何度でも通いたくなる「沖縄美ら海水族館」。美ら海を歩いてまわる海底散歩
沖縄観光の名所「沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館」。カラフルな熱帯魚が泳ぐサンゴ礁域を再現した水槽や、ジンベエザメやマンタが悠々と泳ぐ巨大水槽など、展示内容がますます充実した見どころ満載の水族館を訪れた。

観光客はもちろんウチナーンチュ(沖縄の人)にも愛される「沖縄美ら海水族館」にはリピーターも多く、何を隠そう筆者もそのひとりである。
なぜ何度でも行きたくなるほどに惹かれるのか。その魅力に迫った。

水族館だけじゃない。海洋博公園の見所
まずは景観。公園から眺める海は青々と輝き、島人たちに「タッチュー」と呼ばれる伊江島のとんがり山を望むことができる。
そして欠かせないのが、オキゴンドウやミナミバンドウイルカたちのショーが繰り広げられる「オキちゃん劇場」である。実は、ウチナーンチュにとっては、「沖縄美ら海水族館」よりも、「オキちゃん劇場」のイルカショーのほうが親しみ深い。なぜなら、主役を務めるオキちゃん(ミナミバンドウイルカ)は、1975年の沖縄国際海洋博覧会時代から活躍を続ける大ベテラン。幼心をときめかせた初代オキちゃんが、現在も現役でがんばっているのだ。

約20分間のショーでは、オキちゃんを含む6頭(2016年1月現在)のイルカが陽気な沖縄民謡に合わせて歌声やダンスを披露。観客席に水しぶきが飛ぶダイナミックなイルカジャンプなどがたっぷり楽しめる。劇場は屋外だがカミナリや台風でもない限り、ショーはほぼ毎日開催されているので、ぜひ立ち寄ってほしい。
無料で楽しめる施設は、ほかにも「ウミガメ館」「マナティー館」などがあり、それだけをまわったとしても、かなりの充実感が得られる。

海洋博公園
沖縄県国頭郡本部町字石川424番地
[開園時間]3~9月 8:00~19:30、10~2月 8:00~18:00
[休園日]12月の第1水曜日とその翌日
[オキちゃん劇場]
イルカショー(所要約20分):11:00、13:00、14:30、16:00 ※17:30(4月~9月のみ)
ダイバーショー(所要約15分):11:50、13:50、15:30
※園内に有料施設有。各施設の開館時間など、詳しくはHPをご覧ください。
0980-48-2741
深く深く、潜っていく美ら海体験へ

まずは浅瀬から海の中へ。沖縄の方言で「サンゴ礁に囲まれた浅い海(礁池)」を「イノー」という。「イノーの生き物たち」(タッチプール)で、ヒトデやナマコに恐る恐る触れてみる。ざらざらとした生き物たちの感触を得て、次は「サンゴの海」と「熱帯魚の海」へ。

約70種800群体の造礁サンゴを展示している「サンゴの海」とカラフルな熱帯魚が泳ぐ「熱帯魚の海」の2つの水槽は水面がきらきらと光っている。それもそのはず、これらの水槽には屋根がなく、本物の太陽光を取り込むことで沖縄周辺に広がるサンゴ礁の海を再現しているという。

「サンゴ礁への旅 個水槽」エリアでは、サンゴ礁に生息する様々な生き物が大小30点の個水槽で紹介されているほか、「水辺の生き物たち」エリアでは、ヤシガニ、オオウナギなど、沖縄の淡水域に生息する生き物も展示されている。
さて次は、お待ちかねの巨大水槽で回遊魚たちがダイナミックに泳ぐ「沖縄美ら海水族館」の目玉エリア、「黒潮の海」へ。
「黒潮の海」は容量7,500立方メートルもある巨大水槽で黒潮の海を再現している。厚さ60cmもあるというアクリルガラスを使用した水槽のなかで、巨大なジンベエザメ3匹に、マンタ、エイ、アカシュモクザメなど、いろいろな魚たちが悠々と泳ぎ回る姿は、口をぽかんと空けたまま時間を忘れて見とれてしまう。

