肉のようなボリューム感!ご当地ならではの登米名物「油麩丼」

2016.04.27 更新

カツ丼のように見えて、実は違う。丼の具は肉ではなく、油麩(あぶらふ)なんです。油麩とは、宮城県登米(とめ)市で古くから作られているローカル食材。今回は、ヘルシーなのに食べごたえ抜群の登米名物「油麩丼」をご紹介します!

明治の面影を残す町で「油麩丼」のルーツを探る

宮城県仙台市から車で1時間30分ほどの場所にある登米市。「油麩丼」を味わえる店は、市内の登米町(とよままち)に集まっています。

登米町は、江戸時代には登米伊達氏の城下町として、明治維新後は県庁所在地として栄えた町。明治時代に建てられた県庁舎や洋風建築物、蔵造りの建物などが今も残り、「みやぎの明治村」ともよばれる人気の観光地です。

この地域の郷土の味といえば「油麩」。油麩はグルテンを油で揚げた棒状のお麩で、登米の家庭料理に欠かせない食材です。
▲長さ25cm、直径5cmほど。スライスして煮物や味噌汁、鍋などに入れるのが一般的

この油麩を主役にした「油麩丼」。登米町内で販売している店は、10軒ほどあります。油麩を卵でとじるというスタイルは同じものの、そのほかの具や味付け、盛り付けなどは店それぞれ。
今回は、油麩丼の元祖といわれる「味処もん」を訪ねました。
▲約100年続く旅館「海老紋(えびもん)」が営む食事処「味処もん」
▲座敷席のみ。休日は観光客で賑わいます

旅館「海老紋」に隣接する「味処もん」。こちらの看板メニューは、その名も「元祖 油麩丼」です。
▲「元祖 油麩丼」750円(税込)は味噌汁と小鉢付き。具は油麩とネギ、シイタケ

このメニューを考案したのは、旅館「海老紋」の女将・海老名孝子さん。約30年前、旅館「海老紋」で、肉が苦手な人のために作った油麩入りの丼が始まりといいます。
親子丼の肉の代わりになるものはないかと探していた時、台所にあった油麩に目が留まったそう。「このあたりでは煮物や汁物に油麩を入れて食べるので、台所にはいつも油麩があるんです」と孝子さん。
▲女将の孝子さん。現在は家族3人で旅館「海老紋」と「味処もん」の料理を作っています

そんな出来事から生まれた丼は口コミで次第に評判に。誕生から約10年後の1995年、宿泊せずとも「油麩丼」を気軽に味わえる食事処として「味処もん」がオープンしました。

しっとり、じんわり。油麩独特のコクとまろやかさ

「油麩丼」の味の決め手は、やっぱり油麩!
登米市内には油麩の製造会社がいくつかありますが、「味処もん」では明治初期創業の老舗「熊本油麩店」のものを使っています。上質な植物油でじっくりと揚げて作られる油麩は、風味が抜群。

「登米では家庭ごとにお気に入りの油麩屋さんがあるんですよ。うちは昔から熊本さん」と、孝子さんは教えてくれました。

その油麩を幅2cmほどにスライスし、さっと湯にくぐらせ、専用鍋へ。カツオでダシをとった特製ダレを入れて火にかけます。仕上げに卵を回し入れ、トロトロの半熟状態になったらできあがり!
▲味が染み込みやすくするために湯でやわらかくします
▲丼の味付けはこのタレで。試行錯誤を重ねて納得のいく味に仕上げたそう
▲油麩と卵に火が通り過ぎないようにするのがポイント。「タイミングが大事」と孝子さん

油麩からじんわりと溶け出す油が、コクとまろやかさをプラス。甘辛いタレがたっぷり染み込んだ油麩は、噛んだ瞬間、口いっぱいにうま味が広がります。食感の豊かさ、奥深い味わいにビックリ!
▲ダシ汁が凝縮。ジューシーさが油麩丼の醍醐味!

そのほか、油麩入りの「とよまはっと」も人気。こちらは鶏ダシの醤油スープに、手作りの“はっと”とたくさんの野菜が入った一品です。
“はっと”とは、小麦粉を水で練り、薄くのばしてゆでた登米の郷土料理。ツルッとしたなめらかな口当たりとコシのある弾力がたまりません。野菜と油麩の旨みが相まって、やさしく、ホッとする味わいです。
▲「とよまはっと」640円(税込)。油麩はもちろん、“はっと”の噛みごたえも楽しい

また、油麩丼も“はっと”も両方食べたい!という欲張り派におすすめの「とよまセット」1,080円(税込)もあります。

油麩文化が根付く登米で、ココだけの味を楽しんでみてはいかがですか。
加藤亜佳峰

加藤亜佳峰

編集者・記者。編集プロダクションMOVE所属。仙台を拠点に、企画・編集・取材・執筆を担当。旅行誌を中心に、情報誌やムック、書籍、パンフレットなど幅広いジャンルの印刷・出版物を手がける。

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