本物の味を守り、受け継ぐニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸溜所

2015.06.17

ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝は新川(にっかわ)川の水で割ったブラックニッカを飲んだところ、「実に素晴らしい水だ」と感動し、宮城峡に第二の蒸溜所を建てることに決めました。宮城峡蒸溜所が完成したのは、余市蒸溜所完成から35年経った昭和44年(1969年)のことです。その後、多くの観光客が蒸溜所を訪れています。とくに、近年のウイスキーブームで来場者の数がグッと伸びているそう。今回は工場見学をしながら、ニッカ第二の聖地を回ってみました。

ウイスキーの製造過程とニッカの歴史を学べる蒸溜所見学

ニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸溜所へは、仙台駅からバスで約1時間。4月から11月の土・日曜、祝日は、作並駅から無料のシャトルバスが運行されています。

宮城峡蒸溜所は、新川川と広瀬川が合流する森の中にあります。緑の中に、ひときわ映えるレンガ造りの建物群。ウイスキー造りには、冷涼な気候ときれいな水が必須条件です。竹鶴は、スコットランドのローランドに似た気候風土だと感じ、宮城峡を選んだといいます。
<蒸溜所雑観>
工場見学は無料。所要時間は約30分です。受付を済ませ、いざ出発。

見学は、ガイドのわかりやすい解説付き。まずは、麦芽を乾燥させるキルン塔を見学します。この建物は、現在使われていないため、外観のみの見学です。パゴダ屋根が目を引く塔は、蒸溜所のシンボルとして今も親しまれています。


次は、隣の仕込み棟へ。仕込み棟では、ウイスキーを蒸溜する以前の糖化・発酵が行われています。温度調整などデリケートな作業が行われる場所で、最新のコンピューターによって管理されているそうです。
<蒸溜棟の写真>
そして、見学のハイライト・蒸溜棟。建物の外にいるだけで、すでに芳醇な香りが……。棟内には、単式蒸溜器(ポットスチル)が並んでいます。ローランドのような華やかで軽快なモルト原酒を目指した竹鶴は、宮城峡では「蒸気間接加熱方式」を導入。蒸溜器も胴体に丸いふくらみがある「バルジ型」にしました。低温で8時間かけて蒸溜することで、まろやかな味わいのモルトウイスキーが造られます。
<貯蔵庫の写真>
最後に訪れたのが、貯蔵庫。敷地内には、25棟の貯蔵庫があり、その中の1棟を見ることができます。中には、モルト原酒を詰めた樽がずらり。ここで寝かされ、深みのあるウイスキーが生まれるのです。貯蔵庫内には空調設備などはなく、自然の状態で管理されています。「ウイスキーは自然が育むもの」という竹鶴の考えのもと、蒸溜所内の環境は建てられた当時のまま。電線もすべて地下に埋まっているそうです。

見学後はゲストホールで試飲とショッピング

貯蔵庫で工場見学は終了。その後、ゲストホールで試飲を楽しみました。
<試飲の写真>
ここでは、華やかですっきりとした味わいのウイスキーを味わえます。樽の香ばしさも絶妙。ストレートで出されるので、氷や水はお好みで加えます。用意されている水は、ウイスキーの仕込みに使われる新川川の伏流水です。
<ウイスキーの写真>
ゲストホールには、ショップも併設。旅の締めくくりは、お土産選びです。数ある商品の中から選んだのは、宮城県限定の「伊達」、仙台工場限定の「樽出し51度」「仙台工場オリジナルウイスキー」の3本。いずれも、香り、味わい、余韻が異なります。それらの違いを楽しむのも、ウイスキーの醍醐味。家に帰ってからの楽しみが広がります。
<商品写真>
ウイスキーのほかにも、ニッカオリジナルのチョコレートもおすすめ。ウイスキー、ブランデー、アップルワインの3種類があり、パッケージにはニッカのキャラクターがデザインされています。ちなみに、このキャラクターは「キング・オブ・ブレンダーズ」と呼ばれており、竹鶴のウイスキー造りにおける哲学のひとつ、「ブレンドの大切さ」を象徴したものだそうです。

ゲストホールを訪れるだけでも、十分に楽しめる蒸溜所。静かな森の中で、ウイスキーの香りと味に酔いしれてみてはいかがでしょう。
加藤亜佳峰

加藤亜佳峰

編集者・記者。編集プロダクションMOVE所属。仙台を拠点に、企画・編集・取材・執筆を担当。旅行誌を中心に、情報誌やムック、書籍、パンフレットなど幅広いジャンルの印刷・出版物を手がける。

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