枕崎で食べておくべき、カツオ料理3種+α!

2016.03.17

大皿にドーンと鎮座するのはカツオの頭の煮つけ。何とも豪快なこの料理は、鹿児島県枕崎市に伝わる「びんた料理」です。今回は、鰹節の一大生産地・枕崎市で楽しめるバラエティ豊かなカツオ料理をご紹介します。

枕崎の鰹節に世界が注目

薩摩半島の南部に位置する枕崎市とお隣の指宿市山川には、合計約75軒の鰹節工場が点在しています。この2地区による鰹節の国内シェアは約7割、その生産量は約2.3万トンにのぼります。近年は世界的な和食ブームの影響で、ヨーロッパを中心に多くの外国人視察団もこの地を訪れているんですよ。
▲多くの漁船が停泊する枕崎港
工場の近くには、鰹節の良い香りが漂います。だしの香りを嗅いでいると、おいしい和食を食べたくなりますね。枕崎市内には、カツオや鰹節を使ったグルメを楽しめる飲食店がたくさんあります。早速、おいしいカツオ料理を求めて「魚処なにわ」を訪れました。

枕崎の郷土料理「びんた料理」

▲ボリューム満点の「鰹びんた定食」(税込1,620円)
「魚処なにわ」は、昭和45(1970)年創業の老舗飲食店。同店で大人気の定食が「鰹びんた定食」です。「ビンタ」と言うと「平手打ち」をイメージする人が多いと思いますが、鹿児島弁では「頭」のこと。「びんた料理」は、鰹の頭を豪快に塩茹でした枕崎の郷土料理です。でも、ここ「なにわ」の「びんた料理」は、味噌仕立て。生臭さを気にするお客さんのために、先代店主が食べやすい味噌仕立ての「びんた料理」を考案し、その味を守り続けているのだとか。
▲2時間じっくりと炊いて味を浸透させる
「魚は頭が一番おいしいんですよ。特に目の裏の部分は最高ですよ」と店主の久保栄次さんは言います。でも「ちょっと食べにくいのでは?」と心配している人も多いかもしれませんね。そこで、久保さんに「びんた料理」の食べ方を教えていただきました。
まずは、カツオの頭とホホの部分についている鱗を落とします。カツオの鱗は大きいので、箸でめくるとペリっときれいに剥がれます。鱗を落としたら、身が多い背の部分から箸でほぐしていくと食べやすいです。でも、「両手で『びんた』を持ってかぶりつくお客さんもいますよ」と久保さん。豪快な料理だからこそ、豪快な食べ方もアリなんですね。

久保さんおすすめの目の裏の部分は、コラーゲンたっぷりでプルンとした食感がたまりません。しかも、「びんた」の隅々まで甘い味噌の味がしっかりと染みていて、生臭さはまったく感じません。
▲「鰹びんた定食」に付いているカツオの塩辛
「鰹びんた定食」には、カツオのタタキやカツオの腹皮(マグロで言うとトロの部分)の天ぷら、カツオの塩辛も付いています。中でもカツオの塩辛は、焼酎にも白ご飯にもぴったりな枕崎のソウルフード。プニっとした食感と磯の香りがたまりません。

「ぶえんカツオ」の「ぶえん」って?

▲ぶえん鰹丼(税込907円)
次にご紹介するのは「ぶえん鰹丼」。「ぶえん」とは「新鮮」という意味。冷凍保存できなかった時代は、鮮度を保つためにカツオに塩を振っていたそうです。「ぶえん」とは「無塩」、つまり塩を振る必要がないほど新鮮ということなのです。

ご飯の上に敷き詰められた鮮度抜群の「ぶえんカツオ」をゴマやネギなどたっぷりの薬味やトロロ、温泉卵と一緒にかき混ぜていただきます。ルビー色に輝く「ぶえんカツオ」の身は、一瞬マグロと間違ってしまうほど美しく、濃厚な味わい。思わずかきこみたくなってしまう丼でした。
▲「なにわ」のカウンター
「カツオは安い上に捨てるところがない、素晴らしい魚。新鮮なカツオは臭みがまったくないので、県外のお客さんにもよく驚かれますよ」と久保さん。そんな久保さんのカツオへの愛情がたっぷり込められた「なにわ」のカツオ料理を、ぜひ楽しみに来てください。

最高級の本枯れ節が香る、枕崎の新・ご当地グルメ

▲「枕崎鰹船人めしSP」(税込880円)
続いて向かったのは、カツオを使ったご当地グルメを楽しめるお店「だいとく」です。こちらのメニューは、「枕崎鰹船人(ふなど)めし」の進化版「枕崎鰹船人めしSP(スペシャル)」。丼に鰹節の最高級品「本枯れ節」でとったダシをかけていただくお茶漬けのような料理です。

