うどん県・香川の名店「饂飩家 五右衛門」へ。讃岐のカレーうどんはやっぱりうどんが主役だった!?

2016.01.29 更新

今や世界中で愛されるカレー。しかし、カレーの世界というのは奥深いもの。この企画では、カレーの第一人者・井上岳久先生と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

前回は、鹿児島県にある日本有数の種麹屋「河内源一郎商店」の甘酒カレーを紹介しました。さて、今回はどんなカレーが登場するのでしょうか。

【Contents】

1.「日本一」と称された名店へ
2.さすが讃岐国!やっぱりうどんが主役
3.真っ黒!衝撃ビジュアルのカレーうどんも

1.「日本一」と称された名店へ

▲ここは3,000本の松が立ち並ぶ津田の松原。瀬戸内海を前に漂うサスペンスドラマ感

“うどん県”として知られる香川県。日本で最も面積が小さいこの県ですが、一説には800軒を超えるうどん屋が存在するといわれています。数ある有名店のひとつ、高松市内の「饂飩家 五右衛門」は、地元のみならず遠方からやってくるお客さんも多い人気店です。店主が毎日手打ちする正統派讃岐うどんを求め、連休ともなると店の前には行列ができ、日に約200人が訪れるとか。
▲お店があるのは繁華街の一角

二代目店主の木村義之(きむらよしゆき)さんは、高松市内の割烹などで修行を積んだのち、1996年に縁あってこの店を初代から譲り受けました。「うどんは毎日食べるくらい大好きだったけれど、まさか自分がうどん職人になるとは思ってもなかった」と笑う木村さん。指導者としての顔も持ち、氏のうどんへの真摯な姿勢と堅実な技を受け継いだお弟子さんたちは現在、県内外でうどん屋を営んでいるそう。
▲黙々と麺切をする木村さん。たまに見せるクシャッとした笑顔が印象的

本日ご紹介するのは、同店の名物「カレーうどん」(税込800円)。昨今の讃岐うどんブームの仕掛け人、かの田尾和俊氏が著書『恐るべきさぬきうどん』にて「日本一うまいカレーうどん」と称したというから期待も高まります。
▲冷水でしっかり締めることで、絶妙なコシを持つうどんが生まれる

2.さすが讃岐国!やっぱりうどんが主役

店内に響く麺切の「ゴトンゴトン」という音に聞き入っていると……やってきました。名物のカレーうどんです。ここで、「これこれ!なつかしいなぁ」と声を上げる井上先生。そうです、実はこのカレーうどん、先生がプロデューサーを務めた「横濱カレーミュージアム」でも大人気だったのです。
▲先生が惚れ込んだという一杯

「初めて食べたとき、シンプルな仕上がりながらうどんのモチモチ感が最大限引き出されていることに衝撃を受けました。それで木村さんを口説き落として、やっと出店を決意してもらったんです」と、井上先生。
▲見るからになめらか。思わずのどが鳴る
▲では、いただきます
角の立った白肌の多加水麺は、ムチムチと歯を押し返すような強い弾力。まずは讃岐うどんらしい伸びやかな食感で歯を喜ばせ、次にチュルンとなめらかな喉ごしで喉を喜ばせてくれます。麺に使う小麦は季節ごとに産地を変え、香川産など4種類をブレンドするのが木村さん流です。小麦の豊かな香りと瑞々しい食感を同時に味わえ、楽しいかぎり!
ピリッと刺激的なルウ。その粘度の高さも「饂飩家 五右衛門」の特徴です。一般的なカレーうどんに見られる、カレールウにうどんが“浸っている”というより、カレールウがうどんに“かかっている”といいましょうか。老若男女に愛される人気者のカレーも、ここ五右衛門においてはうどんに華を添える引き立て役に徹するようです。
京都から取り寄せた宗田節やアジ節、ウルメイワシや真昆布など7種類の素材から丁寧に出汁を引き、かえしに濃口醤油を使用したつゆは、カレーのスパイスをも包み込むような仕上がり。曰く「ルウは出汁を引き立てるためのもの」。

3.真っ黒!衝撃ビジュアルのカレーうどんも

先生が注文したのは「黒カレーうどん」(税込900円)。真っ黒な見た目とは裏腹に、その味わいは柔らかくおだやか。デミグラスソースや牛乳などを加えることでコクと深みが増し、成熟した仕上がりになるんだそう。
▲揚げたての海老天ぷら(税込350円)をトッピング
▲ズルズルッ

井上「うん!抜群のコシだね。それにルウがよく絡んで一体感がある。通常のカレーうどんに比べ、黒カレーはデミグラスソースのまろやかな深みが効いていて、五右衛門の技術を生かした逸品だね!玉ねぎの甘みもしっかり出ているし、じわじわと来るスパイスの感じも健在です!」
▲手打ち麺ならではの長さににんまり
井上「Simple is best.カレーうどん 讃岐うどんの特長を最大限生かしたカレー」

こん「発見!うどん帝国のカレーうどんは……うどんが主役」

「巧みに引き算していて、何杯食べても飽きない味。お笑い芸人と同じで、ベースができていないと一瞬で消えてしまう。『五右衛門』さんのカレーうどんは奇をてらわず、シンプルに真っ向勝負していると思います」と井上先生。
▲五右衛門ってことで歌舞伎ポーズでシメ!

聞きしに勝る讃岐の名店。寡黙なご主人が手がける真剣勝負の一杯をぜひ本場で堪能あれ。
▲店頭やネットで買えるレトルトタイプも(税込750円)

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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