冬の味覚・あんこうを糸魚川で味わいつくす!「糸魚川荒波あんこうフェア」

2016.02.19

新潟県の西端に位置し、豊富な海の幸をもたらす日本海に面した糸魚川市。東西日本の文化が交わり、多様な食文化が育まれてきたこの地方は、古くからあんこう料理が根付いています。食べごろの毎年1月から3月には、刺身、唐揚げ、あん肝などの料理が存分に堪能できる「糸魚川荒波あんこうフェア・あんこう祭り」が開催されます。もっとも美味しいこの時期に味わいたい、あんこう料理の魅力を取材してきました。

▲2015年に開通した北陸新幹線の停車駅でもある糸魚川駅。関東からも足を運びやすくなりました

身が締まり、味わい深い糸魚川の荒波あんこう

豊富な漁場として知られる富山湾と接する新潟県糸魚川(いといがわ)市。水深が深く、荒波が速度を緩めることなく沿岸部に押し寄せる富山湾は、多様な生態系を生み出すとともに、豊かな食文化を育んできました。

あんこうもそのひとつ。糸魚川で水揚げされるあんこうは、「キアンコウ」といって、その中でも10kgを超える大物を「荒波あんこう」と呼びます。

厳しい環境で育った荒波あんこうは、身が締まり、味わいが深くなるのだとか。
▲糸魚川の七つの漁港で水揚げされる荒波あんこう

「あんこうの七つ道具」

あんこうは可食部分が多い魚としても知られ、身だけでなくキモや皮、エラなど、ほとんどの箇所を食べることができます。それらの各部位は、俗に「あんこうの七つ道具」と呼ばれ、日本各地で昔から食べられてきました。

絶好の漁場と港を持ち、美味しいあんこうが昔から食べられてきた糸魚川は、あんこう料理が家庭料理として出るほど親しまれてきました。時を経て、糸魚川の郷土料理として定着しています。

「糸魚川荒波あんこうフェア」は、糸魚川市内の旅館・飲食店など34店舗が参加して行われる冬の人気イベント。

あんこうの七つ道具をあますところなく使った伝統的な食べ方から、現代風の食べ方まで様々な料理が堪能できます。

今回は、その中から3軒のお店をピックアップしてご紹介します。

身も心も温まるあんこう鍋「居酒屋源兵衛」

まずは、糸魚川駅前にある「居酒屋源兵衛」をご紹介。奥さんとの二人三脚でお店を切り盛りする店主の石坂良雄さんは、料理人歴50年以上の大ベテラン。

あんこうフェアで提供されるのは「あんこう鍋」です。
▲「あんこう鍋」1,200円(税込)※要予約2名~

あんこう鍋のほか、サラダや天ぷら、茶碗蒸しなども付いてくるセットメニューです。
こちらは白味噌のスープ仕立てで、たっぷりの野菜とともに頂くあんこう鍋。あんこうから美味しい出汁が出ています。
写真左手前から「ぬの」と呼ばれる卵巣、肝、そしてヒレ。ぷるぷるしたタンパク質は、煮こまれていてもそのまま!独特の食感は、煮込んでもまた美味しいです。
店主・石坂さんオススメは「ヒレ」。骨についたタンパク質が、実に濃厚な味。「しゃぶると、思っている以上に隅々まで食べられますよ」と石坂さん。流石、あんこうの七つ道具。硬い骨の部分以外はほとんど食べられました!
あんこう鍋だけでなく、セットに付いている天ぷらもオススメ。珍しい「もずくの天ぷら」は、もずくが一番美味しい7月に1年分仕入れて保存したもの。店主のこだわりが光ります。
▲「居酒屋源兵衛」店主の石坂良雄さん(写真右)

終始、笑顔で気さくに取材に応じてくれた店主の石坂さん。「富山県からもお客さんが団体でよく来てくれます。富山でもあんこうは獲れはするのだけれど、料理としては、あまり食べられていないみたいですね」

テキパキと仕事をこなす職人肌でありながら、あんこうにまつわる話を聞かせてくれる人柄の良さが素敵でした。

贅沢!4種の具材が乗ったあんこう丼「お食事処大瀬」

▲「お食事処大瀬」の「あんこう丼」1,500円(税別)※2日前までに要予約

続いては、「お食事処大瀬」の「あんこう丼」をご紹介します。こちらは、キモ、刺身、唐揚げ、とも和えという、異なる4種の具材が同時に楽しめる、非常に贅沢な一品です。
▲店主の大瀬信雄さん

