鮮度抜群のネタと職人の技が結集した「佐伯寿司海道」。地元で水揚げされる魚は50種類以上!

2016.01.09 更新

瀬戸内海からの冷たく栄養豊富な海水と太平洋からの温かい海水が混ざりあい、豊かな漁場として知られる豊後水道。その豊後水道に面した大分県佐伯市では「佐伯寿司海道」と題して、12の寿司店がこだわりのメニューを提供しています。わざわざ寿司を食べに多くの人が訪れるという「佐伯寿司」の実力を探りに行ってきました。

▲「幸寿司」の地魚海道 2,920円(税込)。地物を中心とした握りと、椀物にデザートがつく

12の寿司店が技を競い合って最高のおもてなし

瀬戸内海の海水と太平洋から流れてくる海水のぶつかる豊後水道は、プランクトンが豊富なため、エサを求めて数多くの魚が集まります。そんな豊後水道に面した大分県佐伯市で水揚げされる魚介類は、年間を通じて50種類以上とされ、その種類の多さは日本一と言われています。

そんな佐伯では、一年を通じて新鮮な魚が寿司ネタとして手に入る佐伯の寿司屋がタッグを組んでおもてなしする、その名も「黒潮の極!佐伯寿司海道」という取り組みがあります。加盟する寿司屋は12店舗あり、それぞれの店が技を競いあい、個性ある寿司を提供しています。

ビッグなネタが食べられる「錦寿司」へ

佐伯の寿司といって、まず話題に出るのが「錦寿司(にしきずし)」。このお店を訪れたお客さんほぼ全員が「こんな大きなネタ見たことがない!」と声を揃えるそうです。「ボリューム満点の寿司があると聞いて、はるばる食べに来た」という声も聞くほど、ネタの大きさが自慢の寿司屋なのです。
▲海道おまかせセット 2,800円(税込)※写真提供:佐伯市観光協会

どれほど大きいかといえば、ネタがお皿からはみ出さんばかり。女性や子どもにしてみれば、一口で食べるのは難しいかもしれません。そんな時は、大将がネタを2つに切ってくれるので、一貫でふた切れのお楽しみというわけです。
▲手の平からも溢れる大きさのネタ

私も2つにカットしてもらいいただきましたが、エビは尾頭から尻尾まで丸一匹。イカはなんと20cm!イカ、穴子は2つに切ってもまだ長いので、くるりとシャリに巻いていただきました。

ぜひ味わいたいのは、なんといっても、地魚。アジはプリプリ。穴子は口に入れた途端、とろける柔らかさ。佐伯ならではのヒオウギ貝の寿司は、食感に彩りを添えていました。
▲取材日の「海道おまかせセット」のネタは左から、カンパチ、エビ、鯛、穴子、アジ、ウニ、ヒオウギ貝、鯛の押し寿司、鯖の巻き寿司、イカ


「『錦寿司』の寿司を見て、その「大きさ」に喜んでもらい、食べて「美味しさ」に喜んでもらうということを一番に心がけています」

そう話すのは、「錦寿司」の寿司職人、田中純さん。そして、佐伯に対しての思いをこう語ってくれました。
▲「錦寿司」の田中純さん

「まずは地元を愛すこと!よそからのお客さんが多いので、佐伯のお土産はどこで何を勧めたらいいか情報を集めています。佐伯にとっても、寿司屋だけにお客さんが来るのではなく、色んなところに足を運んでもらうために、ご紹介できるよう努めています。佐伯全体でおもてなしすることが大事ですから」

地元佐伯の良さを自ら探求し、市外からこられたお客様に「これが佐伯です!」と胸を張って言えるようにすること。そして、それは寿司ネタも同様、「佐伯自慢の寿司」を提供するため、職人自身も日々精進しているのでした。

寿司と料理の絶妙な掛け合いの「幸寿司」

続いて、こぢんまりとした店で大将と女将さん、そして二代目の息子さんの三人で切り盛りする寿司屋「幸寿司(こうずし)」へ。寿司を握って46年になるという、大将の渡邊春徳(はるのり)さんは、大阪の4つの店で修行を積み、自分なりの味を得て佐伯に店を出したそうです。
▲大将の渡邊春徳さん

「うちの寿司は大阪の寿司の影響を受けていて、サバ、イワシ、アジなどは酢で締めて3日ほど寝かせたものが美味しい」と熱く語りながら、食べ比べをさせてくれました。
▲締めて1日目のサバ。ぷりっとした食感が美味しい
▲締めて3日目のサバ。酢が馴染んだ脂身は味わい深さを増している

