沖縄の伝統工芸「紅型」に触れる旅。おもわぬ才能が開花するかも!?

2016.04.17 更新

沖縄を代表する伝統工芸の一つである「紅型(びんがた)」。「紅」は色を、「型」は模様のことを指し、「紅型」とは顔料や染料で染める型染めの一種のことです。染物というと少し格式が高いイメージもあり、なかなか普段触れる機会がないのですが、沖縄では「紅型」を気軽に体験できると聞いてチャレンジしてきました。

琉球王国時代に生み出された華麗な染物

「紅型」はもともと琉球王国時代に、主に貴族の衣装として染められていたといいますが、現在は観光地や沖縄料理屋さんなどで見かける伝統的な琉球衣装や、お土産物屋さんに並ぶ小物などに見ることができます。
その特徴はというと、何よりもビビッドな色合いと大胆な配色。南国ならではの強い日差しに映えるこの色使いは、青い空や海、豊かな緑を持つ沖縄独特の気候風土のなかで育まれてきました。
▲琉球王国時代、アジアの国々と交易が盛んだったことから、インドやジャワ(現インドネシア)の更紗の技法なども取り入れられているそう

静かなやんばるの森に佇む、新しい体験工房

沖縄島内には「紅型」を体験できる工房がいくつかありますが、今回は沖縄北部の東村(ひがしそん)、通称“やんばる”にある「びんがたの染や」へ。周りを森に囲まれた静かな環境のため、作業にとっても集中できます。
▲やんばるの山奥に2015年12月にオープンしたばかりの体験工房
各工房によって、染料の色や染める素材、またデザインそのものが異なりますが、「びんがたの染や」では、トートバッグ、Tシャツ、スマホケースなどに、いくつかのデザイン柄から選んで染めることができます。

今回はパインの生産が盛んな東村にちなんで、パイナップルのデザイン柄をトートバッグ(M)に染めることにしました。

ちなみに、紅型のおおまかな作業の流れは、以下の通り。

1. デザインを描いてそれを型に彫る
2. 布に型をあて、もち米でできた糊を置く
3. 模様の部分に染料をすりこむ(配色)
4. 配色を乾かしてから濃い色で影をつける(隈取り)
5. 色を定着させて糊を落として乾かす

2番まではあらかじめ工房側で準備をしておいてくれるため、体験は3番からのスタートです。
▲紅型の作業は分業制ではなく、すべて一人の職人が行うそう。デザインを決めるのも、それを型に彫るのも職人の仕事だ
▲糊を置いたグレーの部分には染料がはみ出しても、後から洗い流せば落ちるという

いざ、初めての「紅型」体験!

それでは専用の刷毛を使って配色はじめ!
▲色ごとに刷毛を変える
▲淡色から塗り始めるのがポイントだそう
刷毛を立てて使い、生地にしっかり色をすり込むように塗っていきます。白い部分が残らないように、均一にむらなく色だまりができないように気をつけます。
▲なかなか集中力のいる作業で、話ながらやっているとうっかり葉っぱの部分にまで花びらの色を塗ってしまうことに…
1時間ほどかけてようやく配色が終わりました。どの色をどこに塗ろうか考えながらやるのは楽しいのですが、結構悩みます。職人さんがすべての作業、すべての商品を手作業で行っていることを考えると、頭が上がりません。
▲右下の赤紫のお花の中心も色を変えるはずが…全部塗りつぶしてしまいました

紅型ならではの作業「隈取り」

配色作業の後、一度ドライヤーで乾かしてもらい、次の作業「隈取り」へ移ります。「隈取り」は紅型の大きな特徴ともいえる作業で、配色が終わった部分に濃い色でアクセントをつけて、画に立体感を出します。
▲2本の筆と刷毛を十字に持ち、筆で色を乗せたらすぐに刷毛でぼかす
色を乗せたら乾いてしまう前に刷毛でぼかすため、テンポよく進めないといけません。作業も慣れてきたところで調子よく作業を繰り返していると、あっ…刷毛でぼかす際にうっかり筆が落ちてしまい生地にシミができてしまいました。ここまで順調だっただけにショックです。
▲糊以外の部分に染料がついてしまうと洗っても落ちないため要注意!
▲塗り残しの指摘や「ここも塗ってみるといいですよ」と職人さんから直接アドバイスがもらえる
およそ2時間かけてようやく「紅型」体験が終了しました。「隈取り」をすると確かに立体感が出て、グッと本物の「紅型」に近づいた気がします。初めてにしては上々の出来ではないでしょうか!?我ながら満足です!
▲この後、職人さんがドライヤーとアイロンで乾かし、色止め剤を塗ってくれたら作業完了
▲持ち帰って水で糊を落としたら出来上がり!この仕上がりなら大切な人へのお土産やギフトにもできるかも!

その日の気分でカラフルな色づかいの「紅型」を楽しもう

「びんがたの染や」は千葉県出身の染谷唯さんと、東村出身の奥様・優子さんが営む工房。2005年にこの地に紅型工房を建て、体験も時々受け入れていたそうですが、「もっとみんなに『紅型』のことを知ってほしい」と10周年を機に体験専用のスペースを新設させました。
▲「めんそ~れ、やんばる!(やんばるへようこそ)気軽に体験に来てくださいね」と染谷さんご夫妻。2人は「紅型」の修行時代に出会ったという
子どもの頃から漫画を描いたり、塗り絵をしたりするのが好きだったという唯さん。東京の専門学校で染色について学び、染色工芸家の芹沢けい介氏の作品を通じて「紅型」に出会った唯さんは、沖縄で本格的に「紅型」を学ぶように。

「紅型のデフォルメされたフォルムに惹かれました。友禅などは糊で絵を描いていくので、絵の上手い人には敵いませんから。『紅型』は沖縄独特の色づかいと、型から一人で作り上げていった時の達成感が魅力です」
▲2015年には沖縄県工芸公募展において優秀賞を獲得したという唯さん
「沖縄ならではの面白い色づかいや派手な色づかいを、その日の気分で塗って楽しんでもらえたらいいですね」

「びんがたの染や」では、「紅型」はちょっと難しいかなという方向けに、ぬり絵の要領で楽しめる「色さし」体験も行っています。

▲左の状態のデザイン画に好きな色を塗っていく「色さし」体験。もっと大まかなデザインの場合、4才くらいから体験可能だそう

初めて行った「紅型」体験。2時間ほどじっくり“色”と向き合いました。同じデザイン柄でも使う色によって仕上がりの印象は大きく変わってくるもの。今回は見本を参考にしながら無難な色づかいになってしまいましたが、次にやる時にはもっと奇抜な色づかいに挑戦してみたいな、そんな想いを胸に工房を後にしました。

エメラルドグリーンの海や真っ青な空、赤瓦にピンク色のハイビスカス、マンゴーの黄色…などカラフルな沖縄で、あなただけの色を見つけて「紅型」を体験してみませんか?おもわぬ才能が開花するかもしれませんよ!
長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

広告出版社を退職後、世界一周、日本一周を経て「くらしさ」を設立。全国各地のモノ・コト・ヒトを伝え、つないでいく活動に尽力している。全国の仕事人に会いに行ける旅「Life Design Journey」も運営。http://lifedesign-j.com/

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