学んで作って食べて買う!小田原の「鈴廣かまぼこの里」をとことん楽しむ

2016.01.26

小田原の代表的名産品ともいえる「かまぼこ」。誰もが一度は口にしたことのある食べ物かと思いますが、その歴史や地域による違い、作り方、食べ方など、知れば知るほど奥深いもの。そんな「かまぼこ」について様々な角度から楽しめる「鈴廣かまぼこの里」を訪ねました。

東名高速道路の箱根口ICを降りてすぐ、もしくは箱根登山線、風祭駅下車すぐの場所にある「鈴廣かまぼこの里」は、大きく分けて3つの施設からなります。お買い物を楽しめる「鈴なり市場」、体験型ミュージアムの「かまぼこ博物館」、そして、各種お食事処。

まずは「かまぼこ」について無料で学ぶことのできる「かまぼこ博物館」から足を運んでみました。

「かまぼこ」の知識を深める

ここではパネルや展示品を見ながら「かまぼこ」について知ることができます。「かまぼこ」は、平安時代初期の文献に永久3(1115)年の宴会料理に出たという、最古の絵が残っており、2015年でちょうど900年の歴史があるといわれています。
▲日本最古の宴会料理の絵を再現したオブジェで、右手前の「ちくわ」のようなものが「かまぼこ」

形が植物の“蒲(がま)”の穂に似ており、蒲の穂は鉾のような形だったことから「がまのほこ」→「かまぼこ」と呼ばれるようになったとか。

そもそも「かまぼこ」とは、魚のすり身を練って味をつけ、蒸したり焼いたりした料理のこと。全国各地にそれぞれの海で水揚げされた魚を利用した「かまぼこ」が存在し、地域ごとに形や味、食感などが異なります。
▲日本地図にマッピングされた全国の「かまぼこ」。宮城県の「笹かまぼこ」や静岡県の「黒はんぺん」、愛媛県の「じゃこ天」、鹿児島県の「さつま揚げ」なども「かまぼこ」の一種

「かまぼこ」作りに最適な魚と水に恵まれていた小田原では、江戸時代の末期頃から盛んに作られていたそうですが、宿場町として繁栄していた土地柄、参勤交代で行き交う人々に食されて、古くから全国にその名が広まったといいます。

箱根丹沢連山からの伏流水はカルシウムやマグネシウムを適度に含み、鉄分をほとんど含まないため、かまぼこ作りに最適な水だそう。
▲白くて扇型で板付きなのが、小田原の「かまぼこ」の特徴。かまぼこ板には、作る時に形を整えやすい、持ち運びに便利、抗菌作用があり腐りにくいなどの役割がある
▲小田原の「かまぼこ」が白いのは、魚の身を地下水で晒(さら)して血液などの色素を除去しているから。また、臭みのもととなる脂肪や「かまぼこ」の弾力を阻害する酵素を洗い流す「水晒し」という重要な工程を経ている
博物館の奥には実際に職人さんたちが「かまぼこ」を製造している加工場があり、職人技をガラス越しに見学することができます。かまぼこ職人にはなんと国家資格があるそうで、その1級技能士の資格を持つ職人が「鈴廣」には9名在籍しています。

「かまぼこ」と「ちくわ」作りに初挑戦!

「かまぼこ」について一通り学んだところで、「かまぼこ博物館」の体験スペースで、実際に「かまぼこ」作りを体験(要予約)してみることに!「かまぼこ」と「ちくわ」の2種類を作ることができるという内容です(所要時間約50分)。

まずは、プロの職人さんのデモンストレーションを目の前で見学。
▲プロの技はあっという間で、一見簡単そうに思えるのですが…

次は、自分たちの番です。用意されていた魚のすり身を“かまぼこ包丁”を使ってならしていきます。
▲すり身の空気を抜く作業。これをやらないと出来上がりが穴ぼこだらけになってしまうそう
▲名前を書いたかまぼこ板にすり身を乗せていく
▲職人さんがやると1回でこんなに滑らかに
▲素人がやると…とても滑らかな表面にはなりません

「これは『かまぼこ』じゃなくて『でこぼこ』ですね…」と職人さんに笑われてしまう結果に。それでも“かまぼこ包丁”で丁寧に表面を整えて、なんとか自家製の「かまぼこ」が完成しました!
▲初めてにしてはなかなかの出来栄え!?
▲出来上がった「かまぼこ」を50分ほど蒸し器にかけて仕上げる

続いて「かまぼこ」を蒸している間に、「ちくわ」作りです。「かまぼこ」作りと同様、すり身をならして空気を抜いたら、まな板の上に長方形に成型。端に竹の棒を置き、“かまぼこ包丁”を使ってすり身をくるくると棒に巻きつけていきます。
▲“かまぼこ包丁”と竹の棒を進めるスピードを合わせるのがポイント
▲難しい場合は、手を使ってすり身を棒につけていくだけでもOK

最後に表面を、水をつけた手で整えたら完成です!
今回「かまぼこ」と「ちくわ」の両方を作ってみて、同じすり身でも蒸したら「かまぼこ」に、焼いたら「ちくわ」になるということを恥ずかしながら初めて知りました。
▲個性豊かな形の「ちくわ」たち
▲焦げ目がついてくるといよいよ普段見慣れた「ちくわ」の姿に!焼いている間も空気を抜くため、係の人が針のついた櫛で穴をあけていく

「ちくわ」は20分ほどで焼きあがるということで、焼き立てを食べるためにそのまま博物館内で待機。香ばしい匂いとともに出来上がりを知らせる館内放送が入り、「Myちくわ」を取りに行きます。
▲じゃ~ん!!どっからどう見ても「ちくわ」でしょ!?

出来立てほやほやの熱い「ちくわ」を目の前に、待ちきれずにバクリッ!す、すごい弾力!!すり身には予想以上にしっかりとした下味がついていて、これは間違いなくビールに合う味です。
▲熱々の「ちくわ」にかぶりつくのは初めて!

これまで脇役のイメージしかなかった「ちくわ」が、一気に主役級に躍り出ました。自分で作った「焼き立てちくわ」、これはここでしか味わえない感動の味です。

ちなみに蒸しあがった「かまぼこ」はというと…すり身をならす工程が甘かったのか、プロの作った「かまぼこ」に比べると弾力があまり感じられませんでした。それでも、自分で作ったという達成感が美味しさを倍増させてくれました。

「鈴なり市場」でかまぼこ食べ比べとお買い物!

続いて、「鈴廣かまぼこの里」で一番大きなエリア「鈴なり市場」へ。

「かまぼこ」を中心とした商品のお買い物スペースはもちろん、地元で浜揚げされた魚のすり身に朝どれ野菜を練り込んで揚げた「揚げかまぼこ」を地ビールと一緒に味わえるイートインコーナーや、すり身を作る際に出る魚のアラから作った有機肥料で育てた果実などを使ったスイーツのカフェ、贈り物コーナーまで鈴廣のお薦めがすべて詰まっている、まさに市場のような場所です。
▲かつての宿場町「小田原宿」の市場のにぎわいを再現したという「鈴なり市場」

どこから見ていいか迷ってしまうなか、今回は株式会社小田原鈴廣の広報・清水郁美さんのガイドのもと、最初に「かまぼこバー」へご案内いただきました。
▲普段工場でかまぼこを作っている職人や「かまぼこソムリエ」が交代でバーに立つ

ここでは3種の「かまぼこ」を、ワンコインで食べ比べすることができるんです。
▲「お試しセット」(500円・税込 ※飲み物付)。飲み物は日本酒、箱根ビール、白ワイン、足柄茶(温・冷)から選ぶことができる

まずは何も聞かずに食べてみます。少しずつ食べ比べると、風味の違いや弾力の違いに気づくことができました。

実はこの3種、職人による完全手づくりで1日300本ほどしか作れない「超特選蒲鉾 古今」、浜揚げされた生の魚のすり身を使って機械で作った「特上蒲鉾」、一年の中で最も魚が美味しい時期に水揚げをして作った冷凍すり身を使って機械生産した「謹上蒲鉾」。

どれも美味しいのですが、意外にも機械作りのものの方がプリップリの食感、職人の手づくり「超特選蒲鉾・古今」はほどよい弾力で、かすかな甘さと風味が上品に感じられました。
▲左から「超特選蒲鉾・古今」(1本3,500円・税別)、「特上蒲鉾」(1本1,600円・税別)、「謹上蒲鉾」(1本1,100円・税別)

この「かまぼこバー」はお客様に「かまぼこ」の値段と味の違いを知ってもらいたいという想いから、2007年に作ったそう。そしてここでまた驚いたのが、「かまぼこ」と一緒に味わうことのできる「箱根ビール」、これも鈴廣が醸造している地ビールだったのです。「かまぼこ」作りに使用している名水「箱根百年水」を使って、「かまぼこ」に合うビールを、と自社でビールまで開発していたとは!
▲左から「箱根ピルス」、「小田原エール」、「風祭スタウト ※12~2月限定」各330ml(各530円・税別)

お買い物中の一休みや、お買い物の参考に「かまぼこバー」は欠かせませんね!

