斑尾高原・希望湖を目指して、銀世界の森を散策!

2016.02.15

「うさぎ追いしかの山 小鮒釣りしかの川」――。子どものころに聴き親しんだ唱歌「ふるさと」。その歌中で“かの山”として唄われるこの山、じつは長野県飯山市の斑尾山を指していることをご存じでしょうか。今回の体験ツアーの舞台となるのは、この斑尾山。そのふもとの斑尾高原で、希望湖(のぞみこ)を目指しながら森を散策するスノーシューを約4時間かけてたっぷり堪能してきました。

目と耳が喜ぶ天然の造形物、そして天然のBGMとは?

標高1,382m、北信五岳のひとつに数えられる斑尾山のふもとに広がる斑尾高原。ブナやミズナラなどの落葉広葉樹が芽吹く春、新緑の初夏、紅葉の秋を経て、一帯を銀世界に変える冬、と四季がはっきりしていることで知られます。そして、季節ごとにトレッキングや森林セラピー、ツリーイング(木登り)、そして今回のスノーシューのように多彩なアクティビティを通じて、訪れる人を楽しませてくれます。

今回斑尾高原を案内してくださったのは、ガイド派遣も行う斑尾高原観光協会事務局「まだらお高原 山の家」の西川遼馬さん。生まれも育ちも飯山市という、生粋の飯山っ子です。
▲「葉っぱの話でお酒が飲めるくらい葉っぱが好き」というガイドの西川さん
ツアーは「まだらお高原 山の家」を起点に、西川さんの運転のもとスタート地点まで移動します。
▲アキレス腱もよく伸ばしましょう
スノーシューを装着し、準備運動をしっかりこなしたら、希望湖を目指していざ出発!フカフカの新雪に足跡をつける贅沢を噛みしめながら、西川さんの後ろについていきます。雪を踏むときに出る「ギュッギュッ」「ズズズッ」という“鳴き雪”が天然のBGMとなり、気分を盛り立ててくれます。
▲「斑尾の雪はパウダー状で、スノーシューに向いているんですよ」
まず初めに見つけたのは、日本海側から吹きつける強風により波状となった雪の風紋や、積もった雪の上にひさしのように張り出した雪庇(せっぴ)など、自然が生み出した見事な造形物。
▲雪庇。触れるとほろほろとはかなく崩れていきます

春を待ちわびる冬芽たち

「これはヤマブドウの芽で、地元の人は天ぷらにして食べます。少し酸味があって大人の味です」「この一帯にあるのは、爪楊枝の材料にもなるクロモジです。葉を揉むとスパイシーな香りがしますよ」
▲知識豊富な西川さん。ユーモアたっぷりに説明してくれます
山野草や湿原植物の宝庫である斑尾高原。トレッキングというと春や夏のイメージがありましたが、春に向けて多くの落葉樹が冬芽を準備するこの季節ならではの雪山トレッキングという楽しみ方もあるのですね。
▲春には春の、冬には冬の植物観察
▲リスやクマの大好物だというブナの実。中身はほとんど食べられているようでした
続いてやってきたのは、これまでより少し高いところにある雪原。目の前に広がる幻想的な銀世界に、純粋な感動を覚えるとともにちょっぴり心細さや自然に対する畏怖の念も沸きあがります。
ええい、今は雪を楽しもう、と思いきり背面からドスッと倒れ込んでみると、あら不思議。これがなんとも心地いいのです。横ざまに吹きつける雪もなんのその、しばし時間を忘れて雪原のベッドとの一体感に浸りました。
▲こうしているだけで心が洗われるような気持ちに
普段なら何の変哲もない斜面も、このシーズンはあそび場と化します。童心に返り、思いきり駆け下りましょう!
▲太ももを左右交互に素早く上げるのがコツ

湖の上を歩く?目玉スポットへ

そして、いよいよお目当ての希望湖へ。
夏は、斑尾山を湖面に映すほど高い透明度を誇る希望湖。冬は周囲約2.5kmの湖一面が凍結し、思わず息を呑むほど神秘的な美しさを宿します。ここでのお楽しみは、なんといっても湖上遊び。あいにくこの日は氷が完全に張っていなかったため、のぞきこむだけにとどまりましたが、例年は1月中旬ごろから湖上を駆け回ったり寝転んだり、思いきり遊べるそう。この時期にしかできない、贅沢な遊びをとくと楽しみましょう。
▲白、白、白……とひたすら雪に染まった世界
▲完全に凍ってないときは近寄り過ぎに注意です
希望湖をあとにした私たち。雪を遮ってくれる森の中へ移動してきました。ここで、西川さんが淹れてくれた紅茶を飲みながら、自然の中でしばしのティータイムです。「雪は音を吸収してくれるんです」。西川さんの言葉どおり、雪や風がシャットアウトされた森の中では、仕事や時間、すべての概念から切り離され、ときおりファサッと雪のかたまりが落ちる以外は自分たちの呼吸音しか聞こえない静謐な空間が広がります。
温かい紅茶で身体がポカポカしてきたところで、今回のスノーシュー体験は終了。積雪状況や経験値によりトレイルコースは変わるため、シーズンごとに新たな発見ができるのもポイントです。土地を知り尽くした経験豊富なガイドさんによる案内のもと、目で見て、肌で感じ、冬ならではの斑尾高原の魅力を堪能した4時間でした。
井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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