川越の絶品中華レストラン「香麦」で、地ビール「コエドビール(COEDO)」を料理に合わせて楽しむ!

2015.12.30

2015年5月に埼玉県川越市にオープンした中華レストラン「香麦(シャンマイ)」では、川越の地ビール「COEDO(コエド)」の全種類をドラフトビールで味わうことができます。しかも、事前予約制で、ビールの味に合わせて料理を提供してくれる「ビールペアリング」も楽しむことができると聞き、初めてのペアリングに挑戦してきました。

周りを畑と住宅に囲まれた場所にある、中華レストラン「香麦」。JR川越線の川越駅から東武バスに揺られて向かうと、レンガ造りの大きな倉庫のような建物が迎えてくれました。
▲2015年5月にオープンした「香麦」。駐車場も用意されているので、車での来店も可能だが、ビール目当ての場合はバスやタクシーなどで行きましょう
▲天井の高い店内はカジュアルで、海外のビアホールのよう。奥には醸造所も併設している

熟練シェフが手掛ける、モダンクラフトチャイニーズ

「香麦」で提供している料理は、飲茶を中心としたモダンクラフトチャイニーズ。「よだれ鶏の冷菜」「胡麻ダレ水餃子」「スペアリブのチリガーリック炒め」など、メニューを眺めているだけでもよだれが出てくる、ビールに合いそうなメニューばかりです。

しかし今回は、メニューから料理を注文するのではなく、選んだビールに合わせて料理を提供してくれる「ビールペアリング(事前予約制)」を体験。どんな料理が出てくるのでしょう。

本日のビールは、「COEDO」の定番5種「瑠璃-Ruri-」、「白-Shiro-」、「伽羅-Kyara-」、「紅赤-Beniaka-」、「漆黒-Shikkoku-」に加えて、ドラフトのみで展開している「毬花-Marihana-」、2015年秋シーズン限定の「星月夜-Hoshidukiyo-」(現在は終了)、レストラン併設の醸造所で造った1,000リットル限定の「Saison Farmhouse Ale(セゾンファームハウスエール)」(なくなり次第終了)の8種類。
▲ビールは3種類のグラス(mini:160ml、M:300ml、L:400ml)から選ぶことができる

この日は自分で選んだ5種類のビールに合わせて、お任せで5品の料理を出してもらうことになりました。料理長は、「KIHACHI China」など数々の有名店でシェフを経験した熟練とあって味への期待も高まります。
▲料理長の長瀬和雄さん。地元埼玉の出身だそう

本格中華とクラフトビールの絶妙なマッチング

まず、1品目。「香麦」でしか味わうことのできない「Saison Farmhouse Ale」に合わせて、「季節の青菜炒め(780円・税抜)」から。
▲地元埼玉の農家で丹精込めて作られた、無化学肥料無農薬栽培の生大麦を使って醸造した「Saison Farmhouse Ale」。mini:400円、M:1,000円、L:1,400円(すべて税抜)※写真はminiサイズ
▲地元産の黒キャベツと菜の花をパルミジャーノで仕上げた一皿。季節によって青菜の種類は変わるそう

初めにビールを一口。香り豊かで爽やかさのなかにスパイシーな味わいがあります。そして、「季節の青菜炒め」を一緒に頂くと…、黒キャベツのシャキシャキ感と風味が口いっぱいに広がりました。

「この料理のテーマは“収穫祭”。セゾンをさっぱり飲める料理だと思いますよ」と長瀬シェフが話す通り、黒キャベツの味がとても濃く、ビールの味がより爽やかに感じられました。

続いて2品目は、「香麦」名物の一つでもある「胡麻ダレ水餃子(4個600円・税抜)」を「伽羅-Kyara-」と一緒に。
▲白葡萄や柑橘を感じさせるアロマホップの香りが華やかで、綺麗な苦みが口のなかに広がる「伽羅-Kyara-」。mini:350円、M:600円、L:800円(すべて税抜)
▲白菜とほうれん草がたっぷり入った水餃子を、胡麻と甘酢の2種類のタレによく絡めて食べる

「伽羅-Kyara-」はビールのみで味わうと香りがかなり立っているのですが、餃子を食べながらだと不思議と香りが立ちすぎずに料理とマッチしているのです。これまでこんなにビールそのものの味、そして料理とのバランスなどを感じながら食事をしたことは正直ありませんでした。

