西日本一のブランド米、奥出雲「仁多米」の棚田でハデ干し体験! その美味しさの秘密を知る

2015.11.23 更新

島根県仁多郡奥出雲町は、「西日本一」と言われる米どころ。標高300~500メートルにある棚田で、山からの湧き水によって育まれる「仁多米(にたまい)」は絶品です。今回は、収穫時期の9月に仁多米農家さんへお邪魔し、美味しさの鍵となる「ハデ干し」を体験してきました!近くには「仁多米」のおにぎりを味わえるおそば屋さんもありますよ。

▲仁多米の田んぼで、ハデ干し体験参加者の皆さんと

「仁多米」といえば、地元・島根県民の間でも特別な存在。一般的な米と比べて高級なので、レストランや旅館などで仁多米のごはんが出てくるとテンションが上がります。その実力は「米・食味分析コンクール国際大会」で度々最高位の「金賞」を受賞するほど。

そんな島根のブランド米「仁多米」は、どんな所で、どんな人の手によって作られているのでしょうか?

笑顔が集まる「悦ちゃん農園」の田んぼ

今回お邪魔したのは、出雲縁結び空港から車で1時間ほどの所にある、奥出雲町の「悦ちゃん農園」です。こちらが、この農園の代表である悦ちゃんこと渡部悦義(わたなべえつよし)さん。
▲笑顔が素敵な悦ちゃん

「こだわりのブランド米の生産者さん」にお会いするということで、少々緊張気味の私でしたが、渡部さんのこの笑顔に、一瞬でファンになってしまいました。

「悦ちゃん農園」があるのは、鯛ノ巣山(たいのすやま)の麓にある標高400メートル以上の山間地。街の喧噪が届かない空気の澄んだ場所です。渡部さんは、先祖代々守られてきたこの田んぼで、農薬・化学肥料・除草剤を極力使わず「安心安全な米づくり」を続けています。
▲奥出雲町の棚田は「全国棚田百選」に選ばれるほど美しい!

清らかな湧き水が育む「仁多米」

「悦ちゃん農園」は、生活用水の入らない場所にあるので、米づくりに使う水は全て山からの湧き水。わさびやクレソンが自生するほど、清らかな水です。
「山の水っておいしいね!」と、子供たちにも大人気!このミネラルたっぷりの湧き水も、「仁多米」のおいしさの理由だそうです。
また、標高が高い場所に田んぼがあることで、昼夜の温度差が大きいことも、お米がおいしくなるポイントなんだとか。

いよいよ「ハデ干し」スタート!

「仁多米」のおいしさの秘密を教えてもらったところで、いよいよ「ハデ干し」体験がスタートです!この日は、渡部さんを慕う地元の若者をはじめ、大阪や千葉などから親子連れが参加していました。
▲予め組んであったこの「ハデ」に稲を干しする
▲「ハデ」に干す稲を集める子どもたち

「ハデ」とは、稲を刈り取った後に束ねて天日干しするためのもので、竹などを用いて作られます。地方によって呼び方が異なり、「稲掛け(いねかけ)」や「稲架け(はざかけ)」などと呼ぶ地方もあるそうですが、ここ島根県では一般的に「ハデ」と呼びます。
▲まずは下の方から干していく
稲を集めて、ひたすら干していく…という根気の要る作業が続きます。この時期、里山で時折見かける大きなハデ干しも、小さな稲の束の集合体だったのですね。自分でやってみて初めて、その仕組みが分かりました。そして、あっという間にお昼休憩です。

農業体験のお楽しみ!新米でお昼ごはん

お昼ごはんは、「悦ちゃん農園」のご家族の方が用意してくださっていました。味噌汁、漬物、煮しめと一緒に、昨日収穫したばかりの「仁多米」で握ったおにぎりも!
▲参加者みんなで頂くご飯も楽しみのひとつ
▲今時珍しい刃釜で炊いた香ばしいご飯

「仁多米」の新米は、つやつや・モチモチとして、噛み締めるほどに甘みが広がります。粘り気とコシが強く、シンプルな塩にぎりのおいしさに感動しました!

