贅沢な卵かけごはん!? 宇和島鯛めしは噂どおりの旨さでした

2015.12.25

鯛めしといえば、鯛を出汁や調味料、お米とともに炊き込んだものを想像しますが、愛媛県宇和島市の鯛めしは一風変わっています。新鮮な鯛を三枚におろして薄く切り、醤油、みりん、生卵、ごま、出汁にからめ、タレごと熱いご飯にかけていただくというもの。生の鯛を使った、全国的にも珍しい食べ方です。

「宇和島鯛めし」は、日振島(ひぶりじま)を根拠地にしていた水軍が考えたといわれる、いわゆる漁師めし。舟の上で刺身と茶碗酒で酒盛りをした後、その酒の残った茶碗にご飯をよそい、醤油を含ませた刺身をのせ、混ぜ合わせて食べたのが始まりとされています。

この鯛めしは、宇和島の郷土料理として市内の飲食店の多くで味わえます。が、私のおすすめは新町にある「お食事処 ほづみ亭」さん。その日水揚げされた海鮮をつかった料理で評判の食事処です。
▲写真右手にかかっているのが穂積(ほづみ)橋。夜はガス灯が灯って、昼とはまた違った風情のある雰囲気に

辰野川にかかる穂積橋を渡って店へ。この橋の名は宇和島出身で日本初の法学博士であった穂積陳重(のぶしげ)に由来しているそうで、店名もそこから名付けられました。緑色の暖簾をくぐると、「いらっしゃいませ!」と威勢の良い声に迎えられました。
カウンターの向こう側には、きびきびと動く料理人さんたち。ダシの良い香りが鼻をくすぐります。訪れたのはちょうどお昼どき。お腹をグーグー鳴らしながら、目的の「宇和島鯛めし」ができあがるのを待ちます。

ほづみ亭で使用しているのは、宇和海の養殖鯛。「“養殖”と聞くと“天然”より味が落ちるとお思いになる方が多いですが、宇和海の養殖鯛は別格ですね。プランクトンなどの栄養豊富な魚が良く育つエリアで養殖されていますから。刺身でいただくなら天然ものより養殖の方が美味しいという声もあるくらいなんですよ。もちもちとした食感で旨みが濃いのが特徴です」と話してくれたのは、料理長の宮本さん。
いけすの中には鯛の他にも、宇和海でとれた魚介が多数。「宇和海の魚介は、大小問わず身が締まっているのが特徴ですね。10月~12月初旬は深浦港であがるカツオが絶品ですよ」と料理長。「おお、次回はそれを食べにこなくては!」

いけすでビチビチとしぶきをあげる鯛を網ですくいあげたかと思ったら、鮮やかな包丁さばきで瞬く間に三枚におろしていきます。ほんのり桜色に染まった鯛は、何ともおいしそう…。
少し薄めに切った鯛の刺身とワカメを椀に盛り、かつお節と昆布ダシ、酒、みりん、醤油でつくったタレをかけ、黄身の濃厚な赤卵を割り入れたら完成です。
▲「宇和島鯛めし」(税込950円)。ランチタイムは日替わりの小鉢が付いてお得です

そして、それらの具材をかけるご飯にもこだわりが。古くから良い米がとれる地として知られている宇和島市三間(みま)地区で育てられた「三間米」なんです。もちもちとした食感で、噛めば噛むほど甘みが広がり、鯛めしとの相性が抜群です。
そして待ちに待った実食!碗の中身を箸でさっとかき回し、ほかほかのご飯にのせていただきます。プリプリの鯛の身にほど良く卵とタレがからみ、“口福”なハーモニーを奏でます。

「あぁ、生きててよかった…」ご飯の上でほんのりと熱が入った鯛の旨いこと!ワカメのとろりとした食感がまた良いですね!タレにも鯛の旨みが溶け込んでいて、ご飯が何杯でもいけます。
茶碗3杯分はあったおひつのご飯が、一気に空になってしまったことは言うまでもありません。卵かけごはんのようにするすると胃袋におさまるので、宴会の〆に頼む人が多いというのも納得です。海辺の町が生んだ贅沢な漁師めし「宇和島鯛めし」、ぜひ一度味わってみてください。
伊藤秀美

伊藤秀美

愛媛生まれ、愛媛育ちの編集者。地元の出版社でタウン情報誌、女性誌の編集を経て、旅雑誌「四国旅マガジンGajA」の編集長に。食べること・飲むこと・自然の中で遊ぶことが大好きで、不便さや田舎っぷりもひっくるめて四国を愛している。リサーチ(仕事)と称し、年中、四国中をふらふらしている。

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