3品目には、「エビのチリソース煮(950円・税抜)」と「紅赤-Beniaka-」の組み合わせ。
▲地元川越産のサツマイモを焼き芋にしてから仕込んだ、無ろ過ビールの「紅赤-Beniaka-」。mini:380円、M:700円、L:900円(すべて税抜)※写真はminiサイズ
▲通常メニューの「エビのチリソース煮」には入っていないトマトを加えることで、「紅赤-Beniaka-」のサツマイモ感をより感じやすいように仕上げているそう

確かに「紅赤-Beniaka-」を「エビのチリソース煮」と一緒に味わうと、トマトの酸味と甘みによってビールのサツマイモの香りがより際立っているのがわかります。

続く4品目は、「小松菜シュウマイ(2個380円・税抜)」と「毬花-Marihana-」。カウンターに座れば、まさに注ぎたてのビールを飲むことができます。
▲ホップの魅力を存分に楽しめるよう、アメリカ産アロマホップを贅沢に投入し、搾りたてのグレープフルーツのようにジューシーなフレーバーを楽しめる「毬花-Marihana-」。mini:350円、M:600円、L:800円(すべて税抜)※写真はminiサイズ

「『毬花-Marihana-』はホップが強いのでビールの風味が勝ち過ぎて、なかなか料理と合わせづらいのですが、小松菜の甘みが『毬花-Marihana-』のホップの苦味をほどよく引き立たせてくれるんです」

という長瀬シェフのコメントとともに実食。シュウマイ自体の味付けはあっさりしていて、素材の小松菜の味が最大限に生かされています。個人的にはこのビールは好みで、ビールを主役に軽めに食べたい時などに、この組み合わせはバッチリです。
▲川越産の小松菜をベースに、豚肉とエビを一緒にモロヘイヤ入りの皮で包んだシュウマイ

そして、付け合わせのルッコラと一緒に味わうと、これまたルッコラの苦味が生きて、柑橘風味のビールが進む、進む!ここで試しに「毬花-Marihana-」と先ほどの「エビのチリソース煮」を合わせて食べてみたのですが、残念、「毬花-Marihana-」の爽やかな香りがどこかへ行ってしまったようでした。

さて、いよいよ最後の1品まで来てしまいました。5品目は「白-Shiro-」と一緒に「黒豚の酢豚(1,000円・税抜)」を味わいます。
▲果実のような風味と白濁したクリーミーな味わいが特徴の無ろ過ビール「白-Shiro-」。mini:380円、M:700円、L:900円(すべて税抜)※写真はminiサイズ
▲川越産の金時芋を焼き芋にして、サツマイモで育った川越黒豚で巻き、小麦から造った「老陳醋(ろうちんす)」のソースで仕上げた、長瀬シェフオリジナルの酢豚

この酢豚、見た目にも芸術的で、「これが酢豚か!?」といい意味で常識を覆された一品。ホクホクの金時芋の焼き芋と脂が乗った川越黒豚、そして黒酢よりもまろやかという「老陳醋」のソースを絡めて食べると、マイルドで上品な酢豚の完成です。

そして、フルーティーで飲みやすい「白-Shiro-」との相性はというと、長瀬シェフが「今年のベストマッチング!」と絶賛するほどに抜群。「白-Shiro-」の優しい味わいに酢豚のまろやかな酸味が加わることで、ビールのキレ味をより豊かに感じることができました。

「これだけのビールを置いている中華料理店は他にはありませんよ。でもスパイスを多く使って酸味、塩味、香味…など香りが大変豊かな中華料理と、同じく香りの立ったクラフトビールの組み合わせは実はとても面白い。料理を食べてビールを飲んだ後の口の中や鼻から抜ける香りを楽しんでもらいたいですね」と長瀬シェフ。
▲「できるだけ地元の食材を提供したい」と、休みの日は食材探しに出かけるという長瀬シェフ

初めて体験した「ビールペアリング」、そしてありそうでなかった本格中華とクラフトビールの組み合わせ、これは恐れ入りました!と言いたくなる大興奮の時間でした。ペアリングをすることで、ビール単体もしくは料理のみで味わうよりも、より感覚を研ぎ澄まし、両者の味を深く堪能できる気がしました。

