山の景色は一期一会。絶景と感動を夏の栗駒山で
栗駒国定公園の主峰である栗駒山は標高1,626m。宮城、岩手、秋田の三県に裾野を広げるコニーデ型の火山です。コニーデ型とは、火口から溶岩などが吹き出して積み上がった山のこと。富士山や岩手山のような美しい円すい形をしているのが特徴です。東北のほぼ中心に位置する栗駒山は、原生林や湿原、湖沼など見どころがたくさんあります。登山コースも初級者から上級者向けまでいくつかあり、何回登っても楽しめるのが魅力。そんな栗駒山の歩き方と楽しみ方について、ガイドチーム花山山岳会の会長・太宰智志さんに聞きました。
夏におすすめのアドベンチャーコース
初心者でもベテランでも楽しめるルートとして人気なのが、いわかがみ平を出発して東栗駒コースから栗駒山頂に向かい、中央コースからいわかがみ平に下るルート(登り2時間30分、下り1時間 ※休憩時間除く)です。


東栗駒コースの途中にある新湯沢では、清涼感あふれる渓流を楽しめます。山頂からは、天気が良ければ、蔵王連峰や岩手山、早池峰(はやちね)、鳥海山、月山などの名峰を望めるでしょう。夏の栗駒山は、美しい自然に彩られています。

「東栗駒コースの途中には風が強く吹き付けたり、沢の中を歩いたりする場所もあるため、初心者のみでは危険が伴います。体力や装備、天候に不安がある時は中央コースの往復がおすすめです」と太宰さんはアドバイスしてくれました。
高山植物も見どころのひとつ

「ヒナザクラは東北地方にしか咲いていない高山植物で、雪解けとともに咲き始めます。白い小さな花が群生する景色は、訪れる人の足を止め、心を和ませてくれるでしょう」と太宰さん。



十分な装備で必ず飲料と食料の携行を
「足下のトラブルを回避するためには、登山用の靴と靴下を履いたほうがいいですね。天候の急変や風による体温低下から身を守るためにレインウエアは必ず持参してください。飲料や食べ物も忘れずに」と大切なことも付け加えてくれました。
栗駒は、季節、コースを変えて何度でも登りたくなってしまう山。数え切れないほどの魅力にあふれています。太宰さんは年間50回以上もガイドとして登っていますが、いつも新鮮な気持ちで登ることができるといいます。
「栗駒山の一番の魅力は、山頂よりも展望がいい場所がたくさんあること。山頂がきれいに見えるポイントでのんびり過ごすことも、栗駒山の楽しみ方だと思います。山頂を目指すことだけにとらわれず、景色を楽しみながら歩くスタイルもおすすめですよ」

栗駒山の登山道整備や安全確認など、ボランティア活動も行っている太宰さん。太宰さんが経営する喫茶店「カフェモンテ」で情報収集をしてからでかけるのも、おすすめです。
【栗駒山】
住所:宮城県栗原市栗駒沼倉耕英(いわかがみ平)
TEL:0228-22-1151(栗原市産業経済部田園観光課)、0228-25-4166(栗原市観光物産協会)
★栗駒山トレッキングマップはこちら
【ガイドチーム花山山岳会】
メール:cafe.monte155@gmail.com
料金:25,000円(税込)~ ※1~4人の場合
※料金は人数、コースにより異なる(応相談)
※2週間前までに要予約
※希望者には山行中にコーヒー付き
TEL:080-1822-4994(カフェモンテ/受付時間10:30~18:00)
【カフェモンテ】
太宰智志さんが営む喫茶店(栗駒山の話を直接聞くことができます)
住所:宮城県大崎市古川駅前大通1-5-5 Mビル1階
営業時間:10:30~18:00(L.O.17:30)
定休日:火曜日(臨時休業あり)
TEL:080-1822-4994

加藤亜佳峰
編集者・記者。編集プロダクションMOVE所属。仙台を拠点に、企画・編集・取材・執筆を担当。旅行誌を中心に、情報誌やムック、書籍、パンフレットなど幅広いジャンルの印刷・出版物を手がける。
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