2017年「クラフトフェアまつもと」の見どころを徹底紹介!「工芸のまち」松本を堪能しよう

2017.05.08 更新

長野県松本市の「あがたの森公園」では、毎年5月の最終土曜・日曜に全国から約280のクラフト作家と5万人ものクラフトファンが集まる「クラフトフェアまつもと」が開催されます。今や各地で質の高いクラフトフェアが開催されているなかでも草分け的存在で、全国屈指とされている松本市の一大イベントです。

30年以上続く「クラフトフェアまつもと」の魅力

長野県松本市。江戸時代には各地から集められた多くの職人たちが居住する城下町として栄え、戦後には柳宗悦(やなぎむねよし)氏が唱えた民芸運動の舞台として、木工や染織をはじめとする工芸品制作が盛んに行われました。今でもたくさんのクラフト作家がこの地で暮らし、JR松本駅から歩ける範囲だけでもさまざまな手仕事と出会えるギャラリーやショップが軒を連ねています。
▲蔵造りの街並みが広がる中町通りは、人気のギャラリーが集まるエリアのひとつ

そんな「工芸のまち」松本市で、クラフト作家の中でも木工家が中心となって1985年に始まったのが、日本初の屋外クラフトイベント「クラフトフェアまつもと」です。

会場となる「あがたの森公園」には、木工、陶磁器、染織、ガラス、金属など多彩なジャンルの作家の出展ブースが並び、彼らの作品を手に取ってじっくり見ることができる上に、気に入ったものがあればその場で購入することができます。作家から直接、制作にまつわる話が聞けるのも魅力。のどかな公園の雰囲気と相まって実に心地よい雰囲気です。
▲JR松本駅から徒歩20分ほどの場所にある「あがたの森公園」。「クラフトフェアまつもと」は緑に囲まれた芝生広場に約280の出展ブースが並びます

年々、出展者も来場者も増え、第10回の開催にあたる1995年には出展ブースが350にまで増加しました。以来、あまりの応募作家の多さにより出展が選考制に。それにより、質の高い作品が並ぶと評判です。工芸好きの市民だけでなく、日本中のギャラリー関係者が作家の開拓や買い付けに来るほどにぎやかで、すっかり定着したイベントとなりました。
▲幅広いジャンルの作家の個性豊かな作品が揃う「クラフトフェアまつもと」
▲ガラス作家による風鈴など、出品される作品もさまざまです
▲木工の家具も人気があり、実際に座り心地などを確かめることもできます
▲「クラフトフェアまつもと」では公園の隅々まで出展ブースが並び作品で埋めつくされます
▲手作りの工芸作品との出会いは一期一会
▲木の器も人気がある作品のひとつです
▲優しい色と風合いの染色をした布作品も工芸品のひとつとして並んでいます

作品めぐりだけではない「クラフトフェアまつもと」の楽しみ方

会場の「あがたの森公園」は緑豊かで、広大な芝生が広がっています。芝生の真ん中には出展ブースがないので、ピクニックのようにお弁当や飲食ブースの食べ物を食べたり、子どもたちが遊んだりもできます。
▲広い芝生の上では、ピクニックのように自由に過ごすことができます

松本市内の人気飲食店の出展もあり、グルメも充実しています。さらに、公園の片隅には1920(大正9)年に建築された旧制松本高等学校の建物が残っており、校舎の一部は図書館や公民館として活用されています。この建物をじっくり楽しむのもいいですね。
▲古き良き時代を感じさせる旧制松本高等学校の校舎。校舎と講堂は国の重要文化財に指定されています(写真:まつもとクラフトナビ)

なお、「クラフトフェアまつもと」は、当初、松本に移住してきた木工作家たちの呼びかけで、65人のクラフト作家が集まり始まりました。最初は仲間内だけの小さなイベントでしたが、その評判が少しずつ広がり、現在に至ります。

実際、筆者が初めて「クラフトフェアまつもと」を訪れたのは1998年。当時は市民にとっては「知る人ぞ知る」イベントでした。しかし、次第に世の中にクラフトブームが起こり、全国版のカルチャー誌や旅系の雑誌でも紹介されるようになると知名度は徐々に高まり、来場者も年々増加。2010年には2日間で7万人もの来場者を数えるようになったのです。
※会場には駐車場がありません。松本駅周辺の有料駐車場をご利用ください。また、フェア当日の2日間は特別バス「バスDAYまつもと」を運行します。アクセス情報は公式ホームページをご確認ください。

