標高2,300mの北八ヶ岳であったかランチ付きスノーシューツアーを体験!

2016.02.15

長野県の南信地方に広がる八ヶ岳連峰北部の「北八ヶ岳」。このエリアは、長野県としては比較的降雪量が控えめで、晴天率が高く、サラサラの極上パウダースノーが積もることで知られています。また、厳冬期には山頂付近に樹氷が現れる景観美も有名です。北八ヶ岳で体験する「アルプスぼうけん組楽部」のスノーシューツアーのお楽しみは、自分たちで作る雪のテーブルでいただくランチ。心地よい疲労感に染み渡るあたたかい食事は最高の贅沢です。

▲お腹の底からあたたまって自然と笑顔に

ツアーでめぐるのは北八ヶ岳の一部である、北横岳や縞枯山(しまがれやま)の山麓エリア。夏は避暑地、冬はスノーアクティビティが盛んな蓼科高原に属し、「ピラタス蓼科スノーリゾート」内の100人乗りの大型ロープウェイで、標高1,771mの山麓駅から、標高2,237mの山頂駅まで上がれます。約7分間の空中散歩を楽しみながら、ひと息にとても高いところまで上がれてしまうのです。
▲山頂駅でスキー場のコースと分かれ、北横岳の山腹に入ります

山頂駅からの展望はすばらしく、見渡せば“日本の屋根”とも称される、日本アルプス(北アルプス、中央アルプス、南アルプス)の絶景が広がっています。駅舎の間近には北横岳が迫り、南には丸みを帯びた縞枯山や茶臼山(ちゃうすやま)が広がっています。

「アルプスぼうけん組楽部」のスノーシューツアーでは、縞枯山の裾を巻いて「五辻」という展望地に向かうルートや、雪に覆われた「雨池」を目指すルートがあります。どちらもアップダウンが少なく、スノーシュー初心者でものんびり楽しめますが、今回は、「雨池」に向かうことになりました。
▲山頂駅の目の前には、数百年前に噴火した火山の溶岩がごろごろと転がる「坪庭」という自然園。こちらも散策することができるそう

まずはスノーシューの履き方をレクチャー

本ツアーの案内人はガイドの平澤正義さん。歩き出す前に、スノーシューの仕組みや履き方を説明してくれるので初めての人でも安心です。平澤さんはラフティングなどのウォータースポーツのガイドも務める、アクティビティのエキスパートです。
▲「スノーシューは本体からこのようにカカトが浮きます」と、履く前にていねいに説明してくれます
スノーシューやポールは「アルプスぼうけん組楽部」で用意してくれます。このモデルはカカトを高くして傾斜を登りやすくする「ヒールリフト」機能や、カカトが固定できる機能が付いています。また、裏にはクランポンと呼ばれる爪があり、滑り止めの役割をします。
▲慣れてしまえば装着は簡単!ポールを持つとバランスがとりやすく、スムーズに歩けます

さっそく雪の森にゴー!

スノーシューを履くと浮力が生まれ、雪に足が埋まらず楽々と歩けるように。フカフカの雪の上を歩く感覚がとっても楽しい!冬の山は登山道や低木が雪に埋もれて、普段歩けない場所も散策できるようになります。積雪の分、視線が高くなって景色も違った印象になるのです。
▲「サクサク」と気持ちよい音をたて、雪に足跡を残しながら森に出発!
▲ここは普段、笹が茂っている場所だとか。冬はふかふかの雪に覆われた楽しい散策ポイントです

シラビソの原生林が広がる北八ヶ岳周辺は、針葉樹林が帯状に立ち枯れて、遠くから見ると山の斜面が横縞になる「縞枯れ現象」が見られます。「とくに顕著なのが、ロープウェイ山頂駅から見えた縞枯山。立ち枯れの木が横に何層も並び、山がハッキリとした縞模様に見えるんです」と、平澤さん。

立ち枯れた木の下は日差しが届くようになり、新しい若木が育ち、今度は茂っていた場所が枯れ、100年単位で縞模様が変化していくそうです。「でも、縞枯れ現象の詳しい仕組みは、未だ完全には解明されていないんですよ」。平澤さんの話を聞きながら散策すると、歩いている山の自然がグッと身近に感じられます。
▲正面の雨池山にも少しだけ縞枯れ現象が見える。だた、真冬は山が雪に覆われてまっ白になり、「縞枯れ現象」は見えにくくなるのだとか。
▲途中で見つけたカモシカの足跡。「ここ数日、雪は降ってないのでこれは数日前に通ったものでしょう」と、平澤さん

雨池までのルートは夏季に使われる登山道に沿ったもの。だから、歩きやすく道もわかりやすいのです。しばらく森を抜けると視界がひらけ、山小屋の「縞枯山荘」に到着。宿泊や食事ができますが、冬季は不定期営業で、この日は営業していませんでした。山小屋が建つのは八丁平という広い平地で、さらに雪が積もると、このあたりは雪原に様変わりするのだとか。目的の雨池はさらに森の奥。
▲山小屋付近は開放的で、すっきりと晴れた青空が清々しい

