札幌味噌ラーメンならここ!押さえておくべき3店

2016.03.01

札幌ラーメンといえば味噌!こってりした味噌ダレの豚骨スープと、その濃厚スープがよく絡むプルプルのちぢれ麺、野菜がたっぷり盛られているのが特徴です。今回は味噌ラーメン発祥の店と、行列ができる超人気店、新しいスタイルに挑む店を訪ね、札幌ラーメンの伝統と進化を探りました。

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▲札幌ラーメンは、伝統を踏襲しつつも、お店により独自の進化をしています

味噌ラーメンの原点は医食同源

札幌ラーメンのルーツを探るべく、札幌の街中にある「味の三平」を訪れました。味噌ラーメン発祥の店として知られているお店です。
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▲お店は札幌市内にある大きな文具店の4階

味噌ラーメンがこの世に登場したのは、昭和20年代後半。「味の三平」の創業者、大宮守人(もりと)さんが味噌汁をヒントに考案しました。

戦後間もない時代は、世の中の多くの人たちが栄養不足。
「栄養があり美味しいものを提供したい。医食同源、一杯の丼は一つの食事」
守人さんはそう考え、身体によいと言われていた味噌と、当時のラーメンではあまり使われていなかったニンニクを使い、栄養バランスをよくするために野菜炒めをたっぷり入れたラーメンの試作を重ねました。
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▲「味の三平」二代目、大宮秀雄さんにお話を伺いました

試作した味噌ラーメンを常連客に食べてもらい、感想をもとに試作を繰り返し、数年がかりで納得のいく味を完成させました。
提供当時は「味噌味メン」と呼んでいたそうですが、いつしか味噌ラーメンと呼ぶようになったそうです。
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▲「味の三平」の味噌ラーメン(850円・税込)。炒めた野菜がたっぷり、栄養満点!

昭和30年頃、「味の三平」の味噌ラーメンが雑誌などで取り上げられるようになると、瞬く間に味噌ラーメンが日本各地に知れ渡り、札幌のラーメンといえば味噌、と言われるようになりました。
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▲皿に盛っているので、「ごはん」ではなく「ライス」と呼んでいます。ラーメンにプラス100円(税込)でライス(キムチ付)がセットに。人気メニューの手作りシューマイは1個60円(税込)

さらに、「味の三平」は“ラーメンライス”の先駆けでもあるのです。50年以上前、ラーメンだけでは足りないお客さんへ皿に盛ったごはんを出していたところ、お客さんが注文時にラーメンライスと言い始め、それが広まっていったのだそうです。

「味の三平」で元祖味噌ラーメンを食べてみました

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▲麺を茹でている間に、たっぷりの野菜を中華鍋で豪快に炒めます。鍋を握るのは三代目 の大宮一人(かずと)さん
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▲大鍋で泳がせるように茹でた麺を、平ザルでしっかり湯切りします
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▲一杯のラーメンを3人がかりで盛り付けし、できたてを素早く提供

熱々の味噌ラーメンが出てきました。
上にのっているのは、炒めたタマネギとモヤシに、キャベツと挽肉。バラ肉を使ったことがあるものの、挽肉のほうがよりスープに旨みが増すため、今のスタイルになったそうです。
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▲美味しく見えるよう丁寧に、かつ綺麗に盛り付けるのが「味の三平」のモットー

「味の三平」では麺が命!というのも、味噌ラーメンの特徴、ちぢれ麺を考えたのも「味の三平」創業者の大宮守人さんだからです。

昔、ラーメンはストレート麺が一般的でしたが、濃厚なスープによくからみ、食べる時にプルプルッと唇が震えるような麺を作りたいと、製麺会社の西山製麺とともにちぢれ麺を共同開発しました。
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▲麺がしっかり見えるようにと、色が薄いスープに麺だけ入れたものを出してくれました

透き通るような白色のちぢれ麺。弱火で中までじっくりと火を通すことで、麺の透明感が出て、コシのある食感になるのだそうです。
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▲麺はナマモノ、できたてをすぐにズルズルッと、いただきます

