の強いポリフェノールの一種「オレウロペイン」が豊富に含まれている。粉末は入手後2日以内の新鮮なうちに使う

さらに「1日200~300匹のオリーブハマチを全て手で神経締めと血抜きをしてから、夜中の1時に出荷する。美味しいのは血抜き後6時間~48時間。締めてすぐより、置いておいた方が旨味成分のイノシンサンが出て美味しくなる。ちょうど食卓に出る時が食べごろや」と力強く語ってくれました。
▲生簀から揚げてすぐに神経締めと血抜きをして、鮮度の良い状態で出荷する

文太さんの「オリーブハマチ」は、2008年に日曜市で試験販売を開始。そして2009年に高松漁港へ出荷を始めると、あっという間に買付けの予約が埋まりました。その後も引く手あまたで、都市の高級スーパーや有名寿司屋など、価値をわかり、適正な価格で取引してくれるところと取引しているそう。
▲作業後生簀に佇む、文太さん。絵になるなぁ…

そんな文太さんの品質への追求心が形になったのが、「あるぷす」の「オリーブハマチあぶり丼」。数に限りがあるので電話予約をしてからぜひお訪ねください。

窓からは穏やかな海を一望。その海から「オリーブハマチ」に大志を抱く漁師・文太さんが自ら届けた選りすぐりの「オリーブハマチ」を堪能できます。まさに、現地へ行かなければ味わえない美味しさです!
黒島慶子

黒島慶子

醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときに体温が伝わる醤油を造る職人に惚れ込み、小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続けている。 (編集/株式会社くらしさ)

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