山の景色は一期一会。絶景と感動を夏の栗駒山で

2015.06.17 更新

栗駒国定公園の主峰である栗駒山は標高1,626m。宮城、岩手、秋田の三県に裾野を広げるコニーデ型の火山です。コニーデ型とは、火口から溶岩などが吹き出して積み上がった山のこと。富士山や岩手山のような美しい円すい形をしているのが特徴です。東北のほぼ中心に位置する栗駒山は、原生林や湿原、湖沼など見どころがたくさんあります。登山コースも初級者から上級者向けまでいくつかあり、何回登っても楽しめるのが魅力。そんな栗駒山の歩き方と楽しみ方について、ガイドチーム花山山岳会の会長・太宰智志さんに聞きました。

夏におすすめのアドベンチャーコース

栗駒山の主なトレッキングコースは、宮城県側と秋田・岩手県側とに分かれています。その中から今回は、夏に楽しめる宮城県側のコースを紹介しましょう。

初心者でもベテランでも楽しめるルートとして人気なのが、いわかがみ平を出発して東栗駒コースから栗駒山頂に向かい、中央コースからいわかがみ平に下るルート(登り2時間30分、下り1時間 ※休憩時間除く)です。
<東栗駒山から見た山頂の写真>
▲東栗駒山頂から見た栗駒山頂
「東栗駒コースは段差をよじ登ったり、はしごを登ったりしながら頂上を目指す、アドベンチャー要素のあるコースです。初夏なら雪渓歩き、盛夏なら清流渡りと、山ならではの季節感を味わえます。東栗駒山から眺める栗駒山頂も、どの場所から見るより美しく見えますね」と太宰さんはいいます。
<雲海の写真>
▲中央コース中間点からの景色
標高1,113mにある登山口のいわかがみ平からは、気象条件がそろえば雲海を見られます。
東栗駒コースの途中にある新湯沢では、清涼感あふれる渓流を楽しめます。山頂からは、天気が良ければ、蔵王連峰や岩手山、早池峰(はやちね)、鳥海山、月山などの名峰を望めるでしょう。夏の栗駒山は、美しい自然に彩られています。
<新湯沢の写真>
▲東栗駒コースにある新湯沢
ただし、注意が必要なこともあります。
「東栗駒コースの途中には風が強く吹き付けたり、沢の中を歩いたりする場所もあるため、初心者のみでは危険が伴います。体力や装備、天候に不安がある時は中央コースの往復がおすすめです」と太宰さんはアドバイスしてくれました。

高山植物も見どころのひとつ

▲ヒナザクラは中央コースと東栗駒コースの分岐点から東栗駒コースを下った場所で見られます
栗駒山では、高山植物の鑑賞も楽しみのひとつです。6月上旬から下旬にかけては、山頂直下のヒナザクラの群落が見事です。
「ヒナザクラは東北地方にしか咲いていない高山植物で、雪解けとともに咲き始めます。白い小さな花が群生する景色は、訪れる人の足を止め、心を和ませてくれるでしょう」と太宰さん。
<キンコウカの写真>
▲中央コースと東栗駒コースの分岐点付近で多く見られるキンコウカ。見頃は7月~8月
とくに、中央コース分岐点から東栗駒コースに下り、裏掛コース分岐までの区間が見どころ。キンコウカやハクサンチドリ、コメツツジ、イワショウブ、ウメバチソウなど7月~8月まで見られる花も多数あるので、折々に足を止め、周囲を見渡してみてください。もちろん、貴重な高山植物は摘んで持ち帰ることはできませんから注意しましょう。
<コメツツジの写真>
▲中央コースの石畳部分に咲くコメツツジ。見頃は7月
標高600m付近にある世界谷地原生花園では、6月中旬から下旬にかけてニッコウキスゲの群落が見頃。その後、夏から初秋にかけては、キンコウカやウメバチソウ、イワショウブなどが見られるので、こちらに立ち寄るのもおすすめです。
<世界谷地の写真>
▲ベンチがある世界谷地原生花園は散策に最適

十分な装備で必ず飲料と食料の携行を

栗駒山は初心者でも登山は可能ですが、標高1,600mを超える山ですから、天候の急変には注意が必要です。夏は午後から雷雨になることもあるため、軽装での登山は禁物。遅くとも昼前には登り始め、午後3時には下山できるようにしましょう。
「足下のトラブルを回避するためには、登山用の靴と靴下を履いたほうがいいですね。天候の急変や風による体温低下から身を守るためにレインウエアは必ず持参してください。飲料や食べ物も忘れずに」と大切なことも付け加えてくれました。

栗駒は、季節、コースを変えて何度でも登りたくなってしまう山。数え切れないほどの魅力にあふれています。太宰さんは年間50回以上もガイドとして登っていますが、いつも新鮮な気持ちで登ることができるといいます。
「栗駒山の一番の魅力は、山頂よりも展望がいい場所がたくさんあること。山頂がきれいに見えるポイントでのんびり過ごすことも、栗駒山の楽しみ方だと思います。山頂を目指すことだけにとらわれず、景色を楽しみながら歩くスタイルもおすすめですよ」
<太宰さんの写真>
▲ガイドチーム花山山岳会会長の太宰智志さん
ガイドとともに登る利点は、見どころを案内してくれるのはもちろん、体に負荷がかからない登り方も教えてくれるところ。ガイドチーム花山山岳会は、道案内だけではなく、栗駒山周辺の広域ガイドも行っています。登山用具に関するアドバイスから近くの温泉情報まで、ガイドの内容はさまざま。ユーモアあふれるトークで楽しませてくれます。
栗駒山の登山道整備や安全確認など、ボランティア活動も行っている太宰さん。太宰さんが経営する喫茶店「カフェモンテ」で情報収集をしてからでかけるのも、おすすめです。

加藤亜佳峰

加藤亜佳峰

編集者・記者。編集プロダクションMOVE所属。仙台を拠点に、企画・編集・取材・執筆を担当。旅行誌を中心に、情報誌やムック、書籍、パンフレットなど幅広いジャンルの印刷・出版物を手がける。

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