青森・「ブナコ」の器作り体験/クリエイター女子が行く!Vol.14

2016.02.19

こんにちは。フリーでイラストレーターをしています五島です。「ものづくりに興味はあるけどどこで体験できるのか分からない、なかなか行動に移せない……」この企画は、そんな悩めるあなたのために、クリエイター女子を代表してわたくしが全国各地で「ものづくり」を体験しまくります。そして、ものづくり体験の思い出を描き下ろしのイラスト付きでお送りします!前回は青森県弘前市でアップルタルト作りに挑戦しました!さてさて今回は……?

前回に引き続き、今回も青森県弘前市からの中継です。聞こえますかー!

弘前市は、昔ながらのお土産屋さんや八百屋さんがあったかと思えば、おしゃれなカフェや雑貨屋さんも立ち並ぶ、実は若者も楽しめる場所なんです。

とくに、獲れたての魚や地元の野菜をリーズナブルに買うことができる市場は、年齢関係なく楽しめること間違いなし!
わたしも実際に行ってみたのですが、大粒のイクラがこんな価格で食べられるのか…… と感激してしまいました。

まずは見て学ぼう

さて、そんな素敵な町で今回は、ブナの木を使った木工品「ブナコ」の器作りを体験します。
「ブナコ」の器は、ブナの木をテープ状に薄く裁断したものをコイル状に巻いてひとつひとつ丁寧に作られています。
基本はお皿や鉢などの器ですが、そのほかにランプなんかもあるんですって。
▲「ブナコ」の器。よーく見るとコイル状に巻かれているのがわかります

お皿にもランプにも姿を変える木って、一体どういうこと!?
ええい。想像していても仕方がない、いざ出陣じゃー!
▲わ、おおきい!

長~~~~い外観がとっても目立つここ、「ブナコ株式会社」さんです。
実はこの建物、元々は旧陸軍が所有する馬小屋だったそうで、80年以上前の姿をそのまま残しています。
すごい。写真に入りきらないこの長さ、圧巻です。

早速ですが、お邪魔してみましょう!しかし、どこから入るんだろう?
▲入り口見つけた!おじゃましまーす
▲中に入ってもやっぱり長~~~~い!

こちら、端から端まで「ブナコ」の製作工場になっていて、体験前に工場見学ができるんです。
今回は、ブナコ株式会社の工藤さんが解説付きで案内してくれます。

体験だけでなく実際の工場を間近で見られるなんて……わくわくが止まりません。

工藤さん「まずお見せしたいのは、ブナコの材料となるブナの木をかつらむきのように薄く、テープ状に加工したものです。厚さは1mmほど。ここには幅の違うテープ状のブナ材がそれぞれまとめられています。ブナコは作る製品によって、細かくこの材料を使い分けているんですよ」
▲束になったテープ状のブナ材
▲底板も、形・大きさ様々です

どひゃ~、のけぞるほどのすっごい数!
これでもほんのほんの一部なんだとか。
なるほど、この底板に細長いテープ状のブナ材を巻き付けていくわけですね。

むむ、でもそこからどうやって器になるんでしょうか?
まだまだ分からないことだらけです。

工藤さん「次は、底板にテープ状のブナ材を巻き付け『巻板』を作る工程をお見せしますね。実際に職人が作っているところを見ていただければ、分かりやすいかと思いますよ」
▲職人さんの後ろからそっと覗き込むと……
おおおおっ

少し分かりづらいかもしれませんが、かなり強めの力でグイグイとパーツを巻き付けています。
目にもとまらぬスピードなので、指を突き出されたトンボのようにボーっと眺めてしまいました。

1本のテープ状のブナ材を巻き終えたら次のブナ材を継ぎ足すのですが、そのとき接着剤などはいっさい使わず、ブナ材同士を重ね合わせるだけなんですって。
作り手の力加減で全ては決まっていく、これぞまさに職人芸。あっぱれです!
ちなみに直径24cmの器を作るには、32mほどのブナ材を巻く必要があるのだとか!
▲巻き上がった巻板。なんて美しい円だろう

工藤さん「職人のみなさんは淡々と作業しているように見えますが、ズレの有無や完成形を常に考えているんですよ。さあ、次はブナコの最大の特徴である、形づくりを見ていただきますね」

工場内はたくさんの職人さんが黙々と作業をこなしています。
それぞれの工程に意味があり、全ての人ができあがりの美しさを意識しているんですね。
そう考えると私は今、すごい現場を目の当たりにしているんだなあ。
▲これまたすごい速さで器ができていく

ほうほう、巻板を回しながら、巻き付けてあるテープ状のブナ材を少しずつずらして形を作っているんだ。

そして成型するのに使っている道具は、なんと湯のみ!
大きさや手とのフィット感、カーブの付き方など、ブナコとの相性がピッタリなんだとか。
この曲線美が湯のみで作られていたなんて、こいつあ驚いたぜ……。
▲自由自在に成型できちゃうのだ

工藤さん「普通、木という素材はかたいので、一度形を作ると後戻りはできないんですね。しかしこのブナコの技法を使えば、何度でもやり直しが効くんです。また、木とは思えないような繊細な歪みやカーブを表現することもできます」

うっわー!すごい、ブナコすごい!
ここにきてやっと、ブナコの特徴がつかめてきました。
木であるのに木でないような。でも強度や耐久性は、木の長所を残したまま。

こうして工場見学をしながらお話を聞くことで、ブナコの歴史や魅力を直に感じることができますね。
すごいよブナコ~!

