日本最大規模の工場夜景、「川崎の工場群」を船から眺める

2016.02.08

日本には「5大工場夜景」というものが存在するという。その筆頭に挙げられるのが神奈川県川崎市の工場群だ。東京のクルーズ会社「ジール」では、羽田空港と川崎の工場群を結ぶクルーズを航行している。乗ってみると、たしかにこれは萌える……!

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▲クルーズ船から川崎の工場群の夜景を眺める

川崎の工場群の夜景を眺めるクルーズがひそかに人気を集めていると聞いて、さっそく乗ってみた。この日は羽田空港のジャンボ機の離発着も間近で見学できる「夕暮れの羽田空港新滑走路・川崎工場夜景クルーズ」(税込6,800円)コースに参加。
東京モノレールの天王洲アイル駅から徒歩5分、新東海橋のたもとにある「天王洲ヤマツピア」という桟橋から出発する。
運行しているのは、「ジール」というクルーズの専門会社で、工場夜景のほかにも神田川と隅田川をつなぐコースや、スカイツリーを船で見に行くコースなどを展開している。
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▲天王洲ヤマツピア

この日の乗船客は、中年男性4人、女性3人組、女性2人組、私の計10名。平日の15時半出航ということもあってか、やや少なめ。船長の加山智一さんによれば、定員20名が満員になることもあるのだとか。
「今日は京浜運河を通って海に出て、まずは夕暮れの羽田空港を眺めます。そのあと川崎の工場群の夜景をじっくり見学。帰りは東京港の大井コンテナふ頭の夜景を見ます」
と加山船長がコースと見どころを説明してくれた。
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▲乗船したクルーズ船「チップ」

モノレールを見ながら京浜運河を南下。
羽田空港滑走路沿いのビューポイントへ

出航してしばらくは東京モノレールに沿って京浜運河を南下する。
「今通ったモノレールは1000系の車両ですね。2014年から導入されている新しい10000系を見られるとラッキーなんですけどね……」
男性陣はすでに船首に陣取って一眼レフカメラを構えている。女性陣は買ってきた弁当を広げて(持ち込みOKなのだ)加山船長のマニアックな解説を聞いている。
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▲ジールのスタッフさんと東京モノレールの1000系車両

右に大井競馬場を、左に大田市場を見てしばらく行くと、船は左に進路を変えて城南島の南を抜けていく。東京湾に出ると、右に羽田空港が見えてきた。時刻は16時過ぎ。
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▲大田市場の花のモニュメント。大田市場は野菜と花の市場だ

船は羽田空港の岸壁と平行するように南東へ進んでいく。岸壁まで約500メートルくらいしかなく、岸壁に沿ったC滑走路に飛行機が着陸するのがよく見える。望遠ズーム(16‐50mmのレンズ)で撮影するが、意外と大きく映らなくてもどかしい(飛行機を大きく撮りたい人は、もっとズームのできるカメラを持参することをおすすめします)。
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▲羽田空港のC滑走路。中央に見える2つの塔は右が旧管制塔、左が新管制塔
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▲ときどきスマホで現在地を確認しながら進んだ。滑走路とこんなに近い!

ボーイングとエアバスの見分け方とは

「よく見ててください。後部のライトがチカッ……チカッ……チカッ……と1回ずつ光るのがボーイング社の飛行機。チカッチカッ……チカッチカッ……チカッチカッ……と2回ずつ光るのがエアバス社の飛行機です」と加山船長が教えてくれた。
たしかにいくつか飛行機を観察してみたが、光り方はこのどちらかだった。飛行機ひとつをとってもいろいろな見方があるものだ。
飛行機はときどき爆音をとどろかせて頭上を飛んでいく。飛行機に近いということは視界から消えるのもはやいということなので、常にカメラを構えていないとシャッターチャンスを逃してしまう。
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▲離陸した航空機を画面のぎりぎりでとらえた。これはボーイング社か……

やがて船は新滑走路(D滑走路)の南側にまわって、D滑走路に沿って南西に進んでいく。ここまでくると急に波が高くなって、歩くときは手すりにつかまらなければならないほど船がゆれる。船に弱い人は酔い止めの薬を事前に飲んでおいたほうがよさそうだ。靴もすべりにくいゴム底の靴のほうがよい。
D滑走路は、羽田空港の発着本数の増強のために建設され、2010年から運用されている。
向かって右側は埋立工法だが、左側の多摩川の河口に当たる部分は桟橋工法で造られている。これは多摩川の流れがぶつからないようにするためだそうだが、海上から見るとその構造の違いがよくわかっておもしろい。
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▲D滑走路の埋立工法の部分。桟橋工法の部分は遠くてうまく撮影できなかった…

火を噴き上げる煙突ときらびやかな製油所

多摩川の河口を過ぎて船は右折し、ライトのきらめく大師運河へと入っていく。ここからがいわゆる川崎の工場群だ。時刻は16時50分。
右に巨大タンクと煙突が並ぶ。東燃ゼネラルの製油所だ。煙突からは炎が噴き出している。
「ファンの間では、ここ川崎市のほか、室蘭市(北海道)、四日市市(三重県)、周南市(山口県)、北九州市(福岡県)が日本5大工場夜景と称されていますが、やはり、明かりのきらびやかさで川崎がいちばん人気のようです」と加山船長。
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▲火を噴く東燃ゼネラルの煙突
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▲煙突から燃え上がる炎
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▲大師運河から左を見る。こちらは東京電力川崎火力発電所

船は180度旋回して、こんどは1本西側の塩浜運河へ入っていく。すると、左にひときわ明かりのきれいな建造物が見えてくる。東亜石油の製油所だ。川崎工場見学の掉尾(ちょうび)を飾るにふさわしい美しさ。女性陣もここぞとばかりに写真を撮っている。工場の明かりはもちろん見学者のためにつけているわけではなく、操業中の保守点検のためにつけられているという。
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▲塩浜運河に浮かぶ大型タンカー
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▲東亜石油の製油所に近づく
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▲白とオレンジのあかりの絶妙なコンビネーション。正面から見上げるとその迫力に圧倒される

大井ふ頭のクレーンに度肝を抜かれる

帰りは羽田空港を過ぎたあと京浜運河に入らず、レインボーブリッジと隅田川河口のほうへ直進して東京港へ入っていく。東京港の中心となるのが左に見える大井ふ頭だ。
ふ頭には「NYK」(日本郵船)や「MOL」(商船三井)の巨大な船が横づけされている。ふ頭のクレーンは船に積まれたコンテナを軽々と積み下ろしていく。積み下ろしの音までは聞こえてこないが、1時間に約40個というスピードで粛々(しゅくしゅく)と作業が進められる様子はかえって迫力がある。
コンテナは小さく見えるが、大きいものは観光バスと同じくらいの大きさと聞いて驚いた。
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▲大井ふ頭のクレーン群
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▲コンテナを運ぶクレーン
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▲ふ頭の先に見えるレインボーブリッジ

レインボーブリッジの手前を左に入って、出発地点の天王洲ヤマツピアに戻ったのは19時。寒さを忘れてシャッターを押しまくった3時間半だった。
大塚真

大塚真

編集者・ライター。出版社兼編集プロダクションの株式会社デコに所属。最近編集した本は、服部文祥著『サバイバル登山入門』、松崎康弘著『ポジティブ・レフェリング』(ともにデコ)ほか。ライターとしては『TURNS』(第一プログレス)、『BE-PAL』(小学館)などで執筆。

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