松江の名店「川京」で「宍道湖七珍」を食す!
宍道湖(しんじこ)は島根県東北部に位置する、全国で7番目に大きな湖です。海水と淡水が混ざり合う汽水湖で、季節ごとに海水の混じり方が異なり、多様な生態系を生み出します。地元松江では、宍道湖で獲れる特徴的な魚介類を「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」と親しみを込めて呼び、多くの人に食べられています。

宍道湖を代表する七つの味覚「宍道湖七珍」

中でも宍道湖のシジミは漁獲量全国一位を誇ります。島根県人にとって「シジミ汁」は食卓に頻繁に登場する家庭の味です。大粒の宍道湖産シジミは「大和(やまと)シジミ」としてブランド化されており、ぷりぷりの身を味わうことができます。
シジミの他にも豊富な魚介類が獲れますが、宍道湖を代表する七つの味覚、スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ、シラウオ、コイ、シジミを「宍道湖七珍」といいます。地元の人は頭の文字をとって「スモウアシコシ」と覚えます。これを知っていれば島根ツウ!
宍道湖七珍の創作和食が楽しめるお店「川京」

松江城から徒歩8分、老舗の和菓子屋や旅館などが点在するエリアに店を構えて46年目の「川京」。地元の常連さんに親しまれていそうな雰囲気が、外観からも漂います。

「川京」の名物は「宍道湖七珍」料理。季節によって食べられる品目が違いますが、一年を通して提供しているので「郷土料理が楽しめる」店として観光客にも人気です。
店に入ると、威勢の良い声でご主人と女将さんが迎えてくれました。カウンター15席のみの昔ながらの雰囲気。この日は開店時間から予約客で「本日の受付終了」の看板が出ていました。

「おまかせ郷土料理コース」で宍道湖七珍をじっくり堪能
つきだしで山陰名物「板わかめ」の炙りが出てきました。(枝豆・ホタルイカの干物付き)山陰出身者には懐かしの味です。

そして次に出てきたのがこちら。身がたっぷりの松葉ガニと、アワビのような食感が特徴的な赤バイ貝です。こんな大きなバイ貝は生まれて初めてで感動しました。

お次はいよいよ「宍道湖七珍」のひとつ、ウナギ料理。「川京」のご主人が開店当初に考案した創作料理「鰻のタタキ」です。白焼きにしたウナギを細かくたたき、ニンニク、生姜、トンブリなどの薬味で秘伝の味付けをした逸品。ウナギの旨みとマッチして箸が止まらなくなる美味しさで日本酒にも良く合います!これを目的に店を訪れるファンが全国にいるのだとか。

「宍道湖七珍」2品目は「おたすけシジミ」。ぷりぷりのシジミにとろみのある出汁がかかった、五臓六腑に染み渡る優しい味。品名の「おたすけ」とは、シジミに含まれるオルニチンが肝臓を助けることから来ているとか。出汁は最後の雑炊のために取っておきます。

次に日本海で獲れた旬の魚、サザエなどのお刺身がやってきます。日本海と宍道湖、両方の味覚を堪能できるなんて贅沢です。

島根の地酒や、宍道湖にちなんだカクテルも一緒に楽しむ

一方、お酒が飲めない方にはこちらがオススメ。「宍道湖の夕日カクテル(税抜500円)」。宍道湖の夕日のような淡いオレンジ色のノンアルコールカクテルです。

松江藩士が愛した粋な逸品「すずきの奉書焼き」

ここで「川京」の名物ともいえるご主人のパフォーマンスが始まりました!「すずきの奉書焼き」の誕生秘話を、拡声器を使ってお客さんに説明してくれます。

気になる「すずきの奉書焼き」の誕生秘話はこちら。
江戸時代、7代目の松江藩主・松平治郷(通称:不昧公)が宍道湖のほとりを通り掛かったところ、漁師たちがなにやら美味しそうなものを食べているではありませんか。
お殿様が「わしもそれを所望したい」と言うと、漁師は「いえいえ、これはたき火にすずきを投げ入れたもの。灰のついたままお殿様に差し上げるのは滅相もございません」と言う。そこでお殿様のお供の者が気を利かせて、さっと懐から奉書紙を取り出し、それですずきを包み、漁師たちがたき火で焼いて献上したのが「すずきの奉書焼き」のはじまりです。

奉書紙で包むことで、すずきのクセが取れてうま味が残るのだとか。身がふっくらしていて、感動のおいしさ。ぽん酢風味の自家製タレに、もみじおろしとネギたっぷりでいただきます。
宍道湖産すずきは市場に出回ることが少なく、ほとんど地元の人しか食べない正真正銘の郷土料理。すずきは「出世魚(しゅっせうお)」なので、地元では結婚式などお祝い事の席で縁起を担いで食べる文化があります。
アットホームな雰囲気の中、お客さん同士の会話もはずむ
そして「宍道湖七珍」4品目。いまの時期、「川京」でいただける七珍は4品なので、この日の最後は、高級魚でもある宍道湖産シラウオの天ぷら。シラウオの旬は2~4月と短いので、食べたい方はこの時期を狙ってください。

そしてシメの一品には、先に登場した「おたすけシジミ」の出汁を使った「シジミ雑炊」。ほっこりと温まって食事が終了しました。食べ終わった後も、女将さん自家製のお漬物でお茶を飲みながら、居合わせた他のお客さんとおしゃべりに花が咲き、気付いたら3時間半も経っていました!
馴染みの常連さんから、外国人観光客にまで幅広く愛され、親しまれている「川京」。予約をして、じっくりゆっくり松江の郷土料理を楽しんでみませんか。素敵な女将さんと、面白いご主人との触れ合いも心に残ります。

川京
島根県松江市末次本町65
[営業時間]18:00~22:30(入店は21:00まで)
[定休日]日曜
0852-22-1312

賣豆紀有加里
島根県在住のグラフィックデザイナー。島根県の観光情報サイト、フリーペーパーなどでライターも務める。山陰のおいしいもの・楽しいこと・素敵な場所を発掘するのが趣味。(編集/株式会社くらしさ)
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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