「枕崎鰹船人めし」は、鹿児島県商店街グランプリ「Show-1GP」に参加するために、「枕崎市通り会連合会」が考案したご当地グルメ。同大会で2011年、2012年と2年連続でグランプリに輝き、2013年には殿堂入りを果たした大人気メニューなんです。そして、商品開発の際、中心的役割を果たしたのが「だいとく」の店主・川平泰徳(やすのり)さんです。
「枕崎鰹船人めし」は、現在市内の9店舗で提供されています。「枕崎産の本枯れ節をダシに使い、カツオの切り身と枕崎産鰹節をトッピングすること」が本メニューのルール。これらの条件を満たした上で、各店舗が趣向を凝らしたオリジナルの「枕崎鰹船人めし」をつくっているのです。

「だいとく」の「枕崎鰹船人めしSP」は、枕崎茶を使った茶飯の上に鰹節、錦糸卵、刻み海苔、梅干し、サイコロ状のカツオのヅケ、あられなどがトッピングされています。
さらに、カツオせんべいやゴマとマヨネーズであえたサイコロ状のカツオ、鰹節も別皿で付いてきます。「別のお皿にトッピングされている具材は、そのまま食べてもいいし、途中で丼に入れて食べてもおいしいですよ」と川平さん。

注目すべきは、後乗せする鰹節。丼に最初から入っている鰹節は一般的な「荒節」ですが、こちらは「本枯れ節」。カビ付けされている「本枯れ節」を後乗せすることで、鰹本来の旨みがアップするんです。

ボリュームたっぷりに見えますが、そのまま飲みたくなるほどおいしいカツオダシのおかげでスルスルといただけますよ。

枕崎にはカツオのご当地グルメがいっぱい!

▲昆鰹(コンカツ)枕崎鰹大トロ丼(税込800円)
新・ご当地グルメはまだまだあります。こちらはカツオの腹皮の竜田揚げに、枕崎産の鰹節と北海道・稚内産の利尻昆布入りの甘辛いタレを絡ませて乗せた「昆鰹枕崎鰹大トロ丼」。こちらは、JRの日本最北端の終着駅がある北海道稚内市と最南端の終着駅がある枕崎市が共同で行う「コンカツプロジェクト」の一環として開発されたメニューなのだそう。
「昆布」と「鰹」で「コンカツ」。このメニューには、「双方のグルメが良い出会いのきっかけになれば」との思いが込められています。

カツオの部位の中で最も脂が乗った希少な腹皮を贅沢に使った「昆鰹枕崎鰹大トロ丼」は、カツオをガッツリ楽しみたい人におすすめです。
▲かつおラーメン(税込750円)
最後にご紹介するのがこちらの「かつおラーメン」です。本枯れ節でダシをとった上品な味わいのスープは、試行錯誤を経て完成した川平さん渾身の作。チャーシュー代わりに乗っているのは、カツオのヅケとヅケの天ぷらです。発売から10年が経った現在は、セットメニューも登場するほどの定番人気メニューなんですよ。あっさりとしているので、女性にもおすすめです。

メディアにもたびたび登場する「だいとく」には、地元客はもちろんのこと、県内外からもたくさんのお客さんが訪れます。人気メニューも常時見直して、更なるおいしさを追求する川平さん。そんなひたむきな姿勢が、「だいとく」の人気の秘密なのかもしれません。

ゴールデンウィークにはスタンプラリーを実施

▲市内のあちこちで鰹節工場の煙突から煙が立ち上る光景を見ることができる
日本が世界に誇る食材「鰹節」。その一大産地・枕崎市には、新旧さまざまなカツオ料理があります。そんなバラエティ豊かなカツオ料理に親しんでもらおうと、枕崎市では、2016年3月18日から5月15日まで、「第9回枕崎ぶえん鰹スタンプラリー」を実施するそう。加盟している飲食店や宿泊施設、お土産店で押してもらえるスタンプを3つ集めて応募すると、抽選で焼酎などのプレゼントが当たるこのイベントも要チェックですよ。

枕崎は、ご当地グルメの宝庫。今回ご紹介しきれなかったご当地料理もまだまだありますので、ぜひ遊びに行ってみてくださいね。
さわだ悠伊

さわだ悠伊

鹿児島市出身・在住のフリーライター。グルメ、旅、コラム等ジャンルや媒体を問わず活動中。鹿児島県内の離島取材も豊富。

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