ごぼう・トマトの野菜系日本酒を味わいに、明治元年から続く能登の酒蔵「松波酒造」へ!

2016.04.20

石川県は奥能登の松波という町にある約140年の歴史を誇る酒蔵、その名も「松波酒造」。名物女将が発信する、能登の地酒に果実と野菜を漬け込んだ体に優しいリキュールは、おいしいだけでなく美容効果も期待できてしまう、女子には嬉しいお酒です。今回はそんなお酒を造っている酒蔵を訪ね、そのおいしさや味わい方を女将に伝授していただきました。

能登野菜のお酒、「沢野ごん坊」。ごぼうがお酒に!

「松波酒造」が手掛ける野菜のお酒は2種類。石川県七尾市沢野地区で約350年前から作られている伝統野菜“沢野ごぼう”を使った「沢野ごん坊」と、能登町のJA内浦町・深層水ファームが作った“能登海洋深層水トマト”を使った「松波とま登」です。

漬け込む日本酒は、「松波酒造」の代表的な地酒「大江山(おおえやま)」。能登杜氏(とうじ)の技が詰まったお酒で、すっきりとした辛口の味わいが特徴です。

さて、ごぼうがお酒に?と思う方も多いかと思います。ごぼうといえば、食物繊維が豊富で体にも美容にもいいと知られていますが、独特な匂いやアクの強さもあり料理に取り入れるのには工夫が必要な食材です。そんなごぼうを、まるでチョコレートを彷彿とさせるような、濃くて深い香りの味わいに仕上げているのが能登の日本酒リキュール「沢野ごん坊」です。
▲「沢野ごん坊」(アルコール10度)180ml・税込864円。使用されている“沢野ごぼう”は江戸幕府への献上品にもされていました。芳醇な香りが特徴

一口呑むだけで、きんぴらごぼうを食べた時のような和食の奥ゆかしい香りが口の中に広がります。ごぼうのままなのに、ごぼうの土臭さを見事に覆したリキュール。数ある野菜のお酒の中でもくせになる度合いはこの「沢野ごん坊」がトップだと思います。

そのままストレートで呑んでも味わい深いですが、女将が教えてくれた美味しい裏技メニューが「沢野ごん坊のアイスがけ」。バニラアイスにとろりと好きなだけかけて食べると、アイスの甘みにナッツのようなまろやかさが加わり、大人のデザートに様変わり。デザートタイムがおしゃれな一時になります。
▲「沢野ごん坊」はバニラアイスとの相性が抜群!

甘みと酸味のバランスが絶妙なトマト酒、「松波とま登」

トマトのお酒と聞いて思い浮かべるのはトマトジュースをお酒で割ったような味ではないでしょうか?色からしてもうっすらとしたロゼ色の「松波とま登」はそんなトマトのお酒のイメージから相当遠いかもしれません。

飲んだ瞬間は酸味のあるマスカットのような甘さ、そして後味にトマトが香るのが特徴のこのリキュールは、トマトの旨み成分を凝縮したような味です。この旨みは、昆布やしいたけの出汁の旨みと結びつく味わいで、和洋折衷の料理に合いそうなクセのない後味。
▲「松波とま登」(アルコール10度)180ml・税込648円は「ソルティートマト」で楽しむのがオススメ

濃いトマトを食べたような、甘いだけでなく酸味もある懐かしいトマトの味も感じる「松波とま登」、食前酒としてもおすすめですが、女将のおすすめの飲み方は「ソルティートマト」。試しにグラスの縁に能登の揚げ浜塩を付けて味わうと、酸味が消えて甘い味わいに!懐かしのトマトが最近のフルーツトマトに変わるような、驚きの「ソルティートマト」もぜひ、お楽しみください。

日本酒と柚子が恋した、能登果実のお酒「松波ゆず子」

数ある果実酒の中でも人気が高い柚子酒や梅酒ですが、松波酒造にも、日本酒と柚子が恋したお酒「松波ゆず子」があります。使用されている柚子は、女将・金七聖子(きんしちせいこ)さんのおばあちゃんが始めた農園で作られた無農薬の柚子です。
▲「松波ゆず子」(アルコール10度)500ml・税込1,512円、180ml・税込594円。平成23年度石川県優良観光土産品コンクールで石川県物産協会会長賞を受賞