地ビールからクラフトビール、そしてまた「地ビール」へ

さて、ここで「COEDO」についてお話ししましょう。川越発の地ビール「COEDO」にはちょっと変わった誕生秘話がありました。「COEDO」を醸造している株式会社協同商事(コエドブルワリー)は、昭和50(1975)年に「農業の世界を良くしたい」と青果物の産直事業を開始。川越の農家との出会いがあり、川越を拠点に青果物のパッケージや流通など事業を展開していきました。

その後、ヨーロッパ型の先進的農業を参考に、次は“加工”だと行き着き、自社での加工品づくりを模索。その際に思いついたのが、当時から川越の地で肥料用の作物として栽培していた大麦を使ったビール造りでした。

しかし、大麦から麦芽を作る工程が自社でビジネスとしてやるには難しく断念。代わりに出たアイデアが川越特産のサツマイモ、しかも通常破棄されていた規格外のものを原料にしたビール造りでした。こうして1996年に「COEDO」の原点である「サツマイモラガー」が誕生。同時に地ビールブランド「小江戸ブルワリー」が始動したのです。

「当時、川越には地酒がなかったし、流行りましたね。決して不味くなかったけど、基本的には地域興しのためのツールである土産物であり、住民の人たちに日常的に飲んでもらうクオリティでは正直なかったですね」

そう振り返るのは、協同商事・代表の朝霧重治さんです。
▲協同商事(コエドブルワリー)代表の朝霧重治さん

地ビールがブームだった1995年~1997年頃はそれなりに売れたという「小江戸ブルワリー」ですが、ブームの終わりとともに売り上げは低迷。1998年に入社し、2003年に副社長に就任した朝霧さんは、「どうやって『小江戸ブルワリー』を再生するか」を使命に奮闘します。

打開策として「小江戸ブルワリー」では南ドイツからビール職人を社員として招き、習得した醸造技術をもって、観光地の土産物の地ビールでもなく、大量生産の工業的ビールでもない、職人がこだわって造る「クラフトビール」へと大きく舵取りをしたのです。

結果、2006年にブランドを一新し、ブルワリー名を「コエドブルワリー」に、商品名も現在の「COEDO」に生まれ変わりました。
▲2006年に生まれ変わった「COEDO」。現在、日本のほか世界12カ国で飲まれている

「一時期は“地ビール”と呼ばれることを嫌って、うちは“クラフトビール”を造っていると断言していましたが、最近また“地ビール”と呼ばれることがしっくり来ているんです。ここでしか生まれないものとして地域の原料を使うことももちろんですが、地域にブルワリーがあること自体が考えてみると珍しいこと。ここにあること自体が“地ビール”であり、『COEDO』が地域のブランドになっていったら嬉しいですよね」

そう語る朝霧さんは、「今のビール業界はルネサンス期。安定した定番商品をビシッと造る一方で、もっといろんなビールを展開していきたいと考えています」とも話し、その実験の場として「香麦」に併設した醸造所「COEDO Craft Beer 1000 Labo(コエド クラフトビール・ワンサウザンド・ラボ)」をスタートしたと話してくれました。
▲1,000リットルの小さなタンクで小ロットの醸造が可能。運が良ければ実際にビールを仕込んでいる様子を見ながら食事ができる

将来的には、ビール造りを体感できるようなワークショップや、ビールをもっと身近に感じられる取り組みなどをこのラボを拠点に実施していくといいます。

地域の素材を使って誕生した「サツマイモラガー」を出発点とし、クラフトビールの「COEDO」としてリニューアルした第2黎明期、そしてラボから新たなビール文化を発信しより地域に根ざしたブルワリーを目指す第3黎明期を迎えた「COEDO」。

「COEDO」の躍進を感じることのできるラボ併設の「香麦」へ、長瀬シェフが振舞う絶品中華と、旬の「COEDO」を味わいにぜひ旅してみませんか?
長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

広告出版社を退職後、世界一周、日本一周を経て「くらしさ」を設立。全国各地のモノ・コト・ヒトを伝え、つないでいく活動に尽力している。全国の仕事人に会いに行ける旅「Life Design Journey」も運営。http://lifedesign-j.com/

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP