何度でも通いたくなる「沖縄美ら海水族館」。美ら海を歩いてまわる海底散歩

2016.03.07

沖縄観光の名所「沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館」。カラフルな熱帯魚が泳ぐサンゴ礁域を再現した水槽や、ジンベエザメやマンタが悠々と泳ぐ巨大水槽など、展示内容がますます充実した見どころ満載の水族館を訪れた。

「沖縄美ら海水族館」は、那覇空港から車で約2時間(高速道路使用)、沖縄本島北部の本部(もとぶ)半島にある人気スポットだ。はじまりは昭和50(1975)年に開催された沖縄国際海洋博覧会にさかのぼり、その施設を引き継ぐ形で水族館が開館。老朽化のため一度閉館したのちに、2002年に現在の水族館としてリニューアルオープンした。以来、沖縄の人気観光地となり、年間270万人以上の観光客が訪れるという。

観光客はもちろんウチナーンチュ(沖縄の人)にも愛される「沖縄美ら海水族館」にはリピーターも多く、何を隠そう筆者もそのひとりである。

なぜ何度でも行きたくなるほどに惹かれるのか。その魅力に迫った。
▲海洋博公園の風景(写真提供:海洋博公園)

水族館だけじゃない。海洋博公園の見所

「沖縄美ら海水族館」の名で知れ渡っているスポットだが、実は、水族館は海洋博公園内にある施設のひとつ。水族館を訪れる前に、無料で楽しめる園内の見所を紹介する。

まずは景観。公園から眺める海は青々と輝き、島人たちに「タッチュー」と呼ばれる伊江島のとんがり山を望むことができる。

そして欠かせないのが、オキゴンドウやミナミバンドウイルカたちのショーが繰り広げられる「オキちゃん劇場」である。実は、ウチナーンチュにとっては、「沖縄美ら海水族館」よりも、「オキちゃん劇場」のイルカショーのほうが親しみ深い。なぜなら、主役を務めるオキちゃん(ミナミバンドウイルカ)は、1975年の沖縄国際海洋博覧会時代から活躍を続ける大ベテラン。幼心をときめかせた初代オキちゃんが、現在も現役でがんばっているのだ。
▲初代のオキちゃんを含む6頭のイルカが活躍する「オキちゃん劇場」(写真提供:海洋博公園・オキちゃん劇場)

約20分間のショーでは、オキちゃんを含む6頭(2016年1月現在)のイルカが陽気な沖縄民謡に合わせて歌声やダンスを披露。観客席に水しぶきが飛ぶダイナミックなイルカジャンプなどがたっぷり楽しめる。劇場は屋外だがカミナリや台風でもない限り、ショーはほぼ毎日開催されているので、ぜひ立ち寄ってほしい。

無料で楽しめる施設は、ほかにも「ウミガメ館」「マナティー館」などがあり、それだけをまわったとしても、かなりの充実感が得られる。
▲「ウミガメ館」のウミガメたち

深く深く、潜っていく美ら海体験へ

さて、無料施設を楽しんだあとは、いよいよ水族館へ。「沖縄美ら海水族館」では、沖縄の魅力である「海」を3つのエリアに分けて展示。サンゴと熱帯魚がメインの「サンゴ礁への旅」から始まり、巨大水槽のなかでジンベエザメが泳ぐ「黒潮への旅」、見たこともない生物がいる「深海への旅」へと続く館内は、深い海に歩いて潜っていくような感覚が味わえる。
▲タッチプールでヒトデやナマコにそっとタッチ

まずは浅瀬から海の中へ。沖縄の方言で「サンゴ礁に囲まれた浅い海(礁池)」を「イノー」という。「イノーの生き物たち」(タッチプール)で、ヒトデやナマコに恐る恐る触れてみる。ざらざらとした生き物たちの感触を得て、次は「サンゴの海」と「熱帯魚の海」へ。
▲熱帯魚が色鮮やかな「熱帯魚の海」

約70種800群体の造礁サンゴを展示している「サンゴの海」とカラフルな熱帯魚が泳ぐ「熱帯魚の海」の2つの水槽は水面がきらきらと光っている。それもそのはず、これらの水槽には屋根がなく、本物の太陽光を取り込むことで沖縄周辺に広がるサンゴ礁の海を再現しているという。
▲「サンゴ礁への旅 個水槽」エリアでは、可愛らしいチンアナゴやクラゲなども展示

「サンゴ礁への旅 個水槽」エリアでは、サンゴ礁に生息する様々な生き物が大小30点の個水槽で紹介されているほか、「水辺の生き物たち」エリアでは、ヤシガニ、オオウナギなど、沖縄の淡水域に生息する生き物も展示されている。