「クラフトフェアまつもと」と連動した1カ月間の企画「工芸の五月」

「クラフトフェアまつもと」は、2017年は5月27日(土)・28日(日)に開催されますが、この2日間だけが「工芸のまち」である松本市の楽しみ方ではありません。市では毎年5月を「工芸月間」とし、近隣の美術館や博物館、ギャラリーなど、約70の会場で工芸を楽しむ企画展やワークショップ、イベントなどを開催しています。それがクラフトフェアの連動企画である「工芸の五月」です。
▲「工芸」というと堅苦しい印象もありますが、つまりは暮らしの道具や生活品のこと。私たちの身近にあるものが全て作品なのです
▲普段使いの器も「工芸」のひとつです(写真:モモセヒロコ)

「工芸の五月」の中でも毎年人気のイベントなのが、松本城近くの酒店で行われる「ほろ酔い工芸」です。会場に展示されている長野県内の作家の酒器から好きなものを選び、実際に使って長野県で醸造されるお酒を楽しみます。

今回の「ほろ酔い工芸」のテーマは「クラフトビール」。当日は最大7種類のクラフトビール(「松本ブルワリー」から3種、「志賀高原ビール」2種、軽井沢「KOKAGE」2種)の中から好きなものをいただくことができます。また、長野県の素材を使ったおつまみも楽しめます。
▲地元の作家が手がけた器で地酒を楽しめるとは贅沢。地酒を介して工芸を身近に感じてもらえる機会となればということから企画されました(写真は2016年撮影:モモセヒロコ)
▲「ほろ酔い工芸」は松本城の近くの酒店「三代澤(みよさわ)酒店」で行われます。JR松本駅から徒歩10分ほど
▲「ほろ酔い工芸」をはじめ、「工芸の五月」のさまざまな企画や各店舗での展示は「工芸の五月」公式ガイドブックで紹介されています(税込500円)。「工芸の五月」参加店や「工芸の五月」公式ホームページで購入可能

昔ながらの商店街と連動した独自企画も

さらに、市内の商店街でも、「工芸の五月」や「クラフトフェアまつもと」と連動した独自の企画を実施。松本城に続く本町商店街では、2017年5月20日(土)~28日(日)に「商店と工芸2017」と釘打って、それぞれの商店とのかかわりを紹介するいくつかのイベントが開催されます。
▲「商店と工芸2017」の中の1企画である「城下町工芸展 商店ギャラリー」では、商店が大切にしてきた品物と、それにまつわるストーリーを楽しめます。5月20日(土)~28日(日)に開催(写真は2015年、松本民芸家具を使用する和洋菓子店「開運堂本店」)
▲「城下町工芸展 工芸マルシェ」は、本町の路上に陶磁器、木工、金工、漆器、ガラスなどの作家が集まり工芸品を展示販売する企画展。5月26日(金)~28日(日)に開催(写真は2015年撮影)
▲「あじわい散歩」は5月26日(金)10~13時開催予定。オフィシャルガイドと中町通りを散歩しながら松本民芸家具の工房を訪ねた後、家具や調度品が松本民芸家具で統一された「レストラン鯛蔓」(写真)を見学してランチを楽しみます。10時に開運堂本店(長野県松本市中央2-2-15)集合、定員6名、参加費6,000円(ランチ代・保険料・税込)
▲「五月の宵祭」は「クラフトフェアまつもと」の前夜と初日の夜、本町商店街の一部を夕方から歩行者天国にして開催。地元食材を使ったフード類や地酒、工芸ワークショップや実演、ライブなどが楽しめます(写真は2015年撮影)
▲「五月の宵祭」では、自分で染付けをしてその場で盃を焼き上げるダイナミックなワークショップも開催
小さな路地が縦横に走る松本のまちは、通りを抜ける際にふいに昔ながらの趣がある店舗を見つけたり、意外なところに井戸を発見したりと、のんびりと歩くだけでも楽しいエリアです。こうした松本のまちを「クラフトフェアまつもと」や「工芸の五月」の企画を通じて、ゆっくりとめぐってみてはいかがでしょう。新緑の5月、さわやかな風が吹く松本のまちでクラフトや工芸に親しむ旅に出かけてみませんか。
島田浩美

島田浩美

編集者/ライター/書店員。長野県出身・在住。信州大学卒業後、2年間の海外放浪生活を送り、帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店「ch.books(チャンネルブックス)」をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。(編集/株式会社くらしさ)

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