「函館西部地区バル街」異国情緒溢れる街ではしご酒!

2016.04.14

歴史的建造物や教会が数多く点在する函館の旧市街を舞台にした、「函館西部地区バル街」。異国情緒溢れる函館の街並みを眺めながら、函館西部地区のさまざまな店を訪ね、ピンチョーと呼ばれる各店自慢のおつまみとお酒を食べ・飲み歩くイベントです。古い商家を改装したカフェをはじめ、趣がある建物の飲食店を巡ることができるほか、普段は入ることができない歴史的建造物も特別公開されます!2016年は、4月22日(金)と9月4日(日)に開催されますよ。

▲「バル街」のチケットを取り扱う店のひとつ、はこだて工芸舎(旧梅津商店)(写真提供:函館西部地区バル街実行委員会)
▲100年以上前に建てられた元商店を2014年にリノベーション、「バル街」の時のみオープンする「港の庵(いおり)」に並ぶ人たち。通常は会員制のコミュニティースペースなので、一般の人が入れるのは「バル街」の時だけ!(写真提供:函館西部地区バル街実行委員会)

「バル街」の発祥は函館

チケット制の飲み歩き、バル街イベントは近年日本各地で開催されていますが、その発祥はここ、函館の西部地区です。

バル街が誕生したきっかけは、2004年2月に函館市内で開催された「スペイン料理フォーラム」というスペイン料理の国際会議。市内でスペイン・バスク料理のレストラン「レストラン・バスク」のオーナーシェフ深谷宏治(ふかやこうじ)氏を中心に、スペイン料理の文化を世の中に広めようと企画したイベントです。
▲日本でのバスク料理の第一人者であり、バル街の発案者として知られている、「レストラン・バスク」のオーナーシェフ深谷宏治氏にお話を伺いました


「この時は、国内外からスペイン料理をはじめフレンチや中華などのシェフや料理研究家が集まりました。2日間にわたり、会議だけではなく、料理講習会や試飲会、フラメンコライブなどを開いたのです。ただ、話し合いや学びばかりだと疲れてしまいますよね」

さらに、会議前日には、前夜祭として「西部地区で一晩のバル街を」という催しを開いたそうです。

「スペインのバスク地方でバルが連なる中を巡り歩く雰囲気や楽しさを再現したいと思いましてね。そこで、歴史的建造物や文化的施設が数多く立ち並ぶ西部地区のお店に一軒一軒呼びかけて開催したのです」
▲前夜祭の様子。「ビヤバー山下」前に集まる参加者(写真提供:函館西部地区バル街実行委員会)

これが、バル街のはじまりです。
西部地区の25店舗が参加し、会議参加者のほか市民も集まって、約430名もの人たちが一夜限りの飲み歩きを楽しんだそうです。
▲前夜祭の様子。「カフェやまじょう」の店内(写真提供:函館西部地区バル街実行委員会)

趣のある街並みを飲み歩く企画は大好評!またやってほしいという声が多数寄せられたことから、「函館西部地区バル街実行委員会」が作られ、毎年春と秋に開催することになりました。
「バル街」は、人と人とが気軽に交流できる機会でもあり、街をじっくり見直す機会にもなると評判になり、これが全国各地に拡大。チケット制で地域内の飲食店を巡るイベントが各地で開かれるようになりました。

まずは「函館西部地区バル街」のチケットをゲット

25回目の開催となる2016年4月22日(金)は、74軒ものお店が参加します。
「バル街」を楽しむには、まず「バル街チケット」を手に入れる必要があります。前売券(3,500円・税込)は市内の一部店舗やインターネットにて購入することができますが、売切れになった場合は当日券(4,000円・税込)を購入することになります。
▲当日券は、西部地区にある「函館市地域交流まちづくりセンター」1階で販売(写真提供:函館西部地区バル街実行委員会)

5枚で1セットの「バル街チケット」。1枚のチケットで、ピンチョー1品+ドリンク1杯と交換できます。

ピンチョーとはスペイン語で楊枝の意味。楊枝でつまむような、ひと口かふた口で食べられるおつまみのことです。焼き物もあれば、揚げ物、ハムなど、種類や内容はお店によりさまざま。これでおつまみ!?と思ってしまうほどボリューム満点の料理を出すお店もあります。
1店で5枚使ってしまってもよいのですが、せっかくの街歩きイベント。少しでも多くのお店をはしごしてみましょう。

