石川・山中温泉で人形絵付け体験/クリエイター女子が行く!Vol.10

2015.12.25

こんにちは。フリーでイラストレーターをしています五島です。「ものづくりに興味はあるけどどこで体験できるのか分からない、なかなか行動に移せない……」この企画は、そんな悩めるあなたのために、クリエイター女子を代表してわたくしが全国各地で「ものづくり」を体験しまくります。そして、ものづくり体験の思い出を描き下ろしのイラスト付きでお送りします!前回は東京浅草ですだれ作りを体験しました。さてさて今回は…?

▲空気が澄んでいます

いやあ~近頃めっきり寒くなり、本格的に冬の気配が漂ってきましたね。
マフラーを巻いて、手には暖かいココア…………いいですね、冬。

さあ、気持ちがいい秋晴れの本日は、石川県の山中温泉にやってまいりました!
はじめて訪れたのですが、自然に囲まれたい~いところですね。
とにかく静かで夜はぐっすりと眠れます。
自然の中にレストランやカフェが立ち並び、のんびりとした旅を楽しめそう。

そんな古きよき温泉地に、お洒落な体験施設があるとのことなのですが……。
▲み、みつけたーー!

可愛らしい看板が目印です。
温泉地に突如あらわれる洒落た外観に、思わず足をとめてしまうこと間違い無し。

浴衣娘の、ゆかたべさん

▲早速ですが、お邪魔しちゃいます
▲上品で綺麗な店内

こちら「九谷焼窯元 きぬや」さんです。
名前の通り、1階には作家さんによる九谷焼のオリジナル作品がズラリ。
カフェスペースもあり、じっくりと雰囲気を味わうことができます。

2階が工房になっているのですが、本格的な陶芸や絵付けの体験ができるのは、山中温泉の中でもここ、きぬやさんだけなんだとか!

そんな素敵な場所で今回、人形の絵付け体験に挑戦しようと思います!
なぜならわたくしイラストレーターですからね。
得意中の得意分野ですよ。かかってこいってなもんです。へへん。

それにしても、どんな人形なんだろう?
▲らせん階段で2階へ移動、わくわく
2階では本日お世話になる、石原先生が待っていてくださいました。
▲よろしくお願いします!

焼き物というと、「泥まみれ土まみれじゃオラオラ!」的なイメージでしたが、とても綺麗ですっきりとした工房にびっくり。

先生「はじめまして、本日はよろしくお願いいたします。確かにこの工房は改装して間もないので、新しい感じがするかもしれませんね。」

作家さんにも勝手に無骨なイメージを抱いていたので、物腰がやわらかく優しい先生に内心ホッとしました……。

先生「今日絵付けしてもらうのは“ゆかたべという、江戸時代の湯座屋で働く浴衣姿の娘をモチーフにした人形です。形はできたものをあらかじめ用意してありますので、まずは色を選んでください」

浴衣娘で、“ゆかたべ“! なんてカワイイ由来なんだろう。
▲片面は女の子、もう片面はししの顔になっています

なぜ片面がししの顔になっているかと言うと、女中が風呂敷をかぶって移動する姿が獅子舞の姿に似ていたからなんだとか。

こんもりのせてね

▲どの色も良いなあ、迷うなあ

色付きの人形が並ぶ中、イラストレーターの意地で!難易度が高そうな真っ白のゆかたべさんを選んでみました。

先生「おお、白を選ぶ人はなかなかいませんよ。それでは簡単に、絵付けの説明をさせていただきますね。九谷焼の特徴は、彩法にあります。五彩とよばれる赤・黄・緑・紫・紺青の5色の和絵の具を、厚く盛り上げて塗るんです。普通の洋絵の具とは勝手が違うんですよ」

へえ! カラフルに彩色されていると思っていたけれど、基本はたったの5色なんだ。
▲外側が絵の具、内側が焼き上がりの色

絵の具と焼き上がりを比べると、だいぶ色が違うのが分かります。
なあるほど、出来上がりを想像しながら色付けをする必要があるんですね。
▲お手本を見せてもらいました

絵の具を厚く盛り上げて塗る、ってどういうことだろう?と思っていたけれど、本当だ。本当に分厚くたっぷりと塗っている。

優しく優しく、でも素早く筆を扱う先生の指先に、つい見入ってしまいます。

先生「厚く“塗る“というより、こんもり“のせる“という表現の方が近いかもしれません。でもあんまりゆっくりだと絵の具がどんどん乾いてしまうので、ささっとのせるのが理想です。表情なんかも自由に描いていいので、がんばってください」

あれれ?なんだかすごく難しいこと言われている気がする。
ふだん絵の具や筆を使い慣れているつもりだったけど、雲行きが怪しくなってきました。

まあまあ、とにもかくにも挑戦です!まずはししの顔から描いていこう。
▲いざ、着色!
▲実はプルプル震えていました

筆をのせてみてやっと分かった。

……紙に描くのとはぜんぜんちがーーーう!
見ての通り、ツルンとした表面なのでけっこう絵の具をはじきます。
そして当たり前ですが、カーブのついた立体物はバランスよく描くのがすごく難しい。
ひ、ひええ~!おごってました~!ごめんなさい。