手に汗にぎる、湯のみがすべる

一通り興奮しきったところで、いよいよ私が手を動かす番。
今回は、すでにコイル状になった巻板を、湯のみを使って器の形に成型していく工程部分を体験いたします。

教えて下さるのは、優しい笑顔の前田先生。
▲先生、よろしくお願いします

先生「はい、よろしくお願いします!今回は平らな巻板を湯のみを使って成型し、器をおひとつ作っていただきます。まずは湯のみの持ち方を覚えましょう」
▲利き手で湯のみを持って、巻板に押し当てる

わわ、ツルツルとした湯のみを握るのが難しくて、カクッと滑ってしまう!
さすがは木。巻いてあってもかたいもんはかたい。

先生「コツを掴むまで少し時間がかかるかもしれません。ぐーっと均等な力で押し転がすのを意識してみてください」

かたいかたいと言っていますが、これでも体験用に少しやわらかく巻いてくださっているそうです。
職人さんが作っていたのはこれよりもずっとかたい巻板のはずなのに、すごく簡単そうに見えたぞ……!
▲先生の動きを見て、おさらい

先生の骨張った大きな手は、巻板を成型するために作られたように湯のみに吸い付いている。
職人さんの手ってかっこいいよなあ。

右から左に湯のみを転がして、巻板を回す。
タララランっと幅の狭い階段のようにカーブができたら、その幅が均等になるように、また湯のみを転がして、巻板を回す……。
繰り返し作業に、ついつい無口になってしまいます。
▲転がして回す、の繰り返し

気持ちはブナにコめて

実際に「ブナコ」が製作されている工場のど真ん中で、ブナコ作りを体験している。
なんだか自分もこの空間の一部になったような気持ちで、身が引き締まります。

もちろん先生は優しく教えてくれるのですが、なんとか自分の力で仕上げなくては!とやる気が満ちてくるのです。

幼稚園の時、小学生のお兄さんお姉さんと粘土遊びをした時のような、憧れと意地が入り混じる不思議な感覚。

ひとつひとつ大切に、使う人のことを考えて。
▲だんだん器になってきました

先生「いい感じに高さがでてきましたね!ここからは好みになるので、深い器にするかもっと丸みをつけるかなど、どうしましょうか」

そうか、器といっても色んな形がありますもんね。
そうだなあ、サラダを入れたりしたいから、浅いけれど丸みのある形にしよう!

湯のみの形をうまく利用し、先生の手つきを真似ながら、なかなかの「理想の器」ができたかも。
▲水平や高さを調べる道具登場

先生「うん、水平も問題ないですし、綺麗なカーブもでていますよ。ご自分が納得できるようであれば、最後に裏にサインを描いて、全体にのりを塗ったら完成になります。大変おつかれさまでした!」

先生のチェックに合格したみたいな気分がして、なんだか嬉しい。
湯のみの握りすぎで手がシビれそうでしたが、できたどーー!
完成形をお見せするのは、さいごのお楽しみにとっておきましょう。
▲ちょっとやりすぎなサイン
▲のりを塗ったのち、乾燥室に入れます

このあと職人さんが塗装仕上げをし、約3週間後に自宅まで配送してくれます。
はやくサラダ盛りつけたいようー!

先生、何度もお手本を見せてくださってありがとうございました。
▲あ~届くのが楽しみ!

終わりに、ブナコのショールームにて器のカラーを選ぶことができます。
それだけでなく、ショールームではオリジナルの様々なブナコ製品の購入も可能です。
▲私は1番奥のナチュラルカラーをチョイス
▲オレンジ色が透けるブナコのランプ、おしゃれすぎる

製品だけを見ると洗練され洒落ている印象ですが、製作過程では職人さんたちの熱い想いがこもっていました。
そのギャップがブナコの魅力のひとつなのかもしれません。

今日1日、案内をしてくださった工藤さん、ありがとうございました!

工藤さん「こちらこそありがとうございました。製品を買うだけでは分からないことを体験していただき、もっと言えば、さらに体験だけでは分からないことを見学していただきました。これからも、もっともっとブナコの魅力が全国の方々に伝わると嬉しいです!」
▲素敵なショールームで、工藤さんと記念撮影

ひとりだって、おいしいもん

3週間後、仕上げ作業を経たブナコの器が届きました。
▲ちょーーーーーたのしみ!パない!

ついついギャル口調になっちゃうくらいテンション上がりました。
▲綺麗に弧を描いています

木の温かみと美しい曲線……とっても満足な出来上がりです。
私事ではありますが、最近一人暮らしをはじめたばかりなので、かわいい器が欲しくて欲しくてたまらなかったのだ。
北欧風を目指している部屋のインテリアとも、ピッタリな予感!
▲念願のサラダを盛り付け

いつもよりずうっと美味しそう。野菜のみずみずしさが際立ちます。
きちんと手入れして、これからたくさん使おうっと!

(もちろん1人で使いますよ……)

(おしまい)

きょうのいちまい



五島夕夏

五島夕夏

桑沢デザイン研究所卒業。学生時代ロシアの絵本に大きく影響を受け、絵本画家を志す。現在はサロンのレセプションをしながら、イラストレーターとして活動中。

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