「富士宮やきそば」4軒を食べ歩き!

2016.03.23

今や海外にもその名を轟かせている「富士宮やきそば」。日本最大級のまちおこしイベントである「B-1グランプリ」第1回・第2回大会において富士宮やきそば学会がゴールドグランプリを受賞したのをはじめとして日本全国にご当地グルメブームを巻き起こした、と言っても過言ではありません。そんな「富士宮やきそば」のおいしさの秘密と魅力を探ってまいりました!

「富士宮やきそば」は こんな絶景を見ながら食べられるんです

やって来たのはJR身延線・富士宮駅から徒歩8分、富士宮の中心街にある「お宮横丁」。富士宮やきそばのアンテナショップや地元ならではのグルメがひしめき合うイチオシのスポットです。

目の前には全国の浅間神社の総本山・富士山本宮浅間大社と世界遺産の富士山がツートップで並ぶという素晴らしいロケーション。どうですか?この絶景を見てさっそく富士宮を訪れたくなりませんか?

また、富士宮は富士山周辺を楽しむ「はとバスツアー」の立ち寄り先にもなっていて、観光者の数は増え続けています。ちなみに東京方面からお越しの方は東京と富士宮間を結ぶ高速バス、その名も「やきそばエクスプレス」が便利ですヨ。

まずはこの人ありき!富士宮やきそば学会の会長にインタビュー

▲富士宮やきそば学会会長、渡邉英彦さん。「う宮!」と書いて「うみゃ~」と読みます(おいしいの意)

今回お話をうかがったのは富士宮やきそば学会の会長、渡邉英彦さん。多い時では年に100本も講演をこなし、テレビ番組の「カンブリア宮殿」にも出演されるなど各所から引き合いが絶えないスゴイお方。富士宮やきそばの誕生について聞いてみると…

「実は、町おこしがきっかけなんです。自分たちはこれが普通だと思っていて昔から食べていたやきそばが、外から見るとどうも違うらしい。だったらこの一風変わったやきそばが富士宮に人を呼びこむツールになるんじゃないかって」。

そこから仲間達と活動を開始し、やきそばG麺(=Gメンにかけたダジャレ)、巨大鉄板でのギネス挑戦、B-1グランプリ優勝など話題が話題を呼び、その結果、行政に頼らず、補助金にも頼らず、これまで生んだ経済効果はなんと500億円!!「富士宮やきそば」恐るべしです。(詳しい背景を知りたい方は、富士宮やきそば学会発行の書籍をご覧ください。面白いですよ)

それで「富士宮やきそば」って 他とどう違うの?

「一番の特長は麺ですね」と渡邉会長。
蒸した後に茹でる一般的なやきそばの麺に対し、茹でずに急速に冷やして油でコーティングするのが富士宮流。そのため水分が少なく、独特のコシとモチモチとした食感があり、このコシこそが富士宮やきそばの真骨頂であると同時に最大のポイントなんだそうです。

ほかにも特徴はいくつかありますが、次の3つが「富士宮やきそば」の代表的な条件となります。
(1)「肉かす」を使用すること
(2)イワシの「削り節」をふりかけること
(3)市内にある製麺業者の「富士宮やきそば蒸し麺」を使用すること

ちなみに、富士宮市内には「マルモ食品工業」「叶屋」「曽我めん」「木下製麺所」という4社の製麺所があり、どの製麺所を使うかは各お店の判断にまかせているそうです。

ほほう、そうなんですね。しかし他のやきそばとの違いを知るには実際口にするのがイチバン。迷わずいけよ、食えばわかるさ、ってな事でさっそく実食したいと思います!

まずは基準となるアンテナショップの味から

▲右にあるのは「やきそば神社」。麺結びにご利益あり。ところで麺結びって一体…?