ちなみに、「沖縄美ら海水族館」は世界ではじめてジンベエザメとマンタの複数飼育に成功した。ここでは、そんなジンベエザメたちをいろんな角度から楽しませてくれる。
正面から楽しむなら1日2回の水槽解説の時間か、15時と17時にあるジンベエザメの給餌解説の時間がおすすめだ。餌を食べるときには口を水面に向け、ほぼ垂直の立ち泳ぎになるジンベエザメ。1日分で約30キロのオキアミを100リットルの海水とともに吸い込んで食べる姿は圧巻である。


下から見るなら、巨大水槽の脇にある「アクアルーム」から。階段部分に座ってゆったりとアクリルの天井を眺めれば、ぬっとジンベエザメやマンタの影が通りすぎていく様子を見ることができる。
巨大水槽のなかには、ジンベエザメのほかにも気になる生き物がちらほら。2015年12月に登場したばかりのブラックマンタは、日本初の展示。ほかのマンタと異なり全身真っ黒のマンタは1匹だけ。どこにいるのか探してみたい。


何時間でも眺めていたくなる「黒潮の海」をゆっくり眺めるなら、隣接するカフェ「オーシャンブルー」へ。軽食を楽しみながら、思う存分海の世界に想いを馳せることができる。
さて、海中の世界にすっかりはまったころ、最後のエリア「深海への旅」に足を踏み入れる。ここでは、太陽の光が届かない真っ暗な世界で生きる生き物たちが迎えてくれる。

水温・圧力などが大きく異なる深海は、光の届かない静かな世界。深海エリアでは、そんな特殊な環境を棲処とする生き物を見ることができる。
ちなみに、深海から釣り上げられる深海生物には、圧力の違いから目や胃袋が飛び出た状態で水面まで上がってくるものもいるらしい。本来であれば、深海と同じ環境を作り出さなければ生きていけない彼らだが、「沖縄美ら海水族館」では加圧水槽という特別な圧力をかけられる水槽で深海と異なる環境でも飼育できるように慣らした後、展示しているという。

謎に包まれた深海生物たちは、一体どんな環境でくらしているのだろう。そう思ったら、実際に深海生物がくらす深海600m付近の「水温」を体感できる「ポケット水槽」に触れてみよう。

沖縄の太陽がサンサンと降り注ぐ浅瀬の海から、冷んやりとした深海の世界まで歩いてきたところで、美ら海の旅は終了となる。

「沖縄美ら海水族館」の水槽には、目の前に広がる「美ら海」からの海水が絶えず供給されているからか、生き物たちも生き生きとした姿を見せてくれる。
館内には、親子で楽しめるクイズ形式の展示も多く、生き物たちの特徴を教えてくれる案内看板も一つひとつが面白い。浅瀬から深海までをめぐる美ら海体験には、1日では覚えきれない情報が詰まっている。
ひとりでゆったり楽しむにも、家族みんなで楽しむにもぴったりの「沖縄美ら海水族館」は、やはり何度でも訪れたくなる魅力的な場所だ。
沖縄美ら海水族館
沖縄県国頭郡本部町字石川424番地(海洋博公園内)
[営業時間]10~2月8:30~18:30、3~9月8:30~20:00
※入館は閉館時間の1時間前まで。
[料金]大人一般1,850円(1,290円)、高校生1,230円(860円)、
小・中学生610円(430円)
※( )内は16:00以降入館の料金。すべて税込。
[休館日]12月の第1水曜日とその翌日。
※詳しくはHP をご覧ください。
0980-48-3748

山野かもめ
文筆家。地域をめぐりながら紀行文を執筆。得意な分野はグルメや伝統芸能など。自然や健康好きだが運動音痴。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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