川なのに温泉!? 川から源泉が湧き出る大自然の露天風呂「川湯温泉」!

2016.02.02

川原を掘れば、川底から立ちどころに温泉が湧きだすことで有名な和歌山県熊野の川湯温泉。そこは、川そのものが温泉になっていて、たくさんの人が湯浴みに訪れるといいます。川が温泉ってどういうこと!? 野趣あふれる川湯温泉の実態を調査してきました。

川底からお湯が湧き出る!?

「おサルのジョニー」を相棒に、やってきました川湯温泉!
川湯温泉があるのは、和歌山県田辺市。熊野古道の中辺路(なかへち)、小辺路(こへち)の終点、熊野本宮大社から車で約10分ほどの山々に囲まれたのどかな地域です。

川沿いに、旅館や公衆浴場が軒を連ねています。
それぞれの旅館では、川から源泉を汲み上げ、内湯を用意。源泉かけ流しの温泉を楽しむことができます。
▲公衆浴場入り口の提灯
ここまでだったら普通の温泉。
しかしここ、川湯温泉のすごいところは、川そのものが温泉だということ。
もちろん川の水は冷たいのですが、このあたりの川原は、スコップなどで掘るだけで、たちまちポコポコと70度以上の源泉が川底から湧き出します。

この熱~いお湯を、川の冷た~い水と混ぜて湯加減を調整すれば、適温のオリジナル露天風呂の一丁上がり!
川遊びと温泉が同時に楽しめるとあって、夏場にはたくさんの観光客が訪れ、各自で川原を掘り起こし、自作の露天風呂を堪能しています。
川でまさか入浴できるとは!
川へ洗濯によく行く、昔話のおばあさんもビックリするに違いありません(笑)。
タイミングによっては、前の人が掘ったものが残っているので、そのままそこに入るという手も。

日本全国を見回しても、こんな温泉、そうはありません。

山!川!野趣あふれる温泉

しかも、毎年12月から2月ごろまでは、自分で掘らなくてもいいんです。この地域で旅館などを営む観光協会の方々が、ブロックで川をせき止め、適温に調整した巨大な露天風呂を作ってくれているのです。
その名も「仙人風呂(せんにんぶろ)」!
「仙人風呂の名前の由来は、川湯温泉がその昔『仙人』のお告げによって発見されたという言い伝えと、『千人』入れるぐらいの大きさという2つの意味から来ています」

お話を伺ったのは、仙人風呂実行委員会委員長を務めている、「亀屋旅館」のご主人、小淵誠(こぶちまこと)さん。観光協会のメンバーで構成された仙人風呂実行委員会は、昭和60(1985)年以来毎年、冬季限定で仙人風呂を開設。みんなで当番を決めて管理しているそう。
今では、全国から幅広い年齢層の人が訪れ、外国の方にも人気だといいます。
入浴料はもちろん無料。そもそも川ですから!
▲川沿いを浴衣姿で歩く人たち
浴衣姿の観光客が次々と河原に降り立ち、「仙人風呂」の方へと向かっていきます。早速、私たちもみんなの後に続きました。

そこに広がっていたのは、世にも不思議な光景。川からモクモクと湯気が立ちのぼっています!
▲仙人風呂
水着を着て、川遊びのようなスタイルではしゃいでいる家族連れがいるかと思えば、裸にタオル一枚、まさに温泉スタイルのお父さんもいます。旅館で貸し出される薄い浴衣のような湯浴み着を身につけている女性の姿も。つまりは混浴。そう思うとちょっとドキドキしますが、よく考えれば、川なんですから当然です。

例年、およそ横幅約40m、奥行き約15mほどの大きさで作られるというこの仙人風呂。
そもそも川自体が温泉であるという時点でビッグスケールですが、露天風呂として考えても、普通ではありえない巨大なサイズです。
仙人風呂は、自然の川をブロックで囲っただけの素朴なつくり。
湯加減を調整しながら、川を大きな湯舟へと変えるのはなかなか難しく、一朝一夕にはうまくいかなかったそう。
川の水量や水温など、さまざまな気候の影響を考慮して、毎日お風呂の温度を調整しているといいます。
▲仙人風呂実行委員委員長で亀屋旅館のご主人 小淵誠さん
苦労はそれだけではありません。
「この川は、雨や台風などですぐ増水するんです。せっかく作っても頻繁に流されてしまうので、比較的気候が落ち着いている12月~2月ごろと期間を限定しています。それでも毎年期間中に一度や二度は流されてしまうんですよ」

流されても何度も作りなおすその努力に感謝カンゲキです。
▲日が暮れて、天を仰ぐと満天の星空
日が暮れて、あたりは薄暗くなってきました。川沿いの旅館からは宿泊客が続々と、ひっきりなしにやってきます。

心地いい温泉につかりながら、きれいな満天の星空を見上げてゆったりリラックス。耳を澄ませば、聞こえてくるのは川のせせらぎ。とても贅沢な気分です。
▲カップルでいっしょに入って楽しむことができるのも混浴の仙人風呂ならでは

風情ある湯けむり灯篭

日もすっかり暮れた20時ごろ、小淵さんらが仙人風呂に粋な計らいをしてくれます。
▲湯けむり灯篭を設置する小淵さん
それが、湯けむり灯篭。
「ちょっとしたことでも、何か風情のある趣向を凝らせたらと思って…」
12月から2月末までの毎週土曜日、20時から22時まで、仙人風呂は、手づくりの灯篭でライトアップされるんです。
▲湯けむり灯篭でライトアップされた仙人風呂
湯舟の際に、等間隔に並べられていく灯篭。ロウソクのやさしい光があたりをふわっと照らしだし、幻想的な空間を作り出しています。
さてさて、せっかく行った温泉が熱すぎてなかなか入れなかったりすることが、筆者はたまにあるのですが、熱い、ぬるいの好みは人それぞれ。その点、この大きな仙人風呂は、場所によって湧き出す源泉と川の水の混ざり具合が異なるため、自分好みの温度のポイントを探すことができます。
今日の筆者の相棒、「おサルのジョニー」も大満足のこの表情!
近くに無料開放されている更衣室もあるので、日帰りでふらっと立ち寄ることもできます。
ぜひあなたも、開放感バツグンで野趣に富んだ川湯温泉に、入泉ならぬ入川し、その不思議さ、心地よさを満喫してください!
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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