冬だけしか食べられない!浜名湖の味覚がつまった「牡蠣カバ丼」

2016.02.09

浜名湖の隠れた名産品のひとつに牡蠣があるのはご存知でしょうか。近年では、ご当地グルメの「牡蠣カバ丼」が全国的にも注目を集め、温泉街としても知られる舘山寺周辺や弁天島など、16のお店で味わうことができます。今回はそんな「牡蠣カバ丼」を味わうべく、浜名湖の景色を眺めながら、舘山寺に向かいました。

牡蠣カバ丼

海と山の恵みに育てられた浜名湖の牡蠣

うなぎやスッポン、あさり、車エビなど、豊富な魚介類が獲れることで知られる静岡県の浜名湖は、南端にある今切口(いまぎれぐち)で直接太平洋とつながる汽水湖。潮の満ち引きによってたくさんの海水が湖内に出入りするため、700種にもおよぶ多様な生きものが住むという恵み豊かな湖です。
浜名湖
牡蠣というと宮城県や広島県などが思い浮かびますが、実は浜名湖でも養殖が行われていて、食通の間では「隠れた名産地」として知られています。

その歴史は古く、はじまりは今から130年ほど前の明治20年(1887年)。これはうなぎの養殖が開始されるより4年も早いことになります。当時は浅瀬の一角に種牡蠣を置いて育てる地蒔(じまき)式でしたが、大正15年(1926年)からは長さ2mほどの針金に種牡蠣を吊るして養殖する垂下(すいか)式を取り入れたことで、飛躍的に生産量が拡大していきました。
 ざるに入った牡蠣
浜名湖の牡蠣は、ぷっくりと大きな身とミネラル豊富で濃厚な味わいが魅力。種牡蠣の頃は、海が近く潮の通りが良い湖南部で育て、大きくなると牡蠣の餌となる植物性プランクトンが豊富な北部へ移植されます。奥浜名湖とも呼ばれる北部は、山の恵みを受けた川の水が流れ込む場所なのです。

種付けから1年半の間、湖南湖北と3回の移植を繰り返し、海と山の恵みをたっぷりと吸収。収穫された牡蠣は、加熱専用として全国へ出荷されます。生食用の牡蠣は減菌処理に数日が必要ですが、加熱用は獲れたての新鮮な状態で出荷できるメリットがあります。
 のぼり
そんな浜名湖の牡蠣を新しい地域ブランドに育てるプロジェクトが、2010年秋、浜名湖かんざんじ温泉観光協会で立ち上がります。牡蠣料理というと、牡蠣フライや牡蠣鍋が一般的ですが、新たに「うなぎの蒲焼のたれを使う」というアイデアを採用。試作を重ね、牡蠣をうなぎのたれで焼き、浜名湖のり、玉ねぎ、三ケ日みかんの皮などを添えた「牡蠣カバ丼」が誕生しました。

2010年には「全国新・ご当地グルメ選手権」で準優勝を果たしたほか、「しずおか食セレクション」や「浜松やらまいかブランド」にも認定され、県内外でその味が認められています。牡蠣やのり、うなぎのたれを使うことは決まっていますが、調理法などは自由。各店オリジナルの「牡蠣カバ丼」を食べ比べてみるのもいいかもしれません。

浜松の名産がつまった「牡蠣カバ丼」を実食!

外観
この日訪れた、60余年の歴史がある「うなぎ湖畔食房 舘山寺園」は、東名高速道路・浜松西ICから車で15分ほどの場所にあります。

曹洞宗舘山寺の麓、目の前に浜名湖内浦湾の風景を楽しみながら、うなぎをはじめ、しらすやドウマンガニなど、その日に水揚げされた新鮮な魚介類を使った料理をいただけます。

テラス席も用意され、こちらはペットの同伴もOK。日本で唯一といわれる湖上を渡る「かんざんじロープウェイ」やテーマパーク「浜名湖パルパル」内にある観覧車を見渡せ、開放感も抜群。ときおり遊覧船が行き交うのを眺めながら、のんびりとしたひと時を過ごすことができます。
 店内
こちらの「牡蠣カバ丼」は、今切口にほど近い新居町から毎日仕入れる新鮮な牡蠣を使用。創業以来、継ぎ足し使い続けているうなぎのたれを使い、照り焼きにして味付け。たれに含まれるザラメが牡蠣をコーティングすることで、美味しさをぎゅっと閉じ込めます。特別に厨房をのぞかせてもらいました。
ボールに入った牡蠣
▲あらかじめボイルされた大ぶりな牡蠣を6~7個ほど使います
たれで焼く
▲秘伝のうなぎのたれを使って、テリと味をつけていきます
たれを注ぐ
▲色が付いてきたら、さらにたれをもうひとかけ
牡蠣を並べる
▲うなぎのたれをかけたご飯の上に、刻んだ浜名湖のりと炒めた玉ねぎを敷き、照り焼きにした牡蠣を並べていきます。
 みかん
▲おろし金で三ケ日みかんの皮を削って、彩りと香りをプラス
牡蠣カバ丼
▲味噌汁、小鉢、漬け物、みかんがセットになって1,600円(税込)
牡蠣アップ
ふたを開けると、みかんの香りがふわっと漂い、食欲を誘います。甘塩っぱいうなぎのたれと、牡蠣の程よい苦みの絶妙なバランスが見事。ぷりっとした大粒の牡蠣は弾力もあり、食べ応えも満点。甘さを感じる玉ねぎのシャキッとした食感、ふりかけられたみかんの皮の爽やかな香りがくどすぎない後味を演出しています。
 牡蠣の殻焼き
▲牡蠣の殻焼き900円(税込)

浜名湖の牡蠣をストレートに味わうなら、9分ほどじっくりと蒸し焼きにした殻焼きもおすすめ。「シンプルが一番。そのままか、レモンをしぼってお召し上がりください!」と店主。旨みが濃縮した牡蠣本来の味が口の中にじわっと広がります。

思う存分牡蠣を楽しむなら、牡蠣カバ丼、殻焼き、牡蠣フライがセットになった「牡蠣三昧」2,700円(税込)も。
景色
浜名湖の牡蠣は11月中旬~3月中旬までの冬季限定。お店のすぐ裏にある舘山寺は恋愛成就や縁結びのパワースポットとしても知られ、周りは豊かな自然に包まれた温泉街としても人気のエリア。この時期だけの浜松の味覚を、ぜひ堪能しに出かけてみませんか。
大杉晃弘

大杉晃弘

大阪にて結婚・住宅情報誌の制作ディレクターとして、企業の販促活動に従事。その後、地元浜松へUターン。編集、文章、写真の仕事をしつつ、活版印刷工としても修行中。

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