タコライス発祥の店「キンタコ」。創業者一族が語る“ツウ”な食べ方!

2016.03.30

今やカフェの定番メニューとしても定着しつつある「タコライス」。その発祥の店が、沖縄県金武町(きんちょう)にあります。“キンタコ”の愛称で知られる「キングタコス」。その創業者一族に“ツウ”な食べ方を教わりました!

タコライスというと、外国の料理と思う方もいるかもしれません。かくいう私もその一人でしたが、タコライスとはタコス+ライスのこと。その名前の由来の通り、メキシコ料理のタコスを日本風にアレンジした料理ということを知りました。

その生まれは沖縄本島の北部にある金武町。那覇空港から高速道路で約1時間の、米軍基地「キャンプ・ハンセン」を有する町には、アメリカの街を思わせる雰囲気が漂っています。
▲英語のサインが目立つ金武町の街角

夜にはバーやクラブなど米兵を中心に活気あふれますが、日中は意外と静か。そんな閑静な街なかに、ひときわ賑わう一角があります。それが今回ご紹介する「キングタコス 金武本店」。
▲ピンクの建物に、メキシコの国旗カラーが映える店構え。赤がお肉、白がごはん、ロゴの黄色がチーズ、緑がレタスを表現している

軒先にも堂々と看板が掲げられる通り、タコライス発祥のお店です。
週末ともなると、店内外に長蛇の列ができ、整備員が動員されるほどの盛況ぶり。地元の人をはじめ、一度本場の味を味わってみたいと、町外・県外からの観光客でも賑わっています。
▲週末は30分以上待つこともしばしばとか

看板商品のタコライスはもちろんのこと、タコスにハンバーガー、フライライス(炒飯)にチキンまで、多様なメニューがあります。初めての人には目移りしてしまうほど。
▲サイドメニューは店舗によって異なるんだとか

その中でも、多くの人のお目当てはもちろん「タコライス」。
▲メニューにも「タコライス」シリーズの前には“元祖”のマークが

また、その中にも「タコライスチーズ」、「タコライスチーズ野菜」に加え、「タコチキンフライライス」なんてものまであり、何を頼めば良いのか悩ましいほどです。

2代目社長直伝の“ツウ”なタコライスの食べ方

「ご飯にひき肉だけ載せたのが“タコライス”、それにチーズを載せたのが“タコライスチーズ”、さらに野菜を載せたのが“タコライスチーズ野菜”です」
▲キンタコを運営する(有)メランジェ社長の島袋小百合さん(金武町内の系列店「ゴールドホール」にて)

そうくったくのない笑顔で教えてくれたのは、キンタコの2代目社長、島袋小百合さんです。

そんな彼女に、なかでもオススメを伺うと、

「実はソースが2種類用意されていて、タコライスチーズにオススメなのが“ケチャップ”、タコライスチーズ野菜にオススメなのがオリジナルの“タコソース”。両方を味わいたいなら、タコライスチーズ野菜を頼んでください!」
とのこと。

言われた通りに注文すると、沖縄らしい笑顔が光る店員さんが、こぼれんばかりに盛り付けられた「タコライスチーズ野菜」を手渡してくれました。
▲この日はたまたま島袋さんの義妹さんが店頭に
▲ボリューム満点の「タコライスチーズ野菜」(税込600円)
▲ケチャップ(短い方)と、タコソース(長い方)の両方が渡される

「野菜を片方に寄せて、野菜側には“タコソース”、チーズ側には“ケチャップ”をかけるんです。そうすれば両方のオススメの味が楽しめますよ!」

ほほー、なるほど!これは確かにツウな食べ方!早速、言われた通りの“スプレッドソース掛け(勝手に命名)”をしてみました。
▲野菜を寄せた方にはタコソース、チーズの方にはケチャップをかける

では早速、タコソースがけの「タコライスチーズ野菜」から賞味。
▲ご飯とひき肉、野菜とチーズにタコソースを一口で

美味ーい!!味付けされたひき肉に、チーズのコク、レタスのシャキシャキ感、それに加わるタコソースの辛味が、口の中で絶妙のハーモニーを奏でます。これは病みつきになる味わいです!

