2016年の桜氷10選~春を味わうかき氷/小池隆介のかき氷あっちこっち食べ歩きvol.8

2016.04.13

桜の開花宣言が心待ちになる3月下旬、かき氷屋さんとかき氷ファンの間でも桜の話題が多く交わされるようになってくる。「桜、始めました」的な言葉がSNSに飛交い、桜好きの僕はなんだか落ち着かない気分になってくる。「桜のかき氷」は、この時期にしか食べる事のできない期間限定のかき氷の代表だろう。

▲目白 志むら「さくら」1,000円(税込)

「桜のかき氷?どんな味がするの?」と驚かれる事も多いが、桜餅のような味といえばわかりやすいかもしれない。ほんのり薫る桜の葉の香りのシロップに、桜の花をトッピングしたり、餡を組み合わせたり。各店それぞれが工夫を凝らしている。

日本の春のように儚い桜のかき氷が僕は大好きで、3月~4月は花見もそこそこに「桜のかき氷」を追いかけて走り回っている。今回は2016年の春に僕が食べ歩いた「桜のかき氷」をご紹介しようと思う。どれも素晴らしい味わいのかき氷なので、是非足を運んでみていただきたい。

※ 桜のかき氷の提供期間は店舗により異なります。

和食屋さんの作る桜かき氷、「和kitchenかんな」

▲「花より2016」950円(税込)。春夏提供予定

世田谷区の桜の名所、世田谷公園にほど近い「和kitchen かんな」は、お花見の後に桜のかき氷を食べることができる、評判の高い和食屋だ。桜の葉を丸ごと封じ込めたシロップにはほんのりと桜の葉の色が溶け込み、味わい深い桜色となって柔らかい氷に染み込んでいる。

この日にトッピングされていたのは酒粕を使ったクリーム。桜シロップに酒粕が加わることで、味の深みが増して更に「和」を感じさせるかき氷に仕上がっている。和食の食材をシロップに組み入れる事に長けている「かんな」らしいかき氷だ。

桜並木を抜けて桜氷を味わいに、「雪うさぎ」

▲「サクラサク」1,000円(税込)。4月下旬まで提供予定
▲「私を酔わせてどうするの」1,200円(税込)。4月初旬に提供終了予定

ミルクや生クリーム系のかき氷が得意の「雪うさぎ」で提供されているのは、白餡風味の桜クリームにずんだ餡がちょこんとトッピングされた「サクラサク」と、桜リキュールとヨーグルトリキュールを使った大人限定のかき氷「私を酔わせてどうするの」の2種類の桜のかき氷。

「サクラサク」は、桜の葉をきざんで風味を移した白餡仕立ての桜クリームがたっぷり。とても軽やかな舌触りに仕上がっていて、提供されている間は何度でも食べに行きたいと思わせる一品だ。

桜新町の桜並木は複数の種類の桜が見られる事で有名だが、「雪うさぎ」方面には開花の時期が遅い八重桜が植えられているため、4月後半まで花見を楽しむことができる 。夜桜見物の後にちょっと足を伸ばして夜桜氷を味わう、そんな桜の楽しみ方はいかがだろう。

和菓子屋が本気で取り組むかき氷、「目白 志むら」

▲「さくら」1,000円(税込)。4月末日まで提供予定

崖のようにそびえるかき氷に滝のようにかかるシロップが有名な「目白 志むら」では、3月初旬頃から桜のかき氷の提供が始まる。桜の花を使った甘酒蜜か桜しろみつを選ぶことができるかき氷には、和菓子の落雁(らくがん)を加工した桜色の粉がふわりとかかって何とも可愛らしい。

氷の中には白餡をベースに桜の葉を加えて作った桜餡がたっぷり。さすが老舗和菓子屋、この桜餡がとにかく旨い!塩加減・甘さ・桜の風味・氷に溶けるやわらかさ、和菓子屋の力量を感じさせられる仕上がりになっている。

桜が咲く頃になると、かき氷に桜の花がトッピングされ、4月になって花が散る頃には青大豆で作られた青きな粉に桜の葉の塩漬けを隠し味にしたうぐいす粉が添えられる。かき氷に添えられていたトッピングも桜の花からわらび餅に変化。桜が咲き、葉桜へと変化していく美しさを、舌と目で楽しむことができるかき氷だ。

たい焼き屋自慢の餡がたっぷり桜豆乳氷、「浅草浪花屋」

▲「さくらのほわいと」750円(税込)。4月16日まで提供予定

豆乳を凍らせて削った「ほわいと」は、普通の氷のかき氷と比べてふんわり軽くクリーミーな口溶けの人気メニュー。

「さくらのほわいと」は豆乳自体に桜の風味を付け、桜の花と葉も一緒に氷の中に閉じ込めているので、舌にのせると同時に溶けだす氷からは桜の香りが溢れ出してくる。桜のほのかな甘みに変化をつけるのは別添えされたこし餡と白餡。好みのタイミングで味に変化をつけながら楽しむことができ、最後にはお口直しの塩昆布まで添えられている。味の起承転結を考えた「浪花家」らしいかき氷だ。

桜とうぐいすの美味しい組み合わせ、「ひみつ堂」

▲「うぐいす桜」900円(税込)。梅雨の前まで提供予定

春の「ひみつ堂」の名物氷「うぐいす桜」は、桜の葉を使って香りを移した桜練乳がたっぷりかかったほんのりピンクのかき氷。淡い緑のうぐいすきな粉が桜練乳の甘さに心地よい変化を与えている。

