かき氷ホットスポット岡山/小池隆介のかき氷あっちこっち食べ歩きvol.6
かき氷を巡る旅をするようになって、今まで縁のなかった町に何度も足を運ぶ事が増えた。仕事先も親戚もいない初めて訪れた町のアーケードをあちらこちらと歩き回ったり、地元で人気の定食屋を見つけたり、その町の方言を懐かしいと感じたりするなんて思ってもみなかった。今では旅に出るとなると、あのかき氷が食べられる、あの店主さんにまた会えるという事が楽しみで仕方ない。

まず紹介したいのは、岡山のおいしい果物をふんだんに使ったかき氷屋さん。通年のかき氷提供を始めて10年以上。岡山の町に「冬でもかき氷」を定着させたお店だ。
かき氷のテーマパーク、岡山「おまち堂」

はじめて「おまち堂」を訪れたのは10月の半ば過ぎ、平日の午後だったと思う。そろそろ肌寒くなってきた季節で、本当に通年かき氷をやっているのかなぁと不安になりながら店を捜していた。その頃はまだ都内でも秋冬にかき氷を提供している店は数える程しかなく、いくら岡山が温暖な気候とはいえ、町中からは少し離れた店にわざわざ食べに来るのだろうか、と疑問だった。



この形状ということは結構固めてあるのかな?とスプーンを入れると思いのほか抵抗なくスッと入る。氷は薄く削られていて、口どけは滑らか。そして黄金桃が完熟でミルクの甘さに全く負けない。芳醇で酸味のあるパッションフルーツのシロップが、ミルクの甘さと黄金桃の甘さを引きしめるアクセントになっていて、これは旨い!
聞くと果物は全て店主さんが市場に行って仕入れて来るとのこと。お眼鏡にかなった果物は、店内で熟し具合を見ながらカットされ、出来るだけ切りたてに近い状態で提供される。黄金桃に合わせてあるのはミルミルクという「おまち堂」オリジナルのミルクシロップで、キャラメルミルクに合わせるのはバナナ、マスカットにはヨーグルト風のさっぱりしたシロップという風に、フルーツの味を最もひきたてるシロップを組合わせている。
最初の訪問でかき氷はもちろん、飾らない性格の店主さんご夫妻との会話が楽しくてすっかりファンになってしまい、いまでは最低でも年に一度は必ず食べに行きたいと、岡山に訪れる時期を心待ちにしている。

おまち堂
岡山県岡山市南区福浜西町1-1
[かき氷提供期間]通年
[提供時間]10:00~19:00(5月~10月)、11:00~18:00(11月~4月)
[定休日]水曜日
086-262-5660
先日訪れた際の宇野港は快晴!開店前についたのでちょっと時間潰しに散歩していると、あまりの気持ちよさに気がつけば開店5分過ぎ。店に向かうとこの短時間の間に行列ができている。メニューを見ると売り切れの品もちらほら…。

少し慌てるが、良かった!お目当ての「ご当地マンゴーミルク」と「シャインマスカット」はメニューに残っている。「ご当地マンゴーミルク」は季節によって変わる日本のマンゴーの旬を追って、その時期においしいマンゴーをかき氷の上にたっぷりのせたご馳走かき氷で、「シャインマスカット」はマスカットの中でも大人気の「桃太郎ぶどう」という品種が使われているとの事で、どうしてもこの日食べたかったのだ。
舌の上でとろんととろけるマンゴーに、皮ごとたべられるマスカットの食感が楽しく、非常に美味しいかき氷に感動した。
もしも訪れた日が晴れならば、海を見ながら食べるかき氷は更に絶品になる事だろう。ただし、雨の日と冬は「のんびり営業してます」とのこと。雨の海を眺めながら落ちつく店内でゆったりと時間を繕うのも悪くないかもしれない。

おまち堂宇野港店
岡山県玉野市築港1-1-4
[かき氷提供期間]通年
[提供時間]10:00~19:00
[定休日]火・水曜日
080-1914-0301
店内にはつやつやと美しい果物がディスプレイのように並べられ、元気な店員さんの声が響く。センスのいい小物や鮮やかな色彩が溢れる店内の雰囲気が、ちょっと外国のフルーツショップにいるような気分にさせてくれる。

3つの「おまち堂」はそれぞれ異なるシチュエーションで、ここに食べに来る人達をたのしい気持ちにさせてくれる。
かき氷という食べ物は「ハレの日(特別な日)」の食べ物だと僕は思っている。子供の頃の花火大会、盆踊りや海の家など、特別(非日常的)な場所で食べるかき氷は、僕にとっては一大イベントで特別なご馳走だった。 楽しい雰囲気の中で提供される「おまち堂」のかき氷は、そこに訪れる人々に特別な思い出を残してくれるに違いない。
おまち堂&FRUTAS
岡山県岡山市北区問屋町12-101 AROW&DEPARTMENT 1F
[かき氷提供期間]通年
[提供時間]10:00~19:00
[定休日]不定休
086-246-3686
昭和のかき氷を訪ねて。「喫茶カニドン」

表町商店街にある「喫茶カニドン」は、ミルク金時発祥の店として知られる喫茶店だ。(※2016年夏頃に閉店し、2018年6月に移転オープン)
商店街の中にあるビルの階段の「喫茶カニドン」という看板と文字を見て、なんだか面白そうな店だぞ、と思った。
もちろんその店名から不思議な印象を受けてはいたが、この愛想のない看板と殺風景な階段から始まるプロローグが好奇心をそそる。ガラス戸に店名が書かれた扉をあけて店に入ると、昭和感の強い内装…というか、そこはまさに懐かしい昭和の喫茶店だ。
きっとこのテーブルも椅子も、随分昔から使われていたであろう。そしてかき氷機は、レトロというより動く奇跡。大変珍しく古いかき氷機が、現役で働いているではないか。
このかき氷機で作られたかき氷を、ぜひ味わってみたい!!


その「喫茶カニドン」、かき氷メニューは「ミル金」だけではなく、注文が入ってからお抹茶をたててシロップを作る「宇治ミル金」や、卵と練乳とかき氷を混ぜ合わせてつくる「ミルクセーキ」も人気だ。昔、岡山では有名な洋菓子屋が出したかき氷のようなミルクセーキが大人気で、以来ミルクセーキと言えばどこの店でもこのスタイルだったというが、今ではこれも珍しくなってしまったという。訪問の度「ミル金」ばかり頼んでいたが、次回は必ずミルクセーキを食べに行こう。そして懐かしい昭和の話をきかせてもらいたい。

喫茶カニドン
岡山県岡山市北区表町2-1-40
[かき氷提供期間]通年
[提供時間]9:00~17:00
[定休日]火曜
086-233-8982

小池隆介
かき氷のフードイベント『かき氷コレクション』実行委員会代表。かき氷専門ガイド本『かきごおりすと』の編集・発行者。一般社団法人日本かき氷協会代表。日本中のかき氷を食べ歩いて取材し、日本古来の食文化で伝統食でもあるかき氷を広く伝える為に活動。かき氷にとどまらず、氷雪業(氷の卸しや販売、製造)全体にも精通している。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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