店主の大瀬さんは、職人歴40年以上の料理人。自ら市場に仕入れに向かい、肝が肥大化したいわゆる「大物」のみを厳選して仕入れてくるそう。あんこうの各部位の特徴や、美味しい食べ方をお聞きしながら頂いていきます。
まずは、刺身から頂きます。
「とくに県外の方にオススメしたいのが、刺身。あまり食べる機会が無いのではないでしょうか。ポン酢、もみじおろしをつけると最高に美味しいですよ」と大瀬さん。

湯引きした後、昆布だしで締めた身は、優しい口当たりながらも歯ごたえがあります。口に入れ、噛んだ瞬間のぷりっとした食感と、ふわっと広がる風味は格別でした。
続いては、唐揚げ。骨ごとしっかり揚げているので、軟骨まで食べられます。醤油ベースの味が良く染み込んでいて、とっても濃厚。しかし、身はぷりぷりとしていてくどくなく、絶妙なお味でした。
続いては「あん肝」。特筆すべきは、その大きさ!「冬場の時期に肥大化する肝は、2月が最も食べごろ」と大瀬さん。自ら市場で特に大きい肝を持つ10kg以上のあんこうを仕入れることで、こうした大きさの肝が提供できるのです。
ポン酢と、もみじおろしをつけて頂きます。
「海のフォアグラ」とも評されるあん肝は、とにかく濃厚で、ご飯がすすみます。なんとも贅沢な気持ちになります。
最後は、とも和え。こちらは茹でたあんこうの身、肝、胃袋、卵巣を細切りにし、酢味噌と辛子で和えたもの。
「昔から糸魚川で食べられている郷土料理なので、県外の方にはこれもオススメしたい食べ方ですよ」と大瀬さん。
ぷりぷりの食感と酢味噌と辛子の味が絡まって、こちらもまたご飯がすすみます。

4種類の部位を同時に、しかも山盛りの量で味わえるのは、なかなかありません。

あんこうの唐揚げが入ったラーメン「月徳飯店」

最後にご紹介するのは、中華料理店「月徳飯店」の「あんこうえ~ラーメン」です。「え~ラーメン」というのは、糸魚川産の甘海老を出汁に使ったあんかけラーメンのことで、月徳飯店の看板メニュー。

あんこうフェア開催期間中は、海老の代わりにあんかけに絡めたあんこうを豪快に入れた特別なラーメンを味わうことができるのです。
▲あんこうえ~ラーメン1,080円(税込)
よく出汁の出たとろみのあるスープに、身やエラなど、様々な部位の唐揚げが入っています。
こちらは、身の部分の唐揚げ。ぷりぷりの食感がたまりません。
コシのある、もっちりした食感の麺とも良く合います。
「骨付きの部位には旨みが凝縮されているので、とくにオススメです」と語ってくれたのは、店主の月岡浩徳(ひろのり)さん。軟骨など、骨であっても食べられる箇所が多く、隅々まで味わうことができました。
▲「月徳飯店」の月岡浩徳さん

「あんこうは、クセがなくタンパク質が多い。油も少ないので、どんな食べ方、調理方法にも合うので、様々な食材を用いる中華料理との相性も良いのです。水深の深い富山湾で水揚げされるあんこうは特に身が締まっていて美味しい。是非一度召し上がってください」と月岡さん。
3軒の店主のみなさんにお話を伺って最も強く感じたのが、「素材を愛情をもって存分に使い切る」というあんこう料理への姿勢が、どのお店にも浸透していること。「あんこうの七つ道具」を、心ゆくまで堪能することができました。

今回紹介した「糸魚川荒波あんこうフェア」は、毎年1月~3月の間、紫色ののぼりが立っているお店で開催されています。肝が大きくなる2月は、最もおすすめ!

まだまだ紹介しきれないお店がたくさんありますので、是非とも糸魚川を訪れて、気になるお店に足を運んでみてください。

また、2016年は終了してしまいましたが、毎年1月後半~2月前半の日曜日には、糸魚川市内の3箇所で同時に「糸魚川荒波あんこう祭り」が開催されます。このイベントではあんこうのつるし切り実演、あんこう汁の限定販売などを楽しむことができます。
▲糸魚川荒波あんこう祭りの「あんこう汁」
▲あんこうのつるし切り実演

県内外からも多くの方が集まる人気イベントですので、お祭り気分を味わいたい方は、来年是非訪れてみてください!
竹谷純平

竹谷純平

フリーライター。新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」参加ライター。新潟県出身。SNS運営会社、WEB制作会社等に勤務後、独立。企業でWEBライティングに長年携わった経験とを活かし活動中。東京、アメリカなどを経て新潟へ帰郷した経験と、趣味の旅行での経験とを活かし、「新潟の魅力を内外へ楽しく発信する」をモットーに活動している。フィールドはインタビュー、グルメ、最新ITテクノロジーまでと幅広い。

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