なるほど、締めたばかりのサバ、アジ、イワシはそれなりに歯ごたえがありプリッとした身が美味しいのですが、3日寝かせたものは、身が柔らかくなり、味が馴染んでなんともいえない味わい深い食感になっていました。

「ここ最近『佐伯寿司』と言うと、新鮮なネタをのせたものが主流と思う方も多いが、本来の佐伯の寿司は大阪風の締めて寝かせた寿司なんよ」佐伯寿司を背負っているという自負。得意げに語る大将は、嬉しそうに次々と寿司を握ります。
▲地魚海道 2,920円(税込)※写真提供:佐伯市観光協会

そして「幸寿司」は、寿司のみならず提供している料理の味も絶品です。大将の横で忙しそうに焼き物、揚げ物、煮物、茶碗蒸し、小鉢の惣菜などを作るのは、息子の有亮(ゆうすけ)さん。
▲二代目の渡邊有亮さん

有亮さんは名古屋のなだ万で修行を終え、佐伯に戻ってきて早一年。「僕は寿司は握りません」と笑顔で言い切るのですが、ここで出される寿司と料理は、旬のうまいもんを知り尽くした親子だからこその絶妙な掛け合いによって、どんどん食欲中枢を刺激してくるのでした。
▲たっぷりのいくらがのった「柿なます」 500円(税別)
▲「里芋唐揚げ、鼈甲餡掛け」 600円(税別)

※一品料理は、本日のおすすめ。その日によって異なります。

店ごとの個性を楽しむ「佐伯寿司」

今回、すべての寿司屋をご紹介できないのが残念なほど、佐伯の寿司屋は個性豊か。地魚の寿司を基本として、鮮度にこだわった寿司はもちろんのこと、寿司屋によって異なる、絶妙な締め加減の違いを楽しむことも!
▲「しらなみ鮨」瀬会寿司 1,600円(税込) ※大人数は要予約 ※写真提供:佐伯市観光協会
▲「寿司源」源さんの地魚にぎり 3,240円(税込)※写真提供:佐伯市観光協会
▲「ますの寿司」蒲江・海の宝寿司 2,000円(税別)※写真提供:佐伯市観光協会

他にも、極上のちらし寿司が味わえる寿司屋、大将のこだわりの日本酒が100本以上揃う寿司屋、居酒屋のように気軽に行ける寿司屋など、個性豊かな12の寿司店。

各店舗の職人たちは、恵まれた食材を最大限に生かしておもてなししたいとの思いから「匠の契り」を交わしています。そうすることで、ひとつひとつの店が自慢の寿司を握ることを約束しているからです。

<匠の契り>
一、地産地消
佐伯の豊かな自然環境(海・山・川)で育まれた食資源を厳選し、旬の地物ネタを提供します。

二、一物全体
豊後水道の恩恵を深く感じ、生み出された素材一つ一つの全てに感謝し、食を提供します。

三、一期一会
お客様との出会いを大切にし、己の心意気の全霊をもって「おもてなしの心」を提供します。

四、誠心誠意
佐伯寿司職人としての「粋」を伝え、真心と魂を込めた「佐伯寿司」を提供します。

五、切磋琢磨
佐伯寿司道を志す者として、常に技を磨き、互いに助け合い、故郷に「佐伯寿司」を通じた活力を提供します。

このように「佐伯寿司」が目指す姿を、参加店の職人全員が共有し、腕を競い合っているため、ひとつひとつのお店で「自慢の寿司」が生み出されるのです。

また、佐伯市内の高校では、地元の若い人に郷土の食文化を深く知ってもらうために、寿司職人による「寿司講座」が開かれています。ただ寿司を握るのみならず、地域の寿司文化の発展を目指す、佐伯の寿司職人たち。それが、佐伯寿司海道の寿司職人たちの「粋」なのだと感じました。

なお、「佐伯寿司」は、「世界一佐伯寿司」を掲げていますが、その大げさとも思えるキャッチフレーズは、魚の新鮮さ、魚種の多様さもさることながら、寿司職人による寿司へのこだわりによるもの。日々進化し続けているからこその、思いのあらわれだと思います。

まだまだ書ききれない寿司ネタは、ぜひ佐伯に来て、その目で目撃してみてください。きっと、佐伯寿司のとりこになるはずです。

黒潮の極 佐伯寿司海道

加盟店の詳細、お問い合わせはHPをご参照ください

そめやひろこ

そめやひろこ

大分県在住。ライター、エディター、デザイナー業を経て、現在はオーガニックカフェを営む。大分の自然、温泉、うまいもんと人が好きで、大分の魅力を発掘する日々。 (編集/株式会社くらしさ)

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