さて次は、お待ちかねの巨大水槽で回遊魚たちがダイナミックに泳ぐ「沖縄美ら海水族館」の目玉エリア、「黒潮の海」へ。

「黒潮の海」は容量7,500立方メートルもある巨大水槽で黒潮の海を再現している。厚さ60cmもあるというアクリルガラスを使用した水槽のなかで、巨大なジンベエザメ3匹に、マンタ、エイ、アカシュモクザメなど、いろいろな魚たちが悠々と泳ぎ回る姿は、口をぽかんと空けたまま時間を忘れて見とれてしまう。
▲ジンベエザメが泳ぐ巨大水槽「黒潮の海」

ちなみに、「沖縄美ら海水族館」は世界ではじめてジンベエザメとマンタの複数飼育に成功した。ここでは、そんなジンベエザメたちをいろんな角度から楽しませてくれる。

正面から楽しむなら1日2回の水槽解説の時間か、15時と17時にあるジンベエザメの給餌解説の時間がおすすめだ。餌を食べるときには口を水面に向け、ほぼ垂直の立ち泳ぎになるジンベエザメ。1日分で約30キロのオキアミを100リットルの海水とともに吸い込んで食べる姿は圧巻である。
▲アクアルームからジンベエザメを見上げる
▲ジンベエザメを水槽の上から眺める黒潮探検(水上観覧コース)もおすすめ

下から見るなら、巨大水槽の脇にある「アクアルーム」から。階段部分に座ってゆったりとアクリルの天井を眺めれば、ぬっとジンベエザメやマンタの影が通りすぎていく様子を見ることができる。

巨大水槽のなかには、ジンベエザメのほかにも気になる生き物がちらほら。2015年12月に登場したばかりのブラックマンタは、日本初の展示。ほかのマンタと異なり全身真っ黒のマンタは1匹だけ。どこにいるのか探してみたい。
▲見つけたら良いことがある?ブラックマンタ
▲軽食をいただきながら黒潮の海に酔いしれる

何時間でも眺めていたくなる「黒潮の海」をゆっくり眺めるなら、隣接するカフェ「オーシャンブルー」へ。軽食を楽しみながら、思う存分海の世界に想いを馳せることができる。

さて、海中の世界にすっかりはまったころ、最後のエリア「深海への旅」に足を踏み入れる。ここでは、太陽の光が届かない真っ暗な世界で生きる生き物たちが迎えてくれる。
▲青白く浮かびあがるダイオウイカの標本

水温・圧力などが大きく異なる深海は、光の届かない静かな世界。深海エリアでは、そんな特殊な環境を棲処とする生き物を見ることができる。
ちなみに、深海から釣り上げられる深海生物には、圧力の違いから目や胃袋が飛び出た状態で水面まで上がってくるものもいるらしい。本来であれば、深海と同じ環境を作り出さなければ生きていけない彼らだが、「沖縄美ら海水族館」では加圧水槽という特別な圧力をかけられる水槽で深海と異なる環境でも飼育できるように慣らした後、展示しているという。
▲ぎょろっとした目玉が特徴の深海魚・オキナワクルマダイ(写真提供:海洋博公園・沖縄美ら海水族館)

謎に包まれた深海生物たちは、一体どんな環境でくらしているのだろう。そう思ったら、実際に深海生物がくらす深海600m付近の「水温」を体感できる「ポケット水槽」に触れてみよう。
▲温暖な沖縄の海でも、深海は冷んやり(写真提供:海洋博公園・沖縄美ら海水族館)

沖縄の太陽がサンサンと降り注ぐ浅瀬の海から、冷んやりとした深海の世界まで歩いてきたところで、美ら海の旅は終了となる。
▲出口にあるお土産ショップにはジンベエザメのぬいぐるみ(キャラクタージンベエザメMサイズ 2,345円・税込)などグッズが盛りだくさん

「沖縄美ら海水族館」の水槽には、目の前に広がる「美ら海」からの海水が絶えず供給されているからか、生き物たちも生き生きとした姿を見せてくれる。

館内には、親子で楽しめるクイズ形式の展示も多く、生き物たちの特徴を教えてくれる案内看板も一つひとつが面白い。浅瀬から深海までをめぐる美ら海体験には、1日では覚えきれない情報が詰まっている。

ひとりでゆったり楽しむにも、家族みんなで楽しむにもぴったりの「沖縄美ら海水族館」は、やはり何度でも訪れたくなる魅力的な場所だ。
山野かもめ

山野かもめ

文筆家。地域をめぐりながら紀行文を執筆。得意な分野はグルメや伝統芸能など。自然や健康好きだが運動音痴。

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