パリパリのもちもち。地元食材がつまった「浜松餃子」を食べ歩き

2016.03.05 更新

静岡県を代表するB級グルメのひとつとして全国的に知られる「浜松餃子」。キャベツをたっぷりと使ったさっぱりとしてジューシーな味わい、茹でたもやしが添えられた独特なスタイルが人気です。総務省が発表した2015年の家計調査では、静岡県浜松市の1世帯あたりの年間餃子購入金額が2年連続で全国1位を獲得!そんな浜松市民に愛される「浜松餃子」の味に迫ります。

地元遠州の食材が生み出した「浜松餃子」

浜松において餃子の歴史は古く、大正時代にはすでに焼き餃子が作られていたといわれています。しかし、野菜をたっぷり使った今のスタイルが生まれたのは戦後のこと。昭和20年代、浜松駅周辺でにぎわっていた中国からの引き揚げ者の屋台で出された餃子がルーツといわれています。
安価でおいしい餃子は、瞬く間に人気に。屋台には鉄板がなく、連日たくさんのお客に対応するため考えられたのが、餃子をフライパンに丸く並べて焼く方法。ただ、そのままお皿に盛り付けると、どうしても真ん中に穴が空いてしまいます。試行錯誤の末、茹でたもやしを乗せたところ、餃子との相性も抜群で、このスタイルが定番化していきました。

浜松餃子の定義は人によってさまざまですが、共通しているのは具材にキャベツをたっぷり使った野菜餃子であること。キャベツの生産量日本一である愛知県がお隣なのも影響しているのかもしれません。また、浜松がある遠州地方は、昔から養豚が盛んな地域で、豚肉も比較的簡単に手に入れやすい環境でした。安価で豊富に手に入る食材を使った浜松餃子は、餡の中に地元のおいしさがギュッとつまった郷土料理ともいえそうです。

今回は、浜松餃子のルーツともいわれる「石松餃子 本店」と、海鮮系餃子も扱う「喜慕里(きぼり)」を訪問します。

伝説の屋台餃子の味を受け継ぐ老舗「石松餃子 本店」

日本テレビ「月曜から夜ふかし」全国餃子グランプリ優勝、日経新聞全国お取り寄せ餃子ランキング第2位、池袋餃子スタジアムで女性人気第1位など、数々の賞を受賞する「石松餃子」は、テレビや新聞などのメディアで紹介されることも多く、県外からのお客も多い人気店。

昭和28(1953)年創業、3代にわたり伝えられる味は、浜松餃子の元祖といわれています。創業当時、中国からの引き揚げ者が作っていた餃子は大陸の味付けで、日本人の口にはあいませんでした。そこで試行錯誤を繰り返し作られた、あっさりジューシーな味が評判を呼び、連日深夜までお客が途絶えなかったといいます。

さらに、丸く並んだ餃子の真ん中に茹でもやしを乗せたのも、こちらの店から始まったとされています。創業当時は、キャベツやホウレンソウ、パセリなどを試したこともありましたが、最終的に茹でもやしが「石松餃子」の味にぴったりということで採用。餡や皮の食感などが違っていたら、どんなものが乗っていたのでしょうか。
本店では、昔ながらのフライパンで焼くスタイル(中サイズ以上)。餃子はその日に作られ、その日のうちに焼かれます。1日に焼かれる餃子は、平日なら5,000~6,000個、土日になると8,000~9,000個というからびっくり。
▲ごま油をひいて、餃子を丸く並べて焼いていきます。
▲餃子の真ん中にお水を加えて、厚手の木のフタをして蒸すこと7~8分。
▲お皿を重ねて…
▲焼き上がり!
こんがりと焼かれた焦げ目が食欲を誘います。真ん中に茹でもやしを乗せて完成!細身のものは苦みが出てしまうので、あえて太めのもやしを使うことで、瑞々しくシャキッとした食感を楽しめます。
▲餃子 大(20個)単品1,080円(税込)。ご飯・みそ汁・漬け物がセットになった大定食1,404円(税込)も

まずは何も付けずにぱくり。パリッとした食感に、キャベツの甘さと肉の旨みが口の中に広がります。キャベツは浜松産をはじめ、愛知の豊橋や山梨の鳴沢のものなど、季節にあわせてその時期一番おいしいものを使用。お肉よりもキャベツの割合を増やすことで、肉のジューシーさを味わいつつも、あっさりとした仕上がりに。お腹ももたれず、幾つでも食べられてしまいそう。ニンニクは香り付け程度なので、女性でも気兼ねなく食べられるのがうれしいです。