スノーシューはビギナーでも気軽に雪と触れ合える楽しいアクティビティ。歩いていると体が温まり、雪上でも寒さを感じません。でも、冬の山ですから、防水・防寒性の効いたウエアやグローブ、帽子で身を包み、しっかり体を保護して臨みます。

日差しが雪に反射したり、冷たい風が顔に吹き付けたりするので、フェイスマスクやネックウォーマーもあると便利。実際に体験して初めて「次はこれを持ってこよう」と、あると便利なものに気づけます。

凍結した池は散策できる大雪原に

途中で休憩をはさみながら1時間半ほど歩いて雨池に到着。シラビソやダケカンバの原生林にぽっかりと浮かぶ神秘的な池は、厳冬期は凍結したまっ白な雪原に。氷上をのんびりと散策することができます。
▲すっかり雪に覆われている雨池
▲池のうえでゴロゴロできるのも、冬ならでは。見上げると視界いっぱいに青空が広がって気分爽快!
▲雪をハート型にくり抜いてみました
▲豪快な足跡を残しながら歩くのも一興

この日は完全凍結の少し手前で、歩くとズボズボと足が埋まる場所も。冬は水量が少なくすぐ下が池底なので、踏み抜いて水に落ちる心配はありません。穴をのぞくと、氷の裏に霜柱が並んだような不思議な状態。この霜柱が透明で、日差しにキラキラ光るのがとてもきれいです。
▲足跡をのぞくと「逆霜柱」の不思議な状態が
▲小さな氷の柱がびっしり並び、まるで氷のブラシのよう
▲「チョビヒゲ」とか「出っ歯」とか、霜柱もここでは楽しい遊び道具

お楽しみのランチタイム

今回体験したスノーシューツアーはランチ付き。平澤さんが持参したスコップで雪を掘り、池の上にテーブルを作ります。四角く雪を盛って固めたら、あとは周りを掘り下げればテーブルとイスが完成。

ランチは「とん汁うどん」。あらかじめ下準備した具を鍋で温めるだけなので、あっという間に出来上がります。湯を沸かしてお茶も飲めるので、体がぽかぽかに温まります。
▲みんなで協力しながら雪のテーブル作り
▲具だくさんのとん汁。まずはこれだけでいただきます
▲雪上であったか料理が食べられるなんて幸せ!
▲少し具が減ったところでうどんを追加。とっても食べ応えがあります

平澤さんによると、「風が強い日は簡易テントを建ててその中でランチをします」とのこと。天候に恵まれた今回は、青空の下で爽やかにランチを楽しめました。自然に囲まれた開放的な場所で味わうと、おいしさも倍増。心も体も癒やされます。

食事が済んだらデザートに焼きマシュマロを作ります。熱々のマシュマロをチョコにのせ、クラッカーに挟んでパクリ。のんびり楽しむランチは至極の時間です。
▲マシュマロの焼き加減は自分の采配次第
▲焼き立てのマシュマロをのせるとチョコが溶け、トロ~リとした食感に

絶景が待つ「五辻」ルートも

「アルプスぼうけん組楽部」のスノーシューツアーでは、「五辻」を目指すルートも希望することができます。ロープウェイ山頂駅から南に進み、縞枯山を間近に望みながらのんびり歩き、樹氷の深い森を抜けた先の開けた雪原がゴールの五辻。ここは展望抜群で、日本アルプスの絶景を見渡しながらのんびりランチが楽しめます。

五辻、雨池どちらを目指しても、ツアー時間は休憩やランチタイム込みで4時間ほど。ロケーション抜群の北横岳のスノーシューツアーは思い出に残るいい体験になることまちがいなしです。
▲五辻に向かうルートは雪に覆われた深い森を抜ける
▲目的地の五辻は開放的な展望地。左奥に見える遠くの山並みは南アルプス
▲どちらのルートもロープウェイ山頂駅に戻って下山

北八ヶ岳の雪はサラサラに乾いたパウダースノー。ふかふかの雪を歩くのはとても気持ちがよいものです。木々が生い茂る雪の森の散策は、ちょっとした探検気分が味わえます。その先に出会うすばらしい景色の中で、自分で雪のテーブルを作り、あたたかいランチを楽しむ時間はとても贅沢なひととき。ツアーを終えると、お腹も心も満たされた気分になりました。
栗山ちほ

栗山ちほ

フリーライター&エディター。編集プロダクションや出版社勤務を経て独立。アウトドアとスノースポーツを得意とし、夏は登山、冬はスキーやスノーボードに親しみ、ルポやアイテム紹介などの記事や編集を担当。カルチャー誌や料理雑誌、インタビューなど幅広いジャンルのライティングを手がけている。

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