日本でここだけ!駿河湾の宝石「桜えび」。味も鮮度も次元が違う

2016.05.14

世界的にも珍しい生物といわれており、日本では唯一、静岡県の駿河湾だけで水揚げされる「桜えび」。体長4cmほどの小さなえびではありますが、旨みがギュッと詰まっている、とっても美味しいえびです。2016年4月1日、桜えびの春漁がはじまったということで漁の様子をうかがってきました。さらに、桜えびの漁師さんや舌の肥えた地元の人も通う、とっておきのお店も紹介します!

いざ、桜えび漁へ!

やってきたのは静岡県静岡市にある由比漁港。JR由比駅から徒歩10分ほどの場所にあります。夕方、漁師さん達が出港の準備をしていました。実は桜えびは夜行性のため、漁は夜に行なわれるのです。16時半くらいから続々と出港し、戻ってくるのは22時頃。自然を相手にしているので、天候や海の状態により1週間以上漁に出られないこともあるんだそうです。
▲陸の街の灯りと赤く染まる水平線。まさにマジック・アワー。神秘的な景色です(画像提供:由比漁港協同組合)

まずは漁場にて、網を降ろします。ふだん桜えびは水深300mほどの深海にいますが、夜はエサを食べに水深20~60mまで浮上してくるのでそこを捕まえます。なぜ駿河湾だけに桜えびが生息しているかというと、富士川や安倍川、大井川などの清流が流れ込む独特な構造が桜えびの生育に最も適しているからだと言われています。
▲(画像提供:由比漁港協同組合)

漁は二艘の船で網をひいて行います。夜、網をひくことから、桜えび漁は別名「夜曳き(よびき)」とも呼ばれます。網にかかった桜えびは昔はタモ(魚をすくう手網)ですくっていたのですが、今は大きなホースで吸い取る方式に変わりました。そのため、デリケートな桜えびに直接触れることなく素早く水揚げすることが可能になり、鮮度が飛躍的に良くなったそう。
▲ダメージを受けることなく箱に収められていく桜えび(画像提供:由比漁港協同組合)
▲夜遅く帰港。競りは翌朝の早朝に行なわれます(画像提供:由比漁港協同組合)

なお、こちら由比港には「沖漬け丼」など桜えび料理を楽しめる食堂や直売所があり、漁期中は多くの人で賑わっています。

地元でおいしい桜えびを食べたいならこの店へ

では いよいよお待ちかね!日本一の桜えびの町「由比」でいただける絶品「桜えび」のお店を2軒続けてご紹介しましょう!大切な人を連れて行きたくなる、オススメのお店です。
▲由比川のほとりに佇む「そば 上の」

「そば 上の」さんは手打ちそばのお店なのですが、ここで出される「桜えびのかき揚げ」が絶品!地元の人はもちろん桜えび漁師さんや仲買人までもが食べに来るという、その道のプロをも魅了するお店です。
▲そばを打つ、店主の上野洋岳(ひろたけ)さん。蕎麦が無くなり次第閉店です

なぜそれほどこの店の「桜えびのかき揚げ」が人気なのかというと、味と香りがずば抜けて良いからです。その秘密は…「夜売り」という特殊なシステムで取引している桜えびだから。先ほど、桜えびは夜に水揚げして翌朝競りに出すと書きましたが、これだとどうしても6~7時間のタイムラグが発生していまいます。しかし「夜売り」ならば水揚げしたばかりの極めて新鮮な桜えびをほぼリアルタイムで買うことができるんです。その代わり、価格は翌朝の競りの最高金額プラス割増料金という非常に高価なものになってしまうそう。

上野さんは、そうして「夜売り」で手に入れた桜えびをすぐさまマイナス40度で冷凍して、かき揚げの注文が入るたびに急速解凍して揚げるそうです。だから獲りたて新鮮の味を楽しめるのですね。
▲「夜売り」の桜えび。本当にキレイな桜色です。透明感も違う!

揚げるところを見せていただきました。具は桜えびとネギだけ。とてもシンプル。衣もほんのわずかなので、揚げてるうちにバラバラにならないかと気になってしまうほどです。
▲鍋のフチにすべらすように入れて、揚げてゆきます

そして冷たいお蕎麦の上に、大根おろし、季節の野菜、海苔、そして熱々の桜えびのかき揚げを乗せて完成です!
▲「桜えびかき揚げおろし」税込1,750円ナリ!