“ハデ干しハイ”になりながら、農作業は続きます

お昼休憩が終わると、みんなで「ハデ干し」の続きです。ハデの二段目・三段目もだんだん埋まってきました!
▲天気も良くなり、気持ちの良い眺め

三段目は、はしごがないと登れない高さ。地元の皆さんの素早い稲さばきはさすがです!
女性陣は2つ目のハデに、稲を干していきます。流れ作業をしていると、ランナーズハイならぬ「ハデ干しハイ」になってきて、どんどんスピードが上がっていき…(笑)

ハデ干し、ついに完成!

約3時間の作業で、2つの「ハデ干し」が完成しました!“日本の原風景”とも言える、「ハデ干し」の風景。お手伝いさせて頂いたので、感動もひとしおです。
「天日で干すと、お米の旨みがぐっと増して美味しいよ」と渡部さん。ここで約20日間、太陽の光をたっぷり浴びて、おいしくなるんですね。

「仁多米」には、奥出雲の水と空気、そして生産者さんの愛情がパンパンに詰まっている!「仁多米」のおいしさの秘密が分かりました!
▲お土産に頂いた「悦ちゃんの仁多米」(新米)

「この田んぼで実ったお米を通じて、多くの人と出会えることが喜びです」と語る渡部さん。新米の時期には、全国の悦ちゃんファンからお米の注文が届き忙しくなりますが、発送まで心を込めて自分の手で行っているそうです。

2015年は終了してしまいましたが、「ハデ干し」体験は毎年行われているので、里山の米づくりに関心のある方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

「神社の中のそば屋」で、仁多米おにぎりを食べる!

「悦ちゃん農園」と同じ奥出雲町に、ハデ干しした「仁多米」のおにぎりが食べられるおそば屋さんがあります。このお店は、スサノオノミコトの正妻「稲田姫命(イナタヒメ)」を祀る稲田神社の敷地内にあります。
▲ご祭神の稲田姫命は、ヤマタノオロチ神話のヒロイン

「姫のそば ゆかり庵」は、奥出雲町産そば粉100%の手打ち十割そばが頂けるお店。清らかな空気につつまれた境内を眺めながら、地元食材を堪能することができます。
▲社務所を利用した店舗の縁側からは、秋には境内の紅葉も楽しめる

中でも、奥出雲の在来種「横田小(こ)そば」を使用した割子そばに、山菜料理、「仁多米」の天日干し(ハデ干し)おにぎりなどがセットになった「横田小そばのそば御膳」(税込1,400円・数量限定)は、奥出雲の食の魅力が一度に楽しめる一品。おにぎりは、お米の旨みと甘さが引き立つ塩むすびです。
▲こだわりが詰まった「横田小そばのそば御膳」

このほか、釜からあげたおそばをそのまま器に盛り、そば湯をはった「かまあげそば」もおすすめです。濃いめの出汁(そばつゆ)をお好みでそばにかけていただきますが、これは出雲地方に昔から伝わる食べ方。ぜひ味わってみてください。

美味しいそばと仁多米おにぎりを堪能し、稲田神社にお参りして帰る頃には、奥出雲の清らかな空気とおいしいご飯に癒されて、体も心も軽くなっていました。

これから家で「仁多米」を食べる度に、奥出雲の美しい棚田の風景や、生産者さんの笑顔を思い出すことができそうです。「仁多米」が更に大好きになる旅となりました!
賣豆紀有加里

賣豆紀有加里

島根県在住のグラフィックデザイナー。島根県の観光情報サイト、フリーペーパーなどでライターも務める。山陰のおいしいもの・楽しいこと・素敵な場所を発掘するのが趣味。(編集/株式会社くらしさ)

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