もしもチケットが余った場合は、「バル街」翌日から6日間を「あとバル」と称し、一部の店舗で特定のメニューや商品購入などの支払いに使うことができます。
逆に「バル街」当日にチケットが足りない場合は、1枚(800円・税込)から追加購入することも可能です。ただし販売枚数は限られているので、売切れ御免です。
▲「バル街」開催日の「函館市地域交流まちづくりセンター」前。毎回、多くの人たちがチケットを求めてここに並ぶのです!(写真提供:函館西部地区バル街実行委員会)

元教会のフレンチレストラン「Le climat HAKODATE」も会場の一つ

「バル街」に参加しているお店はスペイン料理店に限らず、フレンチや中華、和食などジャンルは多彩。お店の規模も大小さまざまです。

参加店の中には、お店の建物自体が絵になるところも数多くあります。たとえばこちらは、教会を改装したフレンチレストラン、「Le climat HAKODATE(ル クリマ ハコダテ)」。(※2016年11月に閉店)
▲趣のある建物が並ぶ街中にお店があります

函館市電の十字街電停や「函館市地域交流まちづくりセンター」から歩いて3分程度、二十間坂やハリストス正教会など観光名所からほど近い場所にお店があります。
▲元教会というだけあり、お店の中は高級感だけではなく荘厳な雰囲気も感じます

店名の「Le climat」はフランス語で「風土」を意味する言葉。シェフの関川氏は、地元の農畜産物の生産者を訪ねて素材が育った風土を感じ、それを一皿の上に再現していると言います。
▲コース料理の一品、北海道知内(しりうち)町産の天然タイ。知内町産のニラソースと季節の野菜を添えて

普段はフレンチのコース料理のみを提供していますが、「バル街」の時にはコース料理はお休み。店内が立食スタイルになり、前菜・スープ・メインを一つの皿に盛った料理がピンチョーのひと品として登場する予定です(内容が変更になる場合もあります)。
「バル街では日々のメニューとは全く違う料理を出しますが、根底の考え方は一緒。新たな郷土料理です」
関川氏はそう語ります。
▲通常のコース料理は、ランチ2,500円(税込)~、ディナー5,500円(税込)~で楽しめます

異国情緒たっぷりのレストランで味わう、北海道南部の風土を感じるフレンチ。「バル街」で登場するワンプレート料理はどんなメニューになるのでしょうかね、楽しみ!
ちなみに、「バル街」の時は毎回、店先に500人近く並び、開始から2時間程度で売切れるという人気ぶり。訪れる時はお早目に!

国の重要文化財を再利用した「TACHIKAWA CAFE Restaurant Maison」でボリューミーなピンチョーを

佇まいが素敵なお店はほかにも。
こちらは、国の重要文化財「太刀川家住宅店舗」を再利用したカフェ、「TACHIKAWA CAFE Restaurant Maison(太刀川カフェ)」です。
▲明治34(1901)年に建てられた土蔵造りの関西風商家で、函館の観光名所としても有名(写真提供:函館西部地区バル街実行委員会)

「函館市地域交流まちづくりセンター」から歩くと15~20分近くかかるので、函館市電の十字街電停から2つ目の大町電停まで市電で移動するのが便利。大町電停からは歩いて約3分です。

函館西部地区の中では端のほうに位置しているため、「バル街」では各店を巡り歩きながら最後にこの店を目指す人が多いそうです。中にははじめからこの店を訪れ、そのまま居ついてしまう人も少なくないのだとか。ここでは、そんな人たちのために、立食ではなく着席スタイルで展開。ピンチョーはややボリューミーなものを用意しているそうですよ。
▲店先にもテーブルと椅子が並びます(写真提供:函館西部地区バル街実行委員会)

「バル街」で登場するピンチョーはその日限りのオリジナルメニューなので、取材時にお店に行って同じものを食べることはできませんでした。ただ、ピンチョーで登場するメニューが入ったランチセットがありました。それがこちら!
▲ランチセットの「鹿の網焼きステーキ」(1,700円・税込、ドリンクは別途500円・税込~)

メインディッシュは、網焼きしたエゾ鹿のモモ肉に、ほうれん草のソテーやクスクスなどを添えた一皿。ハンターでもあるシェフがじっくりと焼いた鹿肉は臭みがなく、とても柔らかい食感です。お肉にかかるトマトソースにはケッパーやピクルスが入っていて、軽い刺激がある味わい。
自家製のパンも人気があり、このパンをテイクアウトで買って帰る方も多いのだとか。
▲この日のオードブルは、ムラサキキャベツやキュウリのサラダに、アボカドのディップを添えたバゲットとハム、クスクスのサラダ、マメイカのトマト煮