ただ、辛いのが苦手な筆者にとっては、タコソースの辛味が徐々に効いてきます。そこで、ケチャップがけのタコライスチーズの方を。すると、甘いケチャップによって、口の中が中和されるのです。一度で二度おいしいとは、まさにこのこと!
▲得した気分を味わえる“スプレッドソース掛け”

試しに、ソースを逆にして食べてみたのですが、島袋さんの言うように、確かにチーズ野菜にはタコソース、チーズにはケチャップの方が合う印象。タコソースの酸味と辛みが、ドレッシングのように野菜とマッチするからでしょうか。もちろん好みによるのであしからず。

「濃厚な味わいが好きでしたら、『タコチキンフライライスチーズ』もオススメですよ!」

そう島袋さんが話すのは、鶏肉入りの炒飯の上に、ひき肉とチーズを載せたこちらの逸品。
▲「タコチキンフライライスチーズ」(税込600円)。チーズなので、やはりここはケチャップをかけて頂く
▲タコライスは白いごはんが定番だが、果たして炒飯との相性は!?

こちらも美味しーい!!おっしゃる通り、味がさらに濃厚な印象!飲んだ後など、少し濃い味を欲している時にはもってこいの味わいです。ここだけの話、実はこのチキンフライライスシリーズは、金武本店のみ100円引きなんだとか。

「タコライス」誕生秘話

「かつては米兵が生野菜を嫌がっていたので、野菜とチーズはトッピング式にしたんですよ。最近は、野菜も好まれるようになり、辛さも段々求められるようになりました」

そう次から次へと裏話を教えてくれる島袋さんは、キンタコの創業者、儀保松三(ぎぼまつぞう)さんのお孫さん。30歳にしてキンタコを引き継いだそう。

「祖父は基地近くの街を転々としながら、米兵向けのバーを営んでいました。ただ、米兵同士のケンカがある度に、off limits(立ち入り禁止)になってしまって、商売あがったりの繰り返しだったそうです」
▲キンタコ創業者の儀保松三さんと島袋さん

そんな折、キャンプ・ハンセンが誕生すると、こぞって金武町で商売を始める人が増加。1984年、儀保さんも元中華料理屋の店舗を借りて商売に乗り出しますが、後発だったため、何か新しいものを提供しないと、という想いがあったんだそう。

「お金に余裕のない若い米兵にもお腹いっぱいになってもらえるよう、“安くてスピーディーに満腹になれる料理”を考えたそうです」

そこで考案されたのが当時、基地でも提供されていた「タコス」をヒントにした「タコライス」。英語ができなくても「タコ&ライス」は説明しやすかったんだとか。
▲タコライス初出店の店舗。元中華料理屋「千里」にちなんで、「パーラー千里」と名付けられた(2015年6月末に人員不足により閉店)

得体の知れない料理は、はじめ周りからも馬鹿にされたそうですが、徐々に売れ出してくると、周辺のお店もタコライスを真似するように。ですが、儀保さんは「カレーライスみたいなもんだから」と、商標登録しなかったそうです。

その翌年、物件が契約更新できないかもしれない事態になり、同じ金武町内に新しい物件を契約。その際、「お店の名前に負けないように、いつまでも頑張ってタコライスを作ろう!」と命名されたのが、新店舗「キングタコス」でした。
▲結果的に「パーラー千里」も契約更新できて、金武町には2015年まで「キングタコス」との2店舗が存在

こうして安くて美味しくて満腹になれる料理として、米軍や観光客に評判を呼んだタコライスは、徐々に市民権を得ていったのです。

今では日本に留まらず、ニューヨークやロス、フロリダでも提供されているというタコライス。店舗の出店依頼の話も多いそうですが、県外に出店する意向はないと島袋さんは話します。

「キンタコの味は沖縄で食べて欲しいですから。今、運営している県内7店舗は全て、一族で経営しているんです。祖父が与えてくれた家族の宝(=タコライス)は、家族でつないでいきたい」

タコライス生みの親である儀保松三さんは、2015年、85年の人生に終止符を打たれました。しかし、島袋さんたち家族によって確実に引き継がれていっている、キンタコの元祖タコライス。沖縄を訪れる際には、絶対に食べておきたい逸品です!
長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

広告出版社を退職後、世界一周、日本一周を経て「くらしさ」を設立。全国各地のモノ・コト・ヒトを伝え、つないでいく活動に尽力している。全国の仕事人に会いに行ける旅「Life Design Journey」も運営。http://lifedesign-j.com/

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