瓶の蓋をあけた瞬間からこみ上がる柚子の甘酸っぱい香りは、食前酒としてもオススメの落ち着く華やかさ。ベースとして使われている日本酒「大江山」のやや辛口が広がったあと、柚子の酸味と共にふんわりと柔らかい甘い後味が染み渡ります。

「和食だけでなく、イタリアンにも合いますよ」という聖子さんの言葉通り、パスタに合わせても天然柚子の爽やかで強すぎない香りでお互いの味が引き立ちます。

「隠し味の香辛料のように、料理に少しかけても香りが立って美味しく召し上がれますよ」とも。
▲アスパラや春にんじんなど、季節の野菜料理にもよく合う

歴史ある地酒と新しい能登の味が生み出される酒蔵も堪能

大吟醸、純米吟醸、本醸造とどれも唸る味わいと体に素直に浸透してゆく自然な優しさが香る、「松波酒造」のお酒。明治元年から使っている酒造道具を大切に使用して、丁寧に仕込んでいる酒蔵は、予約しておけば無料で見学させてもらうことができます。
▲一歩入った途端に包まれるお酒の香りに、気持ちから酔ってしまうような酒蔵は必見!
▲「松波酒造」の酒蔵見学は無料(要予約)

能登で飲み続けられている、変わらぬ美味しさの地酒を造り続けるかたわら、女性やお酒の苦手な人、海外にも提案できるお酒として、能登の果実や野菜を生かした新しい能登の味を生み出した女将・聖子さんは、能登を愛して止まない能登人(のとびと)。忙しい聖子さんに会えたらラッキーです!一緒に呑みたくなるような笑顔と元気で、呑む前からテンションがあがりますよ。
▲「松波酒造」の女将、金七聖子さんは能登名物である「能登丼」の発起人でもある

2014年には能登を撮り続ける筆者に、「能登を旅した思い出を持って帰ってもらえるような能登の梅酒を一緒に作りたい」と声をかけて頂き、共同開発したしそ梅酒「夕梅(ゆううめ)」が2015年2月に発売されました。

梅のリキュールは馴染みがありますが、シソが入ってより香り高く酸味も加わったしそ梅酒「夕梅」は、甘いだけでない涼やかな風を感じるような爽快感が広がります。アルコール度数が8度なので、お酒が弱いという方にもおすすめの美しい夕暮れ色のお酒です。
▲「夕梅」制作途中のテイスティング(2015年撮影)。シソの配合の具合で変わる色や香り、酸味の具合を変えて何度も検討しました
▲「夕梅」(アルコール8度)500ml・税込1,728円。平成27年度「石川ブランド」に認定されている。女将はよくマグロ丼などの和食と合わせて呑むそう

なお、「松波酒造」の酒蔵に併設されている販売店では試飲もできるので、心行くまで吟味していくことをおすすめします。
▲「松波酒造」の全てのお酒は香料、着色料、酸味料、保存料は使用されていないそう。土産選びに迷ったら、1つずつ全部買いもオススメ!

この地方には「能登はやさしや土までも」という名文句がありますが、まさに水もお酒も人も優しいのが能登。お酒にも造り手の人柄が出ているように感じます。地酒の美味しい土地なので、酒蔵めぐりもオススメです。健やかな土地で生まれたお酒を味わいながら人情にも触れて、旅を終える頃には美味しさと優しさに包まれていますよ。
中乃波木

中乃波木

東京に生まれ、幼少期はインドネシア、芦屋と移り住む。13歳の夏に母と二人で能登に移住したことから能登の原風景に魅了される。美大卒業後、広告制作会社amanaに入社。アシスタントを経て独立後2007年に写真集「Noto」を出版(FOIL刊)。2010年より季刊誌「能登」にてフォトエッセイ大波小波を連載中。写真家としての活動を軸にイラストレーター、ライター、ムービーカメラマンとしても活動している。(編集/株式会社くらしさ)

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