氷の中に隠されているのは北海道産の風味豊かな青えんどうをやわらかく煮て潰したうぐいす餡。この豆の風味と桜の香りの相性の良いこと!日本の美しく儚い桜の味をかき氷で楽しむことができるシアワセ。桜のかき氷を語るなら、「ひみつ堂」の「うぐいす桜」は絶対に外せない一品だ。

昼だけ営業・かき氷専門店で見つけた桜氷、「氷喫茶 バンパク」

▲「桜小町」900円(税込)。4月15日頃まで提供予定

桜の葉を使って香りをつけたシロップはほんのりピンク色。トッピングされているぶどう(トンプソン)の鮮やかな緑に目が奪われた。ぶどうと桜の組み合わせは初めてだったので驚いたが、ほんのりと香る桜の風味と控えめな香りのトンプソンとが、お互いの味を打ち消さずにそれぞれの美味しさを主張している。食べすすむと中から出てくる白餡は、桜ともトンプソンとも相性が良くスプーンがとまらない美味しさ。儚さの内側に生き生きとした生命力を秘めた桜のようなかき氷だ。

うどんと和菓子の店のかき氷!「まめ茶和ん」

▲「春爛漫」600円(税込)。4月末頃まで提供予定

3色の桜餡に彩られたかき氷は「小サイズ」と書かれているが、たっぷり食べごたえのある大きさ。緑の餡とこし餡には桜の葉が、薄いピンクの桜色の餡には桜の花が練り込まれ、3つの餡の異なる桜の味を楽しむ事が出来る。氷の下には更にこし餡が潜んでいるのだが、ここには桜餅に使われる道明寺も一緒に入っていてモチモチとした食感を楽しむ事が出来る。トッピングの桜色のゼリーがひらひらと可愛らしく、ついつい見とれてしまいそうな初々しいかき氷だ。

いちごと桜の贅沢な競演、「はいむる珈琲」

▲「2016年春」850円(税別)。ゴールデンウィーク頃まで提供予定

可愛らしい盛り付けと女子力の高いトッピングで注目を集めている「はいむる珈琲」が提供する春のかき氷は、桜と桃薫(とうくん)いちごの華やかなコラボレーション。かき氷の上と中には栃木県産有機栽培の桃薫いちごがごろごろたっぷり、シロップも桃薫いちごソースとスパークリングエスプーマの2色がけ。桜の花形チョコに桜の花びらの粉末がかかり、ほんのり桜風味の贅沢な苺かき氷。濃厚な練乳もたっぷり付いて大満足!

※桃薫いちごは仕入れ状況により、とちおとめ等に変更になる事があります。

紅茶専門店の美味しいかき氷、「ティーハウスマユール宮崎台店」

▲「桜(桜餡と求肥入り)」950円(税別)。ゴールデンウィーク頃まで提供予定

ほんのりと淡いピンクのかき氷に塩漬けの桜の花を加工して作った可愛い花がトッピングされた「桜」は、糖蜜と桜の花だけで仕上げた桜シロップがかかるスッキリとした味わいのかき氷だ。桜の味をじっくり味わった後に氷の中から現れるのはほんのりと塩味の効いた桜餡と桜風味の手作り柔らか求肥(ぎゅうひ)。口溶けの良い氷に存在感のある桜餡ともっちりした求肥が加わり、食感の異なる桜三昧を楽しむことが出来る。かき氷の原点を考えさせられるような直球勝負のこのかき氷は、日本の桜のイメージそのままの素晴らしいかき氷だと思う。

かき氷の名店で桜三昧、「慈げん」

▲「桜」750円(税別)。4月中旬頃まで提供予定
▲「桜ミルクにレモンクリーム」880円(税別)。4月中旬頃まで提供予定

慈げんの「桜」は、桜の花と桜の葉、そして糖蜜で作ったシロップがかかっただけの潔いほどシンプルなかき氷だ。シロップと氷だけで構成されるシンプルなかき氷だからこそ、そのおいしさと口溶けの良さがいっそう際立つように感じられる。最後に器の底に現れる桜の葉の塩漬けは、かき氷の〆のような役割で僕は最後に口直しのように美味しくいただいている。

「桜」の他に「桜ミルク」もあり、ミルク好きならこちらのシロップがお薦め。それぞれのシロップに酒粕や白小豆をトッピングする事も出来、バラエティ豊かなメニューが揃っている。今回選んだ「桜ミルクにレモンクリーム」では、濃厚な生クリームに生レモンと和三盆で作られたレモンクリームの口溶けの良さに驚かされた。桜とレモンの味が喧嘩しないように、敢えてトッピングのようにレモンクリームを添えているところが素晴らしい。
小池隆介

小池隆介

かき氷のフードイベント『かき氷コレクション』実行委員会代表。かき氷専門ガイド本『かきごおりすと』の編集・発行者。一般社団法人日本かき氷協会代表。日本中のかき氷を食べ歩いて取材し、日本古来の食文化で伝統食でもあるかき氷を広く伝える為に活動。かき氷にとどまらず、氷雪業(氷の卸しや販売、製造)全体にも精通している。

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