熊野の郷土料理「めはりずし」は、日本古来のファストフード!?
和歌山県と三重県にまたがるエリア、紀州・熊野地方。この地域に伝わる郷土料理「めはりずし」は、握り飯を高菜の葉で包んだだけというシンプルさでありながら、地元の人のみならず、観光客にも大人気。今回は、和歌山県新宮(しんぐう)市で、めはりずし専門店を営む「總本家めはりや」で人気の秘密を調査してきました。

紀南地方の経済・文化を支える街であり、世界遺産に登録されている熊野古道の要所、「熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)」の門前町としても栄える観光都市です。


ぬくもりあふれる小料理屋を思わせる、カウンターとわずかな座敷だけの空間は、妙に心を落ち着かせてくれます。

お話を伺ったのは、優しい笑顔が印象的な、新宮本店の3代目ご主人、村尾太郎さん。
はるか昔7世紀ごろ、このあたりは、「木国(きのくに)」と呼ばれ、「きこり」や、筏(いかだ)で木や人を運ぶ「筏師」で栄えたところ。「めはりずし」は、そんな「きこり」や「筏師」の弁当として、握り飯と漬物をいっしょに片手で手早く食べられるようにと作られたのがはじまりなんだとか。
以来、この地域の家庭で長年食べ続けられてきた「めはりずし」を、太郎さんの祖父が、初めて商品化。店で売り出したと言います。

「總本家めはりや」は、この新宮本店と2014年に新たにオープンさせた和歌山店の2店舗を展開。太郎さんら3兄弟でのれんを守っているそう。
日本で最古のファストフードとも言われる伝統的な食べ物ならば、ぜひ一度は食べてみたい。
はやる気持ちを抑え、まずは厨房にお邪魔して、作り方を見せていただきました。
丹精込めて握られる「めはりずし」
使用する材料は、高菜の漬物とご飯、醤油ベースの特製ダレのみ。


高菜農家が、歯ごたえのあるおいしい漬物を作るために品種改良を重ねたことにより、日本の高菜は茎の部分が昔より硬くなってきているそう。しかし、握り飯に巻く「めはりずし」の高菜としてはそれでは硬すぎる。そのため太郎さんの祖父は、茎の部分を刻んで、具としてご飯の中に入れるというこの作り方を独自に編み出したのだとか。





「大きいですね~」
見るからにボリューム満点。筆者のげんこつより大きいです!
「昔は、一個がソフトボールくらいの大きさだったと伝えられているんです。そのため、食べる時に目も口も大きく開けることから『めはりずし』という名がついたとか…。あるいは目を見張るほどおいしいからという説や、源平の合戦で、新宮を拠点にしていた熊野水軍の見張り役が片手で食べたことから、『見張り寿司』が転じたという説もあるんですけどね」
大きさに驚く筆者に、平然と答えるご主人。
ひぇ~ソフトボール大!「 總本家めはりや」の「めはりずし」は、現代の人が食べやすいように、これでも多少小さくしてあるそう。

「いただきま~す」
昔の人に習って、豪快に手づかみでパクリ。
そしてさらにその中から、ダメ押しのように登場する刻んだ高菜。シャキシャキと歯ごたえのいい高菜はご飯との相性もバツグン。決して塩辛すぎず、ご飯にしっかり味わいを与える最高のバランスです。


總本家めはりや 新宮本店
和歌山県新宮市緑ヶ丘1-1-39
[営業時間]10:00~23:00L.O.
[定休日]水曜日
0735-21-1238

James
イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。
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