渡邉会長みずからご案内してくださったのがこちら。
お宮横丁入り口にある「富士宮やきそば学会 アンテナショップ」です。オープンは2004年。富士宮やきそばのメッカとして多くの人が訪れ1日1,000食出ることも。アンテナショップゆえ、本物の富士宮やきそばを堪能することができると評判です。
▲オーダーが入ると華麗な手さばきで焼いてくれます

使う具材はキャベツ、肉かす、ねぎ、と至ってシンプル。そうそう、先ほどの「富士宮やきそば」の条件にもあったように、この「肉かす」は欠かすことができません。「肉かす」とはラードを搾った後に残ったものを油で揚げた副産物。じんわりと旨みと油が広がって、やきそばの味をぐっと引き立ててくれるニクイやつです。ニクだけに(笑)
▲イワシの削り節と紅しょうがはテッパンのトッピング。鉄板だけに(苦笑)

アンテナショップはマルモ食品工業や曽我めんの麺を使うんだそうです。モチっとして、クミっとした歯ごたえはまるでアルデンテのパスタのよう。しっかりしたコシが感じられます。
賛否両論あるかもしれませんが、誤解を恐れずに言うとちょっと太めの輪ゴムを噛んだような食感。はじめての人はこの新食感に驚くかもしれませんが、2度3度食べるとすっかりやみつきになり、普通のやきそばだと物足りなさすら感じるようになるかも??というくらいハマる歯ごたえです。
ソースはさっぱり系のウスターソースで、見た目以上にあっさりしてます。並450円(税込)大600円(税込)。
ところで…富士宮やきそばを食べられるお店はざっと200軒以上あると言われています。
「え~、そんなにいっぱいあって、どこに行ったらいいか迷っちゃう」というそこのアナタ!今回、ぐるたび読者にむけて富士宮やきそば学会リコメンドのお店を3軒ピックアップしてもらったのでまとめてご紹介したいと思います。

その1. 塩とソースのハーフ&ハーフやきそば

▲店先に売っているおだんごはアフターやきそばのデザートにぴったり

まずご紹介する一軒目は、アンテナショップから右へ10歩の「むすびや」さん。
富士宮やきそばでは珍しい、塩味を食べられるのが魅力というのがおすすめの理由です。
そんな「むすびや」さんで一番人気のメニューは塩味とソース味を一度に楽しめる「やきそばハーフ&ハーフ」500円(税込)です。
▲店主の小澤政和さんは富士宮やきそばG麺(ジーメン)の1人。これまで全国各地のイベントや海外などで数多くのやきそばを人々に振る舞ってきた、学会が認める男

「塩味って、いわゆる昔の裏メニューだったんですよ。実は富士宮やきそばって味の定義はなくて、ソース以外もOKなんです。だったら自分が子どもの頃、すっごく憧れてた塩味を表のメニューとして出したいなと思ってはじめたんです」と話す小澤さん。
▲左が塩、右がソース
▲麺はマルモ食品工業のものを使用している

食べるときは、左の塩味からどうぞ。モヤシのシャキシャキ感も心地よく、あっさりとしながらも香ばしさを感じられる塩味は、食べ飽きることのない美味しさ。おもわずビールが飲みたくなってしまいますねぇ。そう、味の秘訣を尋ねたところ、どうやら隠し味に入れる中華風スパイスにあるようです。
そして一方、ソース味はというと…ん?なんだかフルーティー。ほんのり甘口で、塩との対比が感じられていいですねぇ。お得感もあり、まさしく一度で二度美味しいやきそばです。
「お宮横丁」には富士山の湧水を飲めるコーナーも。全くクセがなく、まろやかな水は身体にスッと入っていくよう。熱々のやきそばを食べたお口を冷たい水で潤せるなんて最高です。

その2. 桜えび入りのやきそば

▲「ひまわり」という店名は、「ひまわり子供会」の学区だったことに由来

続いてご紹介する店は「お宮横丁」から車で約3分のところにある「ひまわり」さん。富士宮やきそばがブームになる以前の、この独特の麺の食感がここだけのローカル食文化だと誰も気づいていなかった40年以上前から存在しているお店です。
▲笑顔で迎え入れてくれた、2代目の渡井縁さん。

子どもの頃から変わらない、昔からなじみのある味が楽しめると多くの地元民から愛されており、いつも常連客でいっぱいです。
▲看板メニューの「ミックスやきそば」600円(税込)をオーダー。+150円で大盛りも可能

具材は肉かす、キャベツ、豚肉、ネギ。そしてなんと「桜えび」まで入っちゃいます。言わずと知れた桜えびは、全国でも駿河湾でしか水揚げされない静岡ならではのエビ。なんだか嬉しくなっちゃいますね。
そして使っている麺はこちらもマルモ食品工業のもの。縁さんいわく、「マルモは他の麺に比べて若干太さがあるので、よりモチモチ感があると思うんですよね」とのことでした。
▲トッピングの目玉焼きがさらなる食欲をそそります

一口食べると、ちっちゃくとも旨みがギュッと詰まった桜えびの香ばしい風味が口の中に広がります。
鉄板に油はひかず、肉かすの脂分のみで焼いているのでギトギトしてないのも嬉しいですね。ソースは富士宮やきそば定番の、やや辛口でさっぱり系の「ワサビ印ソース」に甘みのあるソースをブレンドさせたオリジナル。具材と麺とのバランスが良く、とろ~りとろけた玉子の黄身と一緒に食べるとこれまた最高。富士宮やきそば万歳!の境地に至る一皿です。

その3. 優しさと人柄に癒やされる、隠れた名店

最後に紹介するのは、おそらく富士宮でもっとも奥にあると思われるやきそばのお店、「平ゆう」さん。道すがら、この道で合っているのだろうか?と多少の不安も感じてしまうような文字通りの隠れた名店ですが、そこには素敵な出会いが待っていました。
▲山に囲まれた静かでのどかな場所。近くには世界遺産の構成資産の1つ、村山浅間神社がある

「いらっしゃい。道に迷わなかった?大丈夫??」と到着早々さっそくねぎらいの言葉をかけてくれたのが「平ゆう」のオーナー、ゆうこさん。優しさがにじみ出ている笑顔に、はじめてお会いするのに何だかすごくホッとする気持ちになった素敵なマダムです。
▲口調はソフトでおだやかだけど、手際はパパっとして早い

この日は常連客と談笑中。「家よりも居心地がいいから定休日も来ても良い?」なんて会話がかわされていて、オープン以来20年、とても地域に根付いているなぁというのを肌で感じられるお店です。
▲「イカやきそば」550円(税込)をオーダーしてみました

ご主人の畑がすぐそばにあるため、時期によってはさっきまで畑に植わってたキャベツを使うこともあるそう。具材は肉かす・イカ・ネギ。麺はマルモ食品工業のもので、ソースはお馴染みのワサビ印ソースを使用。しかし何なんでしょう…やきそばなのに他にはない上品でやさしい味は。

「特に変わったことはしてないですよ。けど、しいて言えば愛のふりかけかな?」と茶目っ気たっぷりに笑うゆうこさん。う~ん、つくり手によってその人の味わいが出るのか??そのせいか、麺は他の店に比べて若干やわらかい印象。スキっとした味のワサビ印ソースもなんだかまろやかに感じるのでした。
入り口にたたずむ、看板にゃんこのミルクちゃん。人懐っこいのか、ただ面倒くさいのか触っても逃げません。おさわりし放題!
しかし顔に似合わず、ものすごいダミ声で鳴くのでちょっとびっくりします。

夏にはテーブル&イスを並べて外で食べることもできるので、自然の中でのんびり楽しみたい人にはぴったりです。

富士宮やきそばは、今回紹介した以外にも魅力的なお店がいっぱいあります。
ぜひいろいろ巡って自分好みのやきそばを見つけてみて下さいね!
岩科蓮花

岩科蓮花

S級からB級まで食べることをこよなく愛するグルメライター。 和食、フレンチ、イタリアン、スイーツなどこれまで取材したお店は数知れず。 農業と船釣りが好きな自給自足女子。

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