本州最北端のまぐろの町「大間」へ。初セリ額を塗り替えた漁師が営む店の絶品「まぐろ丼」を味わう

2015.12.18

今や全国ブランドとなった「大間まぐろ」といえば、正月のニュースをにぎわす初セリ。過去には1億円以上の値がつけられたこともあり、毎年注目を集めます。そんな「大間まぐろ」を一度は現地で味わってみたいと思い、いざ大間町へ!

▲威風堂々とした大間まぐろ

大間町は下北半島の先端、つまり本州の最北端に位置する町。青森県に属しながら、青森市から陸路で行くより北海道・函館からフェリーで移動した方が実は早いという立地ですが、本場で生の「大間まぐろ」が食べられる漁港として一度は訪れてみたい場所です。

全国へ大間町の名を知らしめることにもなった「大間まぐろ」は、東は太平洋、西は日本海が交差する豊かな大間の漁場で水揚げされた、30キロ以上のまぐろに与えられるブランドのこと。

その美味しさの秘密は、漁場と水揚げの時期にあります。この本州最北の荒海・津軽海峡には豊富なエサ場があり、広い海を回遊しているまぐろたちは、エサを求めて水揚げのピークである7月~11月にこの海へやってきます。荒海で鍛えられているため身の締りは最上質で、さらに豊富なエサをたくさん食べているため、脂のノリ具合も最高の状態にあると言えます。
▲本州最北端の大間崎には「まぐろ一本釣の町 おおま」のモニュメントが

冷凍技術の発達で、現在では通年で味わうことができますが、「生で食べたい」というのであれば、7月中旬から1月あたりにかけて行くのがいい、とアドバイスをくださったのは、まぐろ料理専門店「魚喰いの大間んぞく」の竹内薫さんです。
▲気さくにお話をしてくれた竹内薫さん

竹内さんは2001年に、セリ値2,020万円のまぐろを釣りあげた元漁師。この値は大間町では当時新記録だったそうです。そして、2013年に史上最高額となる1億5,540万円のまぐろを水揚げしたのは、竹内さんの息子・大輔さんでした。
▲店内には過去に水揚げされたまぐろの写真が所狭しと飾られている

大間で味わう「まぐろ」料理

今回いただいたのは、「まぐろ丼」。お椀に大トロ、中トロ、赤身が贅沢に盛られた逸品です。大トロにはまるで和牛のような脂のさしが入っていて、口の中に入れると溶けてしまうような食感!生臭さがまったくなく、そのままでもペロリと平らげてしまえそうなのは、まさに新鮮さの賜物。こんな美味しいまぐろは初めてかも。
▲まぐろ丼(税込2,800円)

脂のさしがなぜこんなに入っているのか。その答えは豊富なエサと激しい運動にあります。大間のまぐろは、イカやサバといったエサをたくさん食べられる環境にいて、潮流が交差する厳しい津軽海峡を泳いでいるため、上質な脂がたっぷりとのってくるのだそうです。

まぐろ好きにはたまらない、本場「大間まぐろ」尽くしの一杯を口にして、本州最北端まで時間をかけてやってきた甲斐があったな、とおもわず感慨にふけってしまいました。
▲和牛かと思ってしまうほどの霜降り

こんなうらやましい食材を漁師さんたちは日々食べているのかと思いきや「大間の漁師はまぐろを食べないよ」と笑う竹内さん。身の部分はなるべくお客さんに提供するため、食べたとしても、商品として出せない内臓部分なんだとか。
▲漁師は内臓部分をバーベキュースタイルで焼いて食べる。ビールがほしくなる味!