ランチメニューのお肉は2枚ですが、「バル街」の時は1枚にして提供しているそうです。チケット1枚は前売券なら700円相当、ドリンクが1杯つくことを考えると、おつまみであるピンチョーにしてはちょっと大盤振る舞いでは!?嬉しい限りですね。
▲「バル街」の時はお肉が1枚に。それでもかなりお得です

「バル街」ではほかにも、ボタンエビ(3尾)の踊り食いも出すそうです。お皿の上で跳ねるボタンエビに、レモンや塩、醤油など好みの調味料をかけて食べるという豪快なメニュー。毎回これを目当てに訪れる人も多いのだとか。
▲店内は重厚な造りでゆったりとした雰囲気

一歩お店の中に入ると落ち着いた雰囲気で、はしごせずにこのまま居ついてしまいたくなる気持ちもわかります。こちらのお店も大人気で、毎回数百人の方々が訪れるそうですよ。

「旧ロシア領事館」など、普段は入れない歴史的施設にも入れます!

「バル街」の会場は、すべて飲食店というわけではありません。その一つがこちら、「旧ロシア領事館」。函館市電の大町電停から歩いて10分少々、函館山山麓に向かって伸びる幸坂(さいわいざか)を上りきった近くにあります。
▲明治41(1908)年に建てられた白い漆喰と赤レンガの外壁の洋館に和風の意匠も見られる建物で、日本で唯一残る帝政ロシア時代の建築物です

通常は中に入れず、外から眺めることしかできませんが、なんと「バル街」の時だけ中に入ることができるのです! しかも、一日限りのライブハウスに変身!
▲以前開催された時の入口の様子

2015年秋に開催された時のピンチョーは、ロシアの焼肉料理「シャシリク」などがふるまわれ、建物内でピアノの生演奏がありました。
この4月の「バル街」ではどんな料理が出てくるのでしょうね?
館内にはジャズの音色が響き渡るそうですよ。お楽しみに!

元青函連絡船が会場になることも

函館駅のすぐ近く、函館湾に浮かぶ、函館市青函連絡船記念館摩周丸。ここも今まで定期的に「バル街」の会場になっていました(2016年春は船体整備の都合上、バル街には参加しません。通常営業はしています)。
▲撮影スポットの定番、八幡坂から眺めた函館市青函連絡船記念館摩周丸

館内には青函連絡船にまつわる資料が展示されているほか、操舵室や客室など往時の設備が残っていて、じっくり見学することができます。
▲青函連絡船の模型も展示。窓側には実際に使われていた座席が残されていて、座ることができます

船首付近には喫茶コーナー「ニュー サロン海峡」があり、コーヒーや紅茶、アイスクリームなどの飲食ができます。
「バル街」の時は、この喫茶コーナーが会場に。チョリソイベリコなどの5種盛りと木苺ジャムをかけたアイスのセットが登場した時もあれば、行列ができる函館の人気ラーメン店「星龍軒」のハーフラーメンとオードブルのセットが登場した時も。
▲「バル街」開催時の様子。船首部分は眺望がよく、海や函館山を眺めながら飲食できます

入館するには入館料(大人500円、小学生・中学生・高校生250円・税込)が必要ですが、「バル街」参加の時は、入口で「バル街」チケットを見せると引換券を渡され、そのまま入ることができたそうです。
館内の見学ができるうえ、実質200円か300円で飲食できる計算になるため、これはかなりお得!今後また復活して「バル街」に参加する時を狙いましょう。
ここで紹介した以外にも、素敵なお店や今回の「バル街」の時だけしか楽しめない注目スポットがまだまだたくさん!
たとえば、築90年の赤レンガ倉庫を使ったボルダリングのジムがこの日限定でカフェとして参加するほか、観光名所でもある「金森赤レンガ倉庫」にある金森ホールでは、北海道新幹線開業を機に交流が深まる青森県などの飲食メニューが特別に登場しますよ。

観光スポットとして大人気な函館西部地区が、普段とは違う顔を見せる一夜限りのイベント。異国情緒溢れる函館の街並みを楽しみながら、お店をはしごして飲み歩きしませんか?
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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