棚田がつづく美しい里山に、マイクロ・ブルワリー「RISE&WIN」が誕生!

2015.11.18

徳島県勝浦郡上勝(かみかつ)町。「葉っぱビジネス」で一躍全国にその名が知られた山間の小さな町に、マイクロ・ブルワリーが誕生しました。徳島産の豚や鶏、ジビエ肉など、地元食材をたっぷり盛り込んだ本格BBQ料理とともに、できたてのクラフトビールが味わえるとあって、注目を集めています。

日本で初めて“ゼロ・ウェイスト宣言”をおこなった町

「葉っぱビジネス」で一躍有名になった徳島県上勝町は、平成15年、日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を行いました。平成32年までに焼却・埋め立てゴミをなくすという、全国に先駆けた試みを行っています。

ゼロ・ウェイストとは、ゴミをどうやって処分するかではなく、そもそもゴミを出さないという考え方。ゴミの出ない工夫をしている商品やリサイクルできる商品を選び、出たゴミは資源化できるものと資源化できないものに分別する。「リサイクル」「リデュース」「リユース」の3Rを10年以上前から行ってきました。ゴミ焼却所をもたずに再資源化を8割達成!全国はもちろん、海外からも視察者が訪れるなど、注目を集めている地域です。
ゴミステーション
▲上勝中のゴミが集まる「ゴミステーション」。資源化できるものを素材ごとに分けており、その分別数はなんと34!10年以上前からこの試みをしていたなんて驚きです

そんな上勝町に2015年5月30日(ゴミゼロの日)に誕生したのが、マイクロ・ブルワリー「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store(ライズアンドウィン ブルーイングカンパニー バーベキュー アンド ジェネラルストア/以下RISE&WINと略)」です。

このブルワリーの前身は「上勝百貨店」という量り売りの店。パスタや調味料、シャンプー類などを、持参した容器に入れてくれるという「ゴミを出さない売り方」をする、上勝町の活動を表すような店でした。そんな上勝町の取り組みに感銘を受けた各界のクリエイターたちが、「より多くの人に上勝を訪れてもらうために…」と力を合わせてつくったのが「RISE & WIN」です。

ALL上勝メイドなブルワリー

ブルワリー外観
徳島市街から車で約45分。山間の道沿いに佇むえんじ色の建物が「RISE & WIN」です。ブルワリー、クラフトビールのテイスティング・スタンド、バーベキューガーデン、ジェネラルストア(旧:上勝百貨店)の4つの要素からなっています。

木の温かみを感じる店内は、童話に出てきそうなオシャレな雰囲気。店の中央で抜群の存在感を放つシャンデリアは、先述のゴミステーションから譲ってもらったガラス瓶やコップを再利用したもの。独創的な形の棚や机も廃材から作られているそうです。

処分を待っていた廃材が、クリエイターたちの手によってこんなにオシャレに生まれ変わるなんて!
ジェネラルストアでは、「上勝百貨店」の頃と同じく、量り売りもしています。徳島産のお米や上勝産の柑橘を乾燥させたドライフルーツ、ビールのお供にぴったりのナッツ類などが、大小さまざまな瓶に詰められ、ずらりと並んでいました。
▲持参した容器にほしい分だけ量り売りしてくれる「ジェネラルストア」。容器がない人のために瓶も販売してくれます

しかし、今日の目的はクラフトビール!できたてをいただける奥のテイスティング・スタンドへ。最初にいただいたのは「KAMIKATZ LEUVEN WHITE」(1pint 税別850円)。ベルギースタイルのホワイトビール(小麦を多く使用したビール)をベースにしたオリジナルビールです。上勝産の柑橘・柚香(ゆこう)をフレーバーに使用しています。
柚香は柚子の仲間で、上勝では果汁を搾って、果実酢やポン酢の原料にしていますが、搾り終わった皮は廃棄物対象。ここではその皮をフレーバー用のピールにして活用しているそう。

ほんのりと柚香のさわやかな風味が感じられて、とっても飲みやすい!フルーティーな飲み口で、ビールが苦手な人もこれなら飲めるのではないでしょうか。こちらもゴミをださないという観点から、量り売り用のリターナブルボトル(有料)も用意してくれています。

テイスティング・スタンドにはビールにぴったりの一品料理もありますが、せっかくここまで来たならば味わっておきたいのがバーベキュー。上勝の大自然を眺めながら、アメリカンスタイルの本格バーベキューと、できたてクラフトビールをいただく…。なんて贅沢! しかし、訪れたのは秋。外でバーベキューにはちょっと寒すぎます…。
▲春~晩夏はガーデンで仲間とわいわいバーベキューを楽しみたい。バーベキューセットは1名4,000円(税別)※要予約、4名から

そんなとき、「バーベキューができない時季も楽しんでもらえるよう、ちょうど冬用のコースができたところなんです。食べて行かれますか?」と天使の声が(笑)。ぜひともいただきます!

食事の準備ができるまで、隣接するブルワリーを見学させてもらいました。そもそもクラフトビールとは、小規模なビール醸造所でビール職人がつくるビールのこと。「RISE&WIN」のブルワリーも年間生産量が約10キロリットルと小規模です。このようなブルワリーは“マイクロ・ブルワリー”と呼ばれ、それぞれ個性豊かなビールづくりに取り組んでいます。
「クラフトビールは、その多様性も大きな魅力なんですよ。実はビールのスタイルは100種類以上あり、日本の大手ビールメーカーがつくっているのは、そのなかの数種類のみ。ここではホワイトビールとペールエール(ベルギーやイギリスで定番の上面醗酵のビール。フルーティーな香りが特徴)の2種を製造していますが、2015年の冬はコーヒースパイスを加えたポータースタウト(黒ビール)、2016年にはIPA(ペールエールの仲間でホップの風味が強く、苦みのあるビール)の販売を開始する予定です」

今から楽しみですね。

蝋燭の灯りのなかでいただくディナー

夕闇が迫る頃、冬季限定のコース料理が完成しました。赤々と燃える薪ストーブ、テーブルをあたたかな光で包むのは、ビールの原材料であるホップを配合したオリジナルキャンドルです。
ボリューミーな「BBQポークリブ」は2種のソースをつけて。ビールはスパイシーなペールエール「KAMIKATZ PALE ALE」を合わせました。甘みのあるお肉との相性抜群です。
▲「ファイヤープレイスディナー」(税別5,000円) ※3日前までに要予約、4名より

「上勝しいたけと野菜の旨味グリル」「チキンシーザーサラダ」には県内産の新鮮野菜がたっぷり。オープン当初からの人気メニュー「鹿肉ソーセージのグリル」は、お肉のうまみがギュッとつまっています。

そしてデザートは、麦芽粕を使ったスコーンとバニラアイス。ペールエールとメープルシロップのさわやかなソースがかかっています。
まさに上勝フルコース!素晴らしい料理の数々に思わずお酒もすすみ、仲間との会話も弾みました。

上勝町の目指す「ゼロ・ウェイスト」をベースに、“上勝をより楽しんでもらうための場所”として誕生した「RISE&WIN」。夏はガーデンでバーベキューを、冬は店内でテーブルを囲んで、クラフトビール片手に美味しい輪が広がっていきそうです。
伊藤秀美

伊藤秀美

愛媛生まれ、愛媛育ちの編集者。地元の出版社でタウン情報誌、女性誌の編集を経て、旅雑誌「四国旅マガジンGajA」の編集長に。食べること・飲むこと・自然の中で遊ぶことが大好きで、不便さや田舎っぷりもひっくるめて四国を愛している。リサーチ(仕事)と称し、年中、四国中をふらふらしている。

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