この餡を包むのが、キャベツがうっすら透けるほどの薄い皮。餡の味を邪魔しない絶妙なバランスが生み出す、繊細な味わいを楽しんでください。
自家製の餃子タレは、少し甘めに仕上げた酢醤油。辛いのが好きな人には、こちらも自家製のラー油を用意。上澄みを使うも良し、さらに辛さを求めるなら、底に沈んだ一味を加えてもOK。餃子に付けてぱくり。茹でもやしに付けてぱくり。幾つ食べても飽きることがありません。
人気のみそホルモン540円(税込)など、餃子以外のメニューも豊富。お持ち帰り用の冷凍餃子20個1,080円(税込)もあります。

“パリ・もち”の絶妙な食感。海鮮入り餃子も人気の「喜慕里(きぼり)」

住宅街の一角で黄色の看板を掲げ、昔から変わらない佇まいの「喜慕里」。昭和47(1972)年創業、「喜んで慕ってもらえる里のような店に」との想いから名付けられたお店には、地元の人をはじめ、県外からの客足が絶えない人気店。普通の餃子はもちろん、ぜひ食べたいのが、エビやイカ、カニが入った海鮮系餃子。早速、餃子と、海鮮系餃子の1つエビ入り餃子をオーダーしました。
こちらでは鉄板を使い、ごま油とサラダ油をブレンドした油をひいて焼いていきます。この鉄板1枚で一度に餃子100個を焼くことができ、平日は1日2,300個ほど、土日など繁忙期になると8,000個も売れるといいます。
▲水をかけて、6~7分ほど蒸し焼きに
▲程よく焼けた餃子をお皿へ運び、冷蔵庫で冷やした茹でもやしを添えて、完成!
▲餃子 小10個520円(税込)。ご飯、みそ汁、漬け物がセットになった小定食760円(税込)も

「喜慕里」の餃子は丸型ではなく、2列に並べて提供されます。タレを付けずに焼きたてをひと口。薄皮のこんがり香ばしく焼けたパリッと感と、反対側のしっとりとしたもっちり感、2つの食感は格別!

キャベツ50%、豚の挽き肉50%で配合した餡に、風味付けでニンニクを加えます。それを特製の薄皮でそっと包む。ひと口食べれば、細かく刻んだキャベツの甘さと肉汁が口の中に広がり、ほのかに香るごま油も食欲を誘います。
次は自家製の餃子タレを付けて。ほんのり甘酸っぱく、ジューシーな餃子に良くあいます。
▲エビ入り餃子 小8個600円(税込)。こちらもセットメニュー840円(税込)があります

見た目は普通の餃子と同じ。パリもちの食感に加えて、エビのぷりぷりした歯ごたえが絶妙な味わい。海鮮入りの餃子の餡には、ほんのり甘みを加えるために、細かくみじん切りした玉ねぎが隠し味として入っています。素材にあわせて餡をアレンジする仕事はさすがです。
熱々の餃子に、冷えた茹でもやしが口の中をすっきりとさせ、餃子を食べるお箸が止まりません。「女性でも20個は食べるよ」という店主の言葉にも納得がいきます。餃子だけでなく、ラーメンや唐揚げ、ホルモン焼きなど、メニューも豊富です。
▲「喜慕里」の味を家でも楽しむなら、お土産に冷凍餃子10個480円(税込)もおすすめ
浜松餃子は餃子専門店だけでなく、ラーメン店や居酒屋、食堂などさまざまな場所で餃子をいただけます。餃子の餡はもちろん、皮の厚さや焼き方、タレやラー油など、お店ごとにそれぞれこだわりの味を楽しめるのが浜松餃子の魅力のひとつ。普段使いとして気軽に楽しめるお店ばかりなので、いろいろ食べ歩いてお気に入りのお店をぜひ見つけてください。
大杉晃弘

大杉晃弘

大阪にて結婚・住宅情報誌の制作ディレクターとして、企業の販促活動に従事。その後、地元浜松へUターン。編集、文章、写真の仕事をしつつ、活版印刷工としても修行中。

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