香り立つ、モチモチ麺の「伊勢うどん」を味わう

2016.03.26 更新

伊勢の名物「伊勢うどん」。お伊勢参りに訪れたなら、「伊勢うどん」を食べずに帰るのはもったいない! ということで、創業100年の老舗「伊勢うどん 中むら」さんを訪ねてみました。

お伊勢参りと伊勢うどん

伊勢神宮には二つの正宮があります。
ひとつは「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」が祀られる内宮。
もうひとつは、天照大御神の食事を司る御饌都神(みけつかみ)「豊受大御神(とようけのおおみかみ)」が祀られる外宮。

大正5(1916)年創業の老舗「中むら」さんは、その外宮の目の前、入り口の表参道から歩いて数分のところにあります。
大きな通り沿いなので、とてもわかりやすい場所です。
▲暖簾(のれん)の上には注連縄(しめなわ)が…
伊勢ではお正月だけではなく、一年中注連縄を飾る風習があるんです。
なんでもその昔、伊勢の地を訪れたスサノオノミコトが、一夜の宿を貸してくれた貧しくも心優しい蘇民将来(そみんしょうらい)に、「今後は門符(かどふだ)を門口にかけておけば、子孫代々疫病から免れる」と言い残したことから、この地方では一年をとおして門符を掲げて、無病息災・家内安全を願うようになったと伝えられています。
▲暖簾をくぐると、白を基調とした明るい店内。清潔感があって、とてもきれい!
▲伊勢うどん 530円(税込)
「ジャ~ン!」
こちらが「伊勢うどん」です。
真っ黒なお汁が、インパクト大!
「つゆ」というよりは、真っ黒な「たれ」ですね。

伊勢では「うどん」といえば、このスタイルのものがポピュラーなんですよ。
これを「並うどん」や「素うどん」と呼んでいたんです。
「伊勢うどん」という名前で呼ばれるようになったのは昭和40年代後半。
なんでも、放送作家でタレントの永六輔氏がこの独特なうどんを食べたとき、「これは伊勢うどん」だと言ったのが最初なのだとか。

もともと米作が少なかったこの伊勢の土地では、農民が自分たちで作った小麦でうどんを打っていました。
そのうどんに地味噌の上澄み「たまり(たまり醤油)」をかけて食べていたのが、「伊勢うどん」の始まりだといわれています。

そして、古くからお伊勢参りに訪れた旅人を、温かくもてなしたのも「伊勢うどん」だったのだそう。

さて、この伊勢うどん。いったいどうやって作られているのでしょう!?
特別にちょっと厨房をのぞかせてもらいました。
▲およそ1時間ほど茹でられた、色白でツヤツヤの麺
一般的なうどんに比べ、ずんぐりとした太い麺。コシがなく、とても柔らかいのが特徴です。
その昔、参拝客にすぐに提供できるよう常にうどんを茹で続け、そこから必要な分を釜揚げしていたために、茹で時間を気にしなくてよいコシのないうどんが適していたとの説や、お伊勢さんへの長旅で疲れた旅人の食事として、消化の良い柔らかい麺が使われたのではないかという説もあります。
注文が入ると、一人前ずつグラグラと沸く釜の中に入れられます。
お湯の中で、たゆたううどんが丸々としてきましたよ~。
▲店主 中村貢(なかむらみつぐ)さん
さぁ、湯切りをして丼に。
この壺の中には秘伝のタレが…。
煮干しをメインにカツオとサバの削り節、そして昆布でとったダシ。
そこに、本たまりなど2種類のしょうゆとみりんを加え、4~5時間かけて大釜で炊き込むのだそう。

わーぉ! 熱々に茹で上がった真っ白なうどんに、真っ黒なタレが注がれました。
湯気とともに上り立つダシの香りに胃袋が即反応してしまいます!
▲あらためまして、伊勢うどんです!
薬味のネギが添えられ、伊勢うどんの完成です。
食べ方は、底からぐるぐるかき混ぜて麺とタレを絡ませ、好みでネギや一味をかけていただきます。
そう、トッピングはネギだけ! 「伊勢うどん」は、タレで味わううどんなんです。
うどんがタレを吸って、色づきました。
このタレ、なんだか辛そうに見えませんか?

ところが、ぜんぜん辛くない!
ほんのり甘みがあって、口当たりはまろやか。とっても優しい味なんですよ。
麺は、スベスベでふっくらとした見た目どおり、お餅のようなモチモチ感!

ツルツル、ツルツル。
次から次へと胃袋に吸い込まれていきます。
▲伊勢玉子うどん 580円(税込)
そして、地元の方に一番人気のメニューがこちらの「伊勢玉子うどん」。
溶いた生卵を入れた丼に熱々のうどんがよそわれるので、卵が麺にほどよく絡んで、さらにマイルドな口当たりに。濃厚なタレとの相性も抜群です。
これもまた、クセになるおいしさ。あっという間に完食です!

伊勢うどんのファンは全国に広まっています。
見てびっくり! 食べてびっくり! の伊勢うどんを、ぜひ味わってみて!!
Yukitake

Yukitake

三重の雑誌「Edge」をはじめ、さまざまな雑誌・情報誌において、グルメ・観光などの記事を執筆。女性目線の取材とソフトな文体を大切にしています。

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