内臓部分は苦いのでは…?と想像していると、最近ではまぐろの胃袋(チュウ)を使った「大間マグロバーガー」が観光客に人気というので食べてみることに。まぐろのパテがふわっと柔らかく、照り焼き風の甘いタレとの相性抜群です。

また、バンズにもこだわりがあり、大間産のアラメ昆布が練り込まれていて、もちもちした食感に昆布の風味が楽しめました。現地にしかないB級グルメを味わってみるのも旅の一興ではないでしょうか。
▲大間マグロバーガー(税込400円)

元漁師からまぐろの話を聞いてみた

2,020万円のまぐろを釣った時のことを、竹内さんに振り返ってもらいました。水揚げしたのは、2000年12月29日。その重さはなんと202kg…!まぐろの大きさから手ごたえを感じ、「今年はゆっくりと年を越せる」と思ったそうです。そして、初セリ。「100万円くらいを想定していたので、丸を一つ間違えたのかな」と驚いたといいます。
▲当時の様子を物語る唯一の写真

現在、大間町では250人から300人ほどが漁師を営んでいるそう。そのうち、1日に100人以上が沖へ行き、まぐろを水揚げできるのはだいたい1割から2割ほど。ほとんどの漁師たちが漁獲できずに戻ってくるんだとか。

また、一本釣りの漁法のイメージが強い大間ですが、4,000メートルの縄におよそ150本の針をつけて漁を行う「延縄(はえなわ)漁」と半々で行われ、2,020万円のマグロも延縄漁で水揚げしたそうです。
▲まぐろ漁に使われる針

元漁師が営む、絶品のまぐろ料理が味わえる店「魚喰いの大間んぞく」。歴史に刻まれたまぐろの写真に囲まれながら食べる本場の味に、きっと大満足するはずです。

迫力の「解体ショー」に、漁師の生活を知る「まぢあるき」

大間町では、9月から10月にかけ、毎週日曜日に大間港旧冷蔵庫特設会場で「日曜日はマグロだDAY」を開催。無料でまぐろの解体ショーを見ることができます。
▲水揚げされたばかりのまぐろが登壇される

この日見ることができた解体ショーのまぐろは約90キロ。「大間まぐろ」を証明するナンバーのシールが貼られており、今回のまぐろは「16,093番」でした。これはブランド化した2007年から順にナンバリングされている大間まぐろの証明です。そして、豪快に手際よく、あっという間にまぐろがさばかれていきます。
▲まずはエラから頭を切断
▲手際よくおろされていく
▲まぐろの背骨がはっきりと見える
▲この塊を「1コロ」と呼ぶ
▲解体されたまぐろはその場で買うことも、食べることもできる

解体ショーの後には、出刃包丁で小分けされた骨の髄にあるコラーゲンを食べるチャンスが巡ってきました。滅多に食べることができないまぐろのコラーゲンは、抜群の新鮮さに加え、ぷるんぷるんした食感で感動の一言!

中落ちも無料で振舞われ、大間まぐろをこれでもかというくらいに堪能できました。
▲スプーンですくって食べたマグロのコラーゲン
最後に漁師の生活を知ることができる「大間の浜まぢあるき」をご紹介します。参加者には下北半島の名産「青森ヒバ」で作られた箸が渡され、漁師が食べる日常の食事を食べ歩きすることができます。

漁へ出る前に食べる“ゲン担ぎ”のあんドーナツパンや、朝食に食べるイカ刺しといったあまり知られていない漁師の生活を「味わう」ことができるほか、「大間の道は浜寿司に通じる」と言われるほど有名な「浜寿司」にも立ち寄り、寿司を一貫食べることができる贅沢な「まちあるき」です。
▲今回の「まちあるき」で参加者全員に振る舞われた「浜寿司」のイカのにぎり

この「まちあるき」は、大間町出身で東京に就職し、地元に戻って町おこしを始めた「Yプロジェクト」の島康子さんを中心に始まった取り組みです。

「まぐろを食べるだけの観光ではなく、大間の漁師の暮らしぶりをテーマに通年で楽しんでもらえるようにしたいと始めました」と島さん。
▲まちあるきガイドのみなさん。左から2番目が島康子さん

2015年のまぐろの解体ショーは残念ながら終わってしまいましたが、漁のある時は1月頃まで生のまぐろを食べることができます。実際に行ってみないとわからないことがたくさんある大間のリアル。体験するというよりは、冒険しに行ってみてはいかがでしょうか?
▲この強風を「そよ風」というのが大間の日常
くどうたける

くどうたける

東京でウェブライターを経験し、2012年に青森へ移住。地域新聞や地域の情報を発信するお仕事をいただきながら、田舎でせっせと暮らしてます。(編集/株式会社くらしさ)

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