麺をすすると、プルンとして少し弾力があるような食感。スープは濃厚ながらも意外とすっきりとした味わい。麺がよく絡み、麺をスープで味わうような感覚です。
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▲卓上にある鉄火味噌を入れてみました。ピリ辛になり、また違った味わいを楽しめます

60年以上前に、常連客の試食を重ねて誕生した味噌ラーメン。「味の三平」では、スープの味わいや麺の太さなど、お客さんの様子や反応を見て常に変えてきたそうです。
一日の中でも、やってくるお客さんの顔色や様子を見て、脂加減や濃さなども微妙に変えています。
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▲客席は厨房前に並ぶ横一列のカウンター席のみ。お客さんに目が行き届くようにするためです

「お客さんが職人を育てるんだよ」
二代目、大宮秀雄さんはそう言います。基本ベースは踏襲しつつも、元祖味噌ラーメンは日々変化し続けています。

行列ができる札幌ラーメン店の代表格「麺屋 彩未」

札幌はラーメン激戦区。市内にあるラーメン店は500軒とも、1,000軒とも言われています。その中でも、毎日行列ができる超人気店のうちの一つが、「麺屋 彩未(さいみ)」です。
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▲お店の隣には車が10台以上停められる駐車場がありますが、営業中は満車になることも

札幌でラーメン好きの人なら知らない人はいないのでは、というほどの有名なお店。開店前から人がずらっと並ぶことも珍しくありません。近年は観光客も地元の人の噂を聞きつけ、足を運ぶこともあるようです。
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▲カウンター席とボックス席があります。頭上にはお店を訪ねた有名人の色紙がずらり

「麺屋 彩未」のラーメンは、味噌、醤油、塩、辛味噌がありますが、一番人気はもちろん味噌。なんと、来店客の約8割もの人が味噌ラーメンをオーダーするそうです。
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▲「麺屋 彩未」の味噌ラーメン(750円・税込)。チャーシューの上に盛られたおろし生姜がアクセント

麺は中太の黄色いちぢれ麺。炒めたモヤシにメンマが添えられ、モヤシの上には刻みネギと、北海道産豚肉の肩ロースのチャーシュー、おろし生姜が盛られています。
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▲老舗ラーメン店「すみれ」で修業し、独立した店主の奥雅彦さん

「生姜とニンニクがうちのラーメンの生命線」
店主の奥雅彦さんはこう言います。

極力国産の素材にこだわり、特にスープの決め手となる生姜とニンニク選びには注力したそうです。
生姜は高知県産、ニンニクは青森県産のみ使用。開店当初はそれぞれ八百屋から仕入れていましたが、品質が微妙に異なったため、現在では高知県と青森県の特定の農家と契約をし、直接仕入れています。
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▲マイルドなスープ。思わずすべて飲み干してしまいたくなるほど!

豚骨と野菜やニンニクをじっくり煮込んだ清湯(チンタン)スープに、独自の味噌ダレを合わせたスープ。一見すると濃厚そうですが、ひと口レンゲですくうと脂はそれほど多くなく、コクがありながらもまろやかな味わい。

さらに、生姜を少しずつ溶かすようにしてスープに混ぜてみると、よりスッキリした風味になりつつも、ほんの少し味が濃くなったような、不思議な感覚。とても繊細で、上品な味わいを楽しめるスープです。
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▲プルプルとした麺、コクがありながらもすっきりしたスープ。あまりに美味しく、無言で一気に完食!