わ~ 美味しそうです!
ん??なんだか、どんぶりに比べて「かき揚げ」が大きく見えるんですけど!
ちょっと持ち上げてみましょうか?
うわ! でかっ!
ちなみにコレ、大盛りでもなく撮影用に特別に…でもありません。これが通常サイズなんだそうです。
カラリと揚がってサックサクの歯ごたえ。衣が薄く、桜えびならではの甘み、香ばしさ、そしてプチンとはじけるような食感がいいですね。さすが鮮度の良い「夜売り」の桜えび。揚げても風味が逃げることなく、桜えびの一匹一匹からジュワ~と旨みが出てきて最高です。
▲そばは「北海道幌加内(ほろかない)産」と「十勝産」をブレンド。細麺がそばツユとよく絡んで美味しい

食べていると、そばツユに浸った桜えびのかき揚げがしんなりとしてきて、それがいい感じにダシとなり、油とうまみがそば全体に広がり箸が止まらなくなります。
本当に、大満足のかき揚げでした!
▲貸切客で入店できない場合もあるので事前の問い合せをオススメします

グルメ漫画にも登場した桜えびの名店

▲JR由比駅から車で3分

続いては桜えびと磯料理のお店「くらさわや」さんです。宿場町の趣が今も残る、旧東海道沿いに佇むこちらのお店はなんと!グルメ漫画の金字塔「美味しんぼ」に登場したこともあるんですよ!ここの味を求めて東京や大阪など、遠方からも多くの人が訪れるのだそうです。
▲店内。窓から見る景色も素敵なんです
▲駿河湾、東名高速道路、国道1号線、JR東海道線を同時に見下ろせます

まずは「生桜えび」から。最初はあえて何もつけずに食べてみたところ、桜えびの甘みと旨みが口の中いっぱいに広がりました。食感も良く、えびの味がしっかりとしています。余談ですが桜えびは夏に生まれるため、秋漁の桜えびは若く、春漁の桜えびは十分に成長しているのでより甘みを感じると言われています。
▲「生桜えび」税込648円。一匹一匹から旨みを感じます
▲店主の渡辺一正(かずまさ)さん。「美味しんぼ」にもご本人役で登場していますよ!

続いて運ばれてきたのが、人気メニューであり、くらさわや名物の「桜えび釜飯」。
釜飯はオーダーが入ってから炊くので、20分ほど時間を要しますが、窓からの眺めが良いので海や電車を見ているうちにあっという間に時間が経ってしまいますよ。
▲「桜えび釜飯」にはサラダ・漬物・お味噌汁・デザートがつきます。税込1,296円
▲釜飯にはたっぷりの桜えび!

フタを開けた瞬間、湯気とともにすっごくいい香りが立ち込めました。
あぁ~、もう、香りからして美味しい!この香りをおかずにして白いご飯2杯はいけそう(笑)。

ごはんの味付けは鰹ダシとのこと。素材の味が活かされている薄味でなんとも上品。そこに桜えびから出た旨みたっぷりのダシが加わり、かみしめるほどに美味しさが増します。三つ葉がほんのり香ってアクセントになっているのもいいですね。
▲ご飯の量はお茶碗2杯ほどあるそう

そして釜飯といえば、みんな大好きおこげ!香ばしい香りがさらに食欲をそそります。
実はワタシはこの「おこげ」を食べた瞬間、びっくりしました。なぜなら、これでもか!というほど旨みが凝縮されていたから。カツオや桜えびはもちろん、しいたけや人参などの具材から出たダシが底のおこげに集約。釜飯のエッセンスとでも呼びたくなるほどの味です。食べ進めるほどに夢中になる幸せ感いっぱいの釜飯でした。

この他にも、桜えび尽くしのコースメニューもあるのでぜひ堪能してくださいね!

なお、この近くには浮世絵にも描かれている絶景スポット「さった峠」があります。
お腹が満たされたあとは海と富士山が織りなす、絵画のような景色をお楽しみください!
▲江戸時代の絵師達をも魅了した眺め。写真は秋頃の風景(写真提供:静岡県観光協会)
岩科蓮花

岩科蓮花

S級からB級まで食べることをこよなく愛するグルメライター。 和食、フレンチ、イタリアン、スイーツなどこれまで取材したお店は数知れず。 農業と船釣りが好きな自給自足女子。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP