一歩一景を誇る大名庭園「栗林公園」で朝粥を食べながら、花々が咲き誇る庭園を眺める
香川県高松市にある「栗林(りつりん)公園」は、フランスで最も権威あるガイドブックに「わざわざ訪れる価値のある場所」として最高評価の3つ星に選定された庭園。国の特別名勝に指定されている庭園の中で最大の広さを誇ります。1年を通じて四季折々の花でもてなしてくれるなか、桜が咲く春は花の種類が多くて人気ですが、今回は一足先に梅の咲く季節に訪ねました。

海外からわざわざ訪ねる価値のある庭園は、心豊かになる壮観な世界!
「栗林公園」のメインルートは入り口から南側の「南庭」をめぐるルートで、所要時間の目安は60分。しかし今回は、「朝粥」を食べながら楽しめるという「花園亭(はなぞのてい)」が最初の目的のため、まずは所要時間目安40分の「北庭」から散策します。



夏には約1,000株ある蓮の花が湖面を覆う「芙蓉沼」や、江戸時代に鴨猟を行っていたという「群鴨池(ぐんおうち)」、137種、約3,750株の花しょうぶが植えられている「花しょうぶ園」に順々に出会えます。
そんなにたくさんの蓮や花しょうぶがあるの!?と驚きつつ、もっぱらのほほんと散歩。朝日のキラキラとした木漏れ日。バッと一斉に飛び立つ鴨。ヨガをする地元の人。愛しさが湧く一つ一つのシーンに自然と笑顔になります。

いよいよ茶屋「花園亭」へ。離れの優美な茶室「泛花亭」で「朝粥」をいただく

この茶屋で食べるのかな?と思いきや、お店の人が「どうぞこちらへ」と、離れの優美な茶室「泛花亭(はんかてい)」にご案内してくれました。中は庭園を一望できる特等席。こんな風光明媚な場所で食べられるなんて!

机の上に並ぶ料理も美しくて一目惚れ。この日(2016年1月12日)は煮しめ、焼き魚、サツマイモの甘煮、蕗の佃煮、お漬物、そして香川県名産「醤油豆」や「和三盆」も添えられています。四季折々の香川の食材を少しずつ楽しませてくれるのが嬉しい。

しばし見とれているとメインの「おかゆ」が出てきました。艶やかに炊かれたおかゆの上に、丁寧に練られた梅肉が添えられています。「桜が咲くシーズンは、桜の花の塩漬けを添えますよ」と、「花園亭」の大谷雄子さんが話してくれました。


「朝粥」は茶室で行われる「朝茶事」という由緒正しい茶事
聞くと「もともとこの茶室で『朝茶事(あさちゃじ)』という茶会を開き、おかゆを食べていたんです。その様子を見た一般の人から食べたい!と言われることが続いたので、どなたでも食べられるようにしたんです」と大谷さん。
なるほど!由緒正しい茶事だったんですね。ありがたみが増してきます。料理はいずれも滋味深い味わい。食材を重んじる心が伝わってきて、口に運ぶ度に心豊かになります。
「栗林公園は県外からお越しになる人が多いので、香川県の旬の食材を使っています。冷凍のものは一切使いません。桜が咲く時には菜の花や蕗など、その時期にとれる香川の美味しい食材を使っています。通年出すのは『おかゆ』と『醤油豆』と『和三盆』。和三盆は香川県産のさとうきびからできたものです」と大谷さんが教えてくれました。

花園亭(栗林公園内)
[営業時間]8:00~18:00 ※朝粥(要予約)7:00~10:00(L.O.9:30)
※夕食(要予約)の開始時間はご予約時にお知らせください。(閉店21:00)(ご利用は5名様~/懐石料理 1名6,000円~)
[休亭日]なし
087-831-5255
「一歩一景」を誇る大名庭園「栗林公園」の世界は深い!

もちろんガイドさんがいなくても、園内マップを入り口でもらえ、園内の所々に説明を書いた立て札が置かれているので、目に見えている風景の意味を知ることができますが、ガイドさんに案内してもらうと、より興味深いお話を聞くことができます。
それではいよいよスタート!建物内から景色を眺めるだけでなく、庭の中を歩きながら空間の展開を楽しみます。
歩き始めると早速ガイドさんが「この松は『鶴亀松』と言うんです。松の下にあるのは110個の石を組み合わせて亀の形にしていて、上にある松は鶴が舞っている形に剪定しています」と教えてくれました。

続けて、「この松は江戸時代から手入れされ続けている『箱松』です。箱のような形をしているでしょう」と言われ、「栗林公園の池の色は1色ではなく、青色と緑色が入り混じって表情があるんです。池の中央にある小さな岩。何気なく置かれているように見えますが、この岩も意味があります」と、あますことなく解説をしてくれます。


また、栗林公園にはいろんな例えを彷彿させるユニークな形の石がたくさんあります。それらは、2代藩主頼常公が、貧しい民の救済策として、めずらしい石や木を持ってきた者に食料などを与えたからといわれているんだとか。


疲れてきたところで、「掬月亭(きくげつてい)」で小休止。歴代の藩主が使用したといわれる茶室で、お茶菓子やお茶を楽しむことができます。今は香川を代表する料亭「二蝶(にちょう)」が運営しています。



掬月亭(栗林公園内)
[営業時間]9:00~16:30
[休亭日]12月30・31日
[お茶席]抹茶(御菓子付き)大人700円、小人500円/煎茶(御菓子付き)大人500円、小人400円 ※すべて税込
※3~6月、9~11月は、前日正午までに2名以上で予約をすれば、税込3,000円で昼食も食べることができる。
0120-86-0220


16世紀後半から続く庭園は、何度も訪ねてゆったりと過ごすことに価値がある場所でした。なお、「栗林公園」は4~9月までは朝5:30オープン、開園時間が遅い12~2月でも7:00オープン。「花園亭」の朝粥も朝7:00から楽しめるので、香川で過ごす1日を切るスタートにぴったりです。
栗林公園
香川県高松市栗林町1-20-16
[開園時間]月ごとに開園時間は異なります。ホームページをご確認ください
[休園日]なし
[入園料金]大人 税込410円、小人 税込170円 ※未就学児は無料
087-833-7411

黒島慶子
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときに体温が伝わる醤油を造る職人に惚れ込み、小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続けている。 (編集/株式会社くらしさ)
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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