今まで意識していなかったのですが、紙に描く時は絵の具が紙に吸われて馴染んでいたんですね。

先生「紙で慣れているとはじめは違和感がありますよね。他にも和絵の具の特性として、色によって重ねていいものとだめなものがあったりもします。ルールが多くて難しいですが、がんばりましょう」

はい!こういった想定外の驚きも、ものづくり体験の醍醐味です。
▲なんとかかんとか、ししの顔が完成!
▲もう片面の顔にとりかかります

じーっと集中していると、あっという間に時間は過ぎていきます。
ちゃちゃっと描けるもんだと思っていたけれど、こりゃ大変な作業だ。

たくさん絵の具を使うので垂れてきてしまうし、かと思えば乾いて修正が効かなくなったり。
絵を描く仕事をしておきながら、発見がたくさんありました。

なんだろう、手先が言うことを聞いてくれないこの歯がゆさは、はじめて筆を持った時の感覚に似ている気がする。
なんで上手くいかないの!?と何度も描き直したりして。
最近はできることも増えて、すっかり忘れていた感情が湧いてきます。

新しいことにチャレンジする機会を作るのは、大切なことだなあ……。

しみじみしているうちに両面の顔が完成!
▲オリジナリティを追求した結果、不気味なネコになった

先生「顔を描くだけでも、人によって時間のかかり方がぜんぜん違います。じっくり1時間かかる人もいれば、小学生のお子様だと10分で描き終えてしまったり……。実は描き慣れていない方のほうがうまいこと筆を使えたりするもんですよ。さあ、ボディはどうしますか?柄を入れてもいいですよ」

ひえ!そうだった。身体が残ってた。
でもここまできたらコテコテの五島ワールドを押しだしたいので、がんばっちゃうぞ。

やりたい放題やっちゃって!

▲先生の見守る視線がささります

ぐううう。腕がしびれてきた!!
最初は気づかなかったのですが、ずっと支えていると結構な重みがあるんですよ、ゆかたべさん。
あまり表面に指紋をつけると絵の具がのりにくくなるので、指に力を入れてしっかり下から固定します。

こんなに必死に絵を描くことになるとは……。

今回の体験は、人形を焼いて完成するまでどうなるか分からないスリルがあります。
けれど言い換えれば、最後に楽しみをとっておける、ということでもある。

筆を進めるにつれ、ハラハラがドキドキに変わり、ワクワクに近づいてきた。

私だけの、私のための人形だもんね。大胆に絵描いていいんだ!
▲完全に左手がつった瞬間
▲でも柄はなかなかカワイイでしょう?

先生「あとの残った部分はどうしますか? 白い下地を選ぶと大変なんですよね。全部塗るってなると多分半日かかりますし」

あとは周りを塗って……と考えていたところで、先生が突然衝撃の事実を突きつけてきました。
半日。いやいや半日て。

先生「あはは。だから普通は色が塗ってある人形をすすめるんですよ。柄を両面にいれたことだし、あとはシンプルでもいいかもしれませんね。自由にどうぞ!」

ここにきてさらに自由!もうやりたい放題やっちまいましょう。
▲特別に洋絵の具も貸してくださいました
▲もうこのあたり、何も考えず童心にかえっています

あんまりしかめっ面で悩んでも仕方ない!と自由に突っ走ったので、独特の空気を醸しだす人形が完成しました。

正確には焼き上がり前の完成なので、きっとこれから焼かれて冷まして美しいゆかたべさんになってくれることでしょう。
そう願わずにはいられない。
▲ししの顔。目や歯の部分は、焼くと透けて見えてきます
▲わけわかんない感じになっていますが、ネコです

皆さん、言いたいことは分かりますよ。
この状態じゃカワイイとは言いがたいですよね?
焦らず、完成品が届くのを待とうではありませんか。

私からすると抱きしめたくて仕方ない出来なんです。
細かいところも、指がつるまで描き込めて非常に満足!

先生「お疲れさまでした。下地選びもそうですが、絵を描く人はこだわりもあるでしょうし大変でしたね。ですが、その分やりがいもあると思います。もちろん、絵が苦手な人にもきちんとレクチャーしますので、どなたでも気軽にお越しいただけますよ」

真剣に教えて下さる先生も、優しい笑顔の先生も、どちらの姿にも大変助けていただきました。焼き上がった作品は1ヶ月~2ヶ月ほどで自宅に配送されてきます。楽しみ!
石原先生、ありがとうございました!
▲ああ、楽しかった、汗かいたー!
▲石原先生の作品を購入することもできます。要チェック!

いらっしゃい、ゆかたべさん

後日、届きました!
オリジナルゆかたべさん。
それではご覧いただきましょう。
▲じゃんじゃんじゃーーん

ほら!言ったでしょう!?完成すると可愛くなるんですって。
つやつやと光沢ある質感が美しく、フォルムも愛くるしいですね。

しかも、なんとこのゆかたべ人形、心願成就、芸事上達、商売繁盛として願いが込められているんです。
願い事を描いて、中に入れておくんですって。
▲願いを書いて、っと……
▲よろしくお願いします!
▲ゆかたべ「重いわ」

きょうのいちまい



五島夕夏

五島夕夏

桑沢デザイン研究所卒業。学生時代ロシアの絵本に大きく影響を受け、絵本画家を志す。現在はサロンのレセプションをしながら、イラストレーターとして活動中。

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