あなどってはいけない、「かまぼこ」のすべて

「かまぼこ」の値段の違いもわかったところで、いよいよ市場へ繰り出します。売り場にはところどころに「かまぼこ」に関する様々な提案や発見がありました。

まず、目に留まったのがワインとの食べ方の提案です。「もともと白身魚が原料ですので、白ワインや辛口のスパークリングワインなんかともとっても合うんですよ」と清水さん。
▲カナッペ風に。オリーブオイルとバジルソースをかけてカルパッチョ風にしてもおいしいとのこと

「こちらも最近好評いただいています」と紹介されたのが「切れてる 板わさセット」。なんでもモニターアンケートの結果、一番おいしい「かまぼこ」の厚さが12mmという結論に至ったのだとか。名前の通り予め切ってあるこちらの「かまぼこ」は、家に帰る前に車内や宿などでも食べることができることから人気だそうです。
▲「切れてる 板わさセット」(850円・税別)

さらに、「若い世代にも『かまぼこ』に親しんでもらいたい」と、子どもウケ間違いなしの「かまぼこトミカ」や「リカちゃんハートかまぼこ」などもありました。
▲子どもへのお土産やお弁当に!「かまぼこトミカ」(各680円・税別)。2本箱入り(パトカー・バス、トラック・ブルドーザの2種類)

最後に、「贈る」をテーマに鈴廣が手がける取り組みをご紹介いただきました。
▲地元出身で子どもの頃から「かまぼこ」に馴染み深いという、清水郁美さん

「『手のひらサイズの紅白かまぼこ』を好きなパッケージの箱に入れて贈ることができる『こ・こ・ろ』は、ちょっとした手土産やプチギフトにピッタリなんですよ。中身の『かまぼこ』もサイズは小さいですが原料や味は本物と同じ。保存料や着色料は一切使っていません」
▲手のひらサイズの小さな「かまぼこ」を、選べるパッケージで贈る「こ・こ・ろ」(500円・税別)
▲日本の伝統的な型染めで作ったパッケージデザインが季節ごとに豊富に揃う
また、自身で描いた絵や文字をそのまま「かまぼこ」に焼印できる「プリかま」なるサービスも!
▲記念日やお礼にもおすすめな「プリかま」(かまぼこ代+焼印代500円・税別/1本)
※10~41本注文の場合は各400円、50本以上注文の場合は各300円

「もっと手軽に『かまぼこ』を使ってほしいと思っています」と清水さんが話すように、これまでお正月やお酒のつまみとしてわさび漬けと食べるイメージの強かった「かまぼこ」が、「鈴廣かまぼこの里」を訪れたことで、洋風の食べ方やプチギフトにできることを知り、グンと身近になったように感じます。
「かまぼこ」の新たな世界が拓けた感じでなんだか心もお腹もいっぱい…ではなく、「手作りちくわ」と「かまぼこバー」の「かまぼこ」だけではお腹は満たされず、敷地内の食事処、「千世倭樓(ちょうわろう)」で食事をして帰ることにしました。

「千世倭樓」は古民家の建屋に食事処が4つ入っており、今回は板前の味を気軽に味わえる「旬の割烹 潮の音」で、せっかくなのでここでも「かまぼこ」メニューをいただくことに。

3種のソース(わさび漬け、味噌、マヨネーズ)と共に味わえるカナッペ風の「のせる板わさ」では、マヨネーズと「かまぼこ」の相性の良さを知りました。
▲のせる板わさ(800円・税別)

さらに、かまぼこのオードブル、海老進丈の揚げ物、汁代りにおでん、竹輪の炊き込み飯など、かまぼこ・練り物をふんだんに使った鈴廣ならではの味わいを楽しめる「鈴廣づくしご膳」(昼のみ提供)で大満足!
▲鈴廣づくしご膳(1,900円・税別)
学んで作って食べて買う!をとことん楽しんだ、小田原の「鈴廣かまぼこの里」への旅。ここで半日過ごせば、あなたもきっと「かまぼこマスター」になれるはず!
長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

広告出版社を退職後、世界一周、日本一周を経て「くらしさ」を設立。全国各地のモノ・コト・ヒトを伝え、つないでいく活動に尽力している。全国の仕事人に会いに行ける旅「Life Design Journey」も運営。http://lifedesign-j.com/

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