札幌ラーメンの王道を進む、「麺屋 彩未」の味噌ラーメン。行列ができる超人気店というのも納得の味、並んででもまた食べたくなります。

札幌ラーメンの新スタイルを開拓する「MEN-EIJI HIRAGISHI BASE」

最近、札幌ラーメンの基本を踏襲しつつ、独創的な一杯を提供するお店が増えていて、開店前から行列ができる人気店「MEN-EIJI HIRAGISHI BASE」では、札幌ラーメンをベースにしつつ、スープや麺にこだわりを持ち、唯一無二の味を提供しています。
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▲住宅街の中、一見するとアパートのよう!? 建物の真ん中がお店の入口
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▲外見に反し!?シックで落ち着いた雰囲気の店内

「MEN-EIJI HIRAGISHI BASE」では、極力北海道の食材を使い、化学調味料に頼らないラーメン作りをしています。
特に麺にこだわり、北海道産小麦を使用し、すべて自店の製麺機で製造しています。麺作りには定評があり、他店からの引き合いで札幌市内の数店に卸しているほど。自店で使う分だけでも、ラーメンの種類に合わせて4種類の麺を用意しています。
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▲店主の古川淳(じゅん)さん。スープ屋ではなくラーメン屋だから、麺づくりからこだわると言います

開店当初は味噌ラーメンを出していませんでした。理由は、店主の古川さんが単に味噌ラーメンが好みではなかったから。
ところが、ある日お客さんが、札幌の味噌ラーメンってどの店も化学調味料の味ばかりして美味しくないよね、と言っているのを耳にしました。

「札幌の食文化を馬鹿にされているようで、これがすごく悔しくてね。北海道にはいい食材がたくさんあるのに。それなら俺が作ってみせるよ、って思って味噌をやり始めたのです」
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▲お客さんの一言で奮起して生まれた「札幌味噌eiji style」(800円・税込)。ニンニクと生姜の風味をほのかに感じるマイルドな味わい

ほとんどの材料が北海道産。トッピングの定番メンマは輸入品しか手に入らないので使用せず、かわりに北海道厚沢部(あっさぶ)町産のゴボウの素揚げを入れています。
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▲こだわりの自家製麺の原材料は小麦粉、塩、水のみ。札幌ラーメンの定番、中太のちぢれ麺です

小麦は、北海道小平(おびら)町産のルルロッソという品種を使用しています。
ルルロッソは本来パスタ向けの小麦。他の北海道産小麦だと“つなぎ”を使わないとモチモチした食感の麺になってしまうため、味噌ラーメンのプリプリ感を出すため何種類もの小麦を試したところ、小平町産のルルロッソがしっくりきたのだそうです。
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▲いい食材はイタリアンやフレンチだけではなくラーメンにも、と熱く語る古川さん

開店当初から提供している代表メニューは、「魚介豚骨醤油」。濃厚でこってりした豚骨ベースの醤油ラーメンに、魚出汁のジュレが添えてあるのが特徴です。

ジュレには柚子の皮が入っていて、出汁の旨みとともに爽やかな風味を楽しめます。少しずつスープに溶かして食べると、最初はクリーミーに感じたスープが、ほんのりとした塩辛さと爽やかな風味が増し、最後はすっきりとした味わいになります。
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▲「魚介豚骨醤油」(830円・税込)、ドロリとしたジュレがインパクト大!

このジュレを作るヒントになったのは、デパートの地下で食べた紅茶プリン。甘くこってりしたプリンが紅茶の苦みで味が引き締まっていたのをヒントに、濃厚でこってりしたスープを引き締める魚出汁のジュレを思いついたそうです。
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▲強い味わいのスープに合わせて作ったという、中太ストレートの多加水麺

伝統的な札幌ラーメンの手法やスタイルは踏襲しつつ、進化していくのが「MEN-EIJI HIRAGISHI BASE」のモットー。独創的な札幌ラーメンを味わうことができます。


元祖味噌ラーメン、超人気店の王道味噌ラーメン、進化した味噌ラーメン。このほか札幌市内だけでも数えきれないほどの札幌ラーメンがあります。さて、あなたはどんな札幌ラーメンが好みですか?食べ比べしてみて下さいね!
川島信広

川島信広

トラベルライター/温泉ソムリエ/イベントオーガナイザー。北海道を拠点に活動。旅行雑誌や観光サイトでの執筆や撮影を中心に、観光施設などの集客支援や、イベントやツアーの企画と実施支援を行う。その日・その時・その場の空気感や現場感を活かした表現や演出が得意。常に「誰」を考え、利用者視点を重視している。

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