現代の「寄木細工」に魅せられる!若手職人集団「雑木囃子」のつくる箱根・小田原の木工細工

2016.01.28

「寄木細工(よせぎざいく)」といえば、箱根・小田原エリアの伝統工芸品。ただ、単なる伝統工芸品と思うなかれ。伝統を継承しながらも、現代のくらしに溶け込むようなアイテムがたくさん生まれているんです。さらに、今回訪れた工房では自分好みの寄木細工を作ることもできるんですよ。

神奈川きっての観光地「箱根・小田原」。かつて東海道の宿場町として栄えたこのエリアには、昔から来訪客に支持されてきた木工細工があります。その名の通り、多種多様な“木”を“寄せて”作る「寄木細工」です。
▲様々な種類の木を合わせることで模様を紡ぎ出していく

1200年以上続くという箱根・小田原の木工の歴史のなかで、この技法は比較的新しく、江戸時代末期に箱根で創作されたといわれています。日本屈指の木材の種類の豊富さを誇る箱根山系より、多様な木を用いて独特の幾何学模様が生み出されてきました。
▲現在箱根山系は国の保護区となっているため、材料には世界各国・各地の木材を使用

毎年、新年を賑わす箱根駅伝でも、往路優勝チームにはこの寄木細工でつくられたトロフィーが授与されるなど、今も箱根・小田原を代表するモノづくりとして知られています。箱根・小田原に足を運んだことがある人は、一度はこの「秘密箱」を見たことがある人もいるかもしれません。
▲ある一定の手順を踏まない限り、開けることができない「秘密箱」

「秘密箱」は今も外国人を筆頭に、お土産物として不動の人気なんだとか。こうした昔から変わらぬ工芸品もさることながら、今や様々な日常シーンで使える寄木細工が生み出されているんです。

現代のくらしに溶け込む「寄木細工」

そんな現代の寄木細工を語る上で欠かせない工房のひとつが「OTA MOKKO(太田木工)」です。箱根登山鉄道の箱根板橋駅から徒歩8分ほどの場所に構えられた、工房兼ショップを訪ねました。
▲元々は製麺場だった建屋を利用した味のある店構え

2015年12月11日に移転したばかりという店内には、現代の暮らしにも取り入れやすい「寄木細工」がズラりと並べられています。
▲カードケース 6,500円(税抜) ※第7回(2012年)全国「木のクラフトコンペ」大賞受賞
▲豆皿(大)3,800円(税抜)。ほかに小(税抜3,000円)と中(税抜3,400円)もある
▲箸置き(細長)800円(税抜)

どれも思わず「かわいい!」と声を上げてしまうほどの品々。多様な木の合わせ方、商品の形などによって、渋くもかわいくも仕上がるというから、すべては職人のセンス次第というわけです。

営むのは太田憲(けん)さんと海(うみ)さんの若き職人ご夫妻。結婚後、昔から生活に根ざした手仕事が大好きだったという憲さんが、企業勤めを辞め、寄木細工の職人の道へ飛び込んだのが2003年のこと。8年間の修行を経て、2012年に念願の工房兼ショップを立ち上げられました。
▲太田さんご夫妻

「昔からものづくりが好きで、1から10まで自分で作りたいと思ったんです。娘ができてからは、自分が作ったものを娘に使ってもらいたくなりまして」

そう話す憲さんが「寄木細工」で生み出したものが、このボタンです。
▲ボタン(42mm:1個1,800円 税抜)

このボタンは実際に娘さんの洋服に付けられ、それを見た娘さんの友達がまた買いに来るといった、地元でも愛される逸品になっていきました。

新しい寄木細工を生み出す、若手職人集団

こうした若い感性で新しい寄木細工が生み出されていく背景には、現在太田さんがリーダーを務める、寄木細工の若手職人集団「雑木囃子(ぞうきばやし)」の活動がありました。
▲雑木囃子は現在6名の若手職人で構成。名刺もそれぞれのメンバーの個性が光る

「様々な種類の木を用いながら、若いチームで新しい囃子(≒リズムや音楽)を奏でていこう」と名前に込められた想いの通り、寄木細工を通じた新しい創作活動を、産地内外に発信していっています。
▲結成10年。これまで年に1回は必ず新作発表をする展示会を開催している

「寄木細工には伝統柄もありますが、むしろ新しい柄や商品を生み出していくことが求められるんです。だから僕たちみたいな若手職人の活躍の場も広いんだと思います」
「雑木囃子」の前リーダー(現メンバー)であり、露木木工所の4代目、露木清高(きよたか)さんはそう話します。

OTA MOKKO(太田木工)から徒歩10分強の場所にある「寄木ギャラリーツユキ」には、露木さんのセンスが光る作品が多数、展示・販売されていました。
▲手前:寄木細工のブローチ 1,200円(税抜)
▲茶筒 28,000円(税抜)
▲スピーカー(試作中/発売未定)

どれも思わず「使ってみたい」と思わせられる作品ばかりで、見ているだけで心躍ります。スマートフォンからの音楽を置くだけで大きくしてくれる、寄木細工のスピーカーなどは、まさに若い感性から生み出される逸品ではないでしょうか。

寄木細工を自分で作ってみる

見れば見るほど興味が沸いてくる「寄木細工」。実際に、自分のセンスで寄木細工を作ってみたい方向けに「寄木ギャラリーツユキ」では、寄木細工でコースターづくりを体験することもできるんです。

自分にあの美しい幾何学模様を生み出せるのか、若干の不安を抱きつつ、露木さんの優しいご指南のもと、体験させてもらいました。

まずは、三角形とひし形に成形された10種類の木片から、パーツを選びます。
▲今回はひし形ではなく、すべて三角形をピックアップ!

これを規則的でもよし、不規則でもよし。思い思いの模様に並べていきます。
▲センスを問われる工程。所要時間はここで変わる(30~60分程度)

これが思いのほか難しい…。色の濃淡や規則性を考えて並べていくと、なかなか定まりません。露木さんいわく、色の濃い木片と薄い木片を近くに配置すれば、はっきりとした美しい模様になるとのこと。

木片を並べ終えたら、ボンドで接着。この時、並べた順番を忘れないように注意が必要です。
すべて留め終えたら、あとは周りを太めの輪ゴムで固定して、ボンドが固まるのを待ったら完成です!
▲固まったら紙やすりをかければ、すべすべの表面に

今回2人で作ってみましたが、形は同じなれど木の組み合わせ方を変えるだけで、まったく雰囲気の異なるコースターが出来上がりました!逆に思われるかもしれませんが、右が女性作、左が男性作です。

このように職人のセンスによって、一味も二味も雰囲気の異なる作品に仕上がる「寄木細工」。「雑木囃子」が手がける作品をはじめ、今のくらしに自然と溶け込むオシャレなアイテムがたくさん生まれています。お気に入りの「寄木細工」を見つけに、箱根・小田原に出かけてみてはいかがでしょうか?
長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

広告出版社を退職後、世界一周、日本一周を経て「くらしさ」を設立。全国各地のモノ・コト・ヒトを伝え、つないでいく活動に尽力している。全国の仕事人に会いに行ける旅「Life Design Journey」も運営